クルマの「クラッチが滑る」という言葉を聞いたことはありますか?
MT車では発症しやすいクラッチの滑りですが、走行時に発生したどういった症状をクラッチの滑りと言うのでしょうか?
今回は、クラッチの滑りについて、実際に発生してしまったケースや未然に防ぐ方法をお伝えします。
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そもそもクラッチの仕組み、役割とは
クラッチとは、そもそもエンジンの回転をトランスミッションに伝達する「動力伝達装置」のことです。
エンジン側にはエンジンの回転を伝えるためのフライホイールが付いていて、トランスミッション側にはクラッチカバーが付いています。
そのフライホイールとクラッチカバーの間にクラッチプレートが存在し、フライホイールとクラッチプレートが圧着されることで動力が伝達され、エンジンの回転がトランスミッション、ドライブシャフトなどを介してタイヤを回転させているのです。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/
MT車であればクラッチペダルを踏むことでクラッチプレートが切り離されて駆動力がカットし、クラッチペダルを離すことでクラッチプレートがフライホイールと圧着され動力が伝わります。
発進時などでは、勢いよくクラッチを繋いでしまうとエンジンの動力がミッションに上手く伝わらず、エンスト(エンジンストール)となりエンジンが止まってしまい上手く発進ができません。
発進するためには所謂「半クラッチ」と呼ばれる操作が必要で、クラッチペダルを踏んでから完全に離すわけでもない、半分くらいのところで操作し、クラッチプレートとフライホイールを摩擦によって動力を徐々に伝えることでスムーズな発進を可能とします。
クラッチが減るとどうなる?
摩耗するということは、圧着する力が弱くなり伝達する力も弱くなることで、エンジンの回転力が適切にトランスミッションに行き渡らなくなるのです。
正しく動力が伝達されなくなると、クラッチペダルから完全に足を離してクラッチが繋がっているはずにも関わらず、フライホイールとクラッチプレートの間に回転差が発生し、いわゆる「クラッチ滑り」が発生します。
クラッチが滑る一番の原因として、摩耗による滑りが挙げられます(他にも熱による影響もありますが、サーキット走行などの非日常走行で発生することが多いため今回は割愛します)。
クラッチが滑ると、アクセルペダルを踏んで加速するときにエンジン回転数だけ上昇して、速度が上がらなくなる、という症状が代表的で、最悪の場合は発進することができずクルマが動かなくなります。
タイヤやブレーキパッドの様に外から目視で見ることができず、トランスミッションを外さないとクラッチの消耗状況は把握できないため、街中での運転や高速道路で加速するときに、上記の様な症状が発生した場合は、レッカーを呼んでディーラーやショップへ運び、クラッチの交換作業を行ってください。
対策方法ってあるの?
クラッチが減ることで滑りが発生する、と前述まででお伝えしましたが、どうすれば対策ができるのでしょうか?
実はすごくシンプルな答えで、発進時やシフトチェンジでクラッチペダルを操作する際に半クラッチの時間を極力短くする、というもの。
丁寧に発進しようとするあまり半クラッチの時間が長くなると、その間はフライホイールとクラッチは圧着されず、摩擦により動力を得ているため、半クラッチによる摩擦の時間が長くなるほど消耗が早くなるのです。
かといって、一気にクラッチペダルを離して半クラッチを無くしてしまうと、エンストになることはもちろんトランスミッションや他の駆動系に負担がかかるため、短い時間で半クラッチを済ませ早めにクラッチペダルから足を話す必要があります。
そうすることでクラッチの消耗を最小限に抑えることができるのです。
また、走行中に左足の置き場が無く、クラッチペダルの上に足を乗せて走行し続けるドライバーもいますが、これもクラッチの圧着を弱めることにより摩耗を早くする原因となるため、走行中は必ずフットレストに左足を置いてドライブして下さいね。
まとめ
今回はクラッチの滑りについて、クラッチの仕組みから発生の原因、対策をお伝えしました。
新車を購入してから何年もクラッチ交換をしてなかったり、前回交換から時間が経過している場合はクラッチの滑りも起きやすくなります。
また新品に交換したからと言って、半クラッチなどによる摩耗が多い操作をすると、直ぐにクラッチが滑ることもありますので注意が必要です。
車が走り続けられるのもクラッチがあってこそ、なので本記事を読まれた後は、少しクラッチ操作や動力伝達を気にして運転してみることで普段の運転がより上手になるはずです。