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実はハンガリー製クロスオーバーSUV?!エスクードの原点回帰で復活した魅力とは?
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もともと1.6リッタークラスの小型SUVとしてデビューして大ヒット、改良やモデルチェンジのたびにエンジンやボディが大きくなっていきましたが、現行モデルは乗用車ベースのクロスオーバーSUV化したとはいえ1.6リッター小型SUVとなった、いわば先祖帰りモデルです。
時代を作ったSUV、スズキ エスクード

初代エスクードが誕生した1988年、バブル時代と共にクロカン4WD(本格オフロード車)ブームが始まっていましたが、当時は大排気量で大きな車がほとんどで小型クロカンはほとんどありませんでした。
小型の4WD車というとコンパクトカーや軽自動車など乗用車の4WDモデルばかりだったところに、乗用車をベースとしない本格オフロード性能を持った1.6リッタークラスの小型4WDとして登場し、人気となったのが初代エスクードだったのです。
いわば現在のクロスオーバーSUVと逆に乗用車と異なるところがウケたわけですが、本格オフロード性能を持ちながら、数少ないライバルとは異なり乗用車風の都会派デザインだったことから、クロスオーバーSUVの元祖と受け取られることもあります。
以後、マイナーチェンジやモデルチェンジのたびに大排気量版やロングボディ、ワイドボディが追加されていき、次第に他社大型SUVに匹敵する車となっていきましたが、2015年にデビューした4代目では思い切ったダウンサイジングが行われ、今に至っています。
4代目エスクードの特徴・特色
ハンガリー製小型モデルで原点回帰

3代目の途中から、欧州仕様の1.6リッター3ドアモデルも導入されて初代のコンセプトに回帰する流れでしたが、モデルチェンジを機に思い切って海外生産モデルを4代目エスクードとしました。
ハンガリーのマジャールスズキで生産される4代目は3代目までのロングボディ、ワイド仕様が無くなり、排気量も日本仕様は1.6リッターガソリンエンジンで統一。
3代目まで採用されていたビルトインラダーフレームから、SX4 S-CROSSと共通設計になり、ラダーフレームがなくなったことから4WDモデルは約400kgの軽量化を実現。
これによりコンパクトカーとまでは言えないものの、初代のコンセプトを汲んだコンパクトSUVを実現しているのです。
本格オフローダーからクロスオーバーSUVへ

もっとも大きな変更は、FR(フロントエンジン・後輪駆動)ベースで悪路走破性を重視したメカニズムを搭載していた3代目までと異なり、FF(フロントエンジン・前輪駆動)ベースの舗装路をメインとしたクロスオーバーSUV化されたことです。
同じくハンガリーで生産されている、クロスオーバー的な5ドアハッチバックコンパクトカー、SX4 S-クロスをベースとしており、本格的な4WDメカの代わりに、滑りやすい路面でも安定した走りをする電子制御4WDシステム「ALL GLIP」を採用しています。
ただし、SX4 S-クロスでの同システムに追加して、空転したタイヤにブレーキをかけて残りのタイヤに駆動力を分配し、タイヤが溝や穴にハマった時の脱出を助ける機能などが設定され、悪路走破性も確保しました。
デザインは歴代エスクードの流れを汲むオフロード車風

クロスオーバーSUV化されたとはいえ、フロントマスクなどルックス面では初代から続くデザインで、外装オプションパーツなどカスタム次第で本格オフローダー風にすることも可能。
特にヘッドライトやフロントグリル周りは3代目エスクードのイメージを残しているところが、従来からのエスクードファンにとっては嬉しいところかもしれません。
4代目エスクードのライバル
トヨタ C-HR

キャミやラッシュなど、エスクード同様に本格オフローダー的な小型SUVを販売していたトヨタも現在はこのジャンルをクロスオーバー化することとして、オーリスのパワーユニットを使ったC-HRを販売しています。
まだオフローダー風の外見を持つ4代目エスクードと異なる完全ブランニューのクロスオーバーSUVのため、最低地上高の高さ以外は舗装路での走行重視でルーフも低いクーペルックを採用。
ハイパワーな1.2リッターターボのほか、1.8リッターハイブリッド仕様もあるなど、最低地上高以外は完全に新世代の乗用車と割り切られたSUVです。
日産 ジューク

4代目エスクードと同クラスの1.5~1.6リッターガソリンエンジン搭載車ですが、パワフルな1.6リッターターボエンジンやスポーティなNISMO仕様もあるクロスオーバーSUV。
こちらもC-HR同様に過去同クラス車のブランドイメージに引きずられることなく、自由奔放にクロスオーバーSUVを解釈しており、デザインも含めて新しい発想で作られています。
ホンダ ヴェゼル

同じく新型のブランニューSUVで、フィットをベースに同じパワーユニットを組みこんでいるためハイブリッド仕様もありクーペルックなデザインの、新世代クロスオーバーSUVです。
走行性能ではターボ車もあるC-HRやヴェゼルにかないませんが、1.5リッターハイブリッド車はモーターアシストもパワフルで7速DCTを持つスポーツ系ハイブリッドで、燃費もクラストップレベル。
4代目エスクードの新車価格・中古相場は?

4代目エスクード
新車価格
234万3,600円
中古車相場
159.9万~219万円
ライバル車のお値段は?
トヨタ C-HR
新車:251万6,400~290万5,200円
中古車:-
日産 ジューク
新車:197万5,320~346万8,960円
中古車:49.8~268.9万円
ホンダ ヴェゼル
新車:192万~277万円
中古車:129.8~278万円
4代目エスクードの代表的なスペック

スズキ YE21S エスクード 2017年式
全長×全幅×全高(mm):4,175×1,775×1,610
ホイールベース(mm):2,500
車両重量(kg):1,210
エンジン仕様・型式:M16A 直列4気筒DOHC 16バルブ
総排気量(cc):1,586
最高出力:117ps/6,000rpm
最大トルク:15.4kgm/4,400rpm
トランスミッション:6速AT
駆動方式:4WD
エスクード2.4としてしばらく併売された3代目
2017年春まで併売されていた3代目

2015年10月15日に4代目にモデルチェンジしたエスクードですが、乗用車ベースのクロスオーバーSUVに変更されたことに伴い、それまでの本格オフロード車ユーザー向けの後継車が無かったために、3代目も「エスクード2.4」と名前を変えて継続販売されました。
2.4リッターロングボディのみで2017年春に廃止

グレード構成はXGとランドプリーズの2種類のみで、2.4リッターエンジンのロングボディ車のみ。
ミッションはXGで5速MTも選べたほかは4速ATでしたが、ラダーフレームをボディに溶接したビルトインラダーフレームや、ハイ・ロー切り替え式の4WDメカで悪路走破性も高かったのです。
初代エスクード以来、スズキの本格オフロード車には一定のファンがいたことから継続販売は喜ばれましたが、2017年3月から4月上旬にかけての間に生産と販売を終了したらしく、スズキのHPから姿を消しました。
まとめ

出典:http://www.suzuki.co.jp/
ハンガリー製のクロスオーバーSUVとなって新規一転となった4代目エスクードですが、エスクード2.4の廃止もあり、いよいよ日本市場でのスズキSUVはクロスオーバーSUV一色となりました。
それでもエスクードらしいオフロードが似合う外見で都会派クロスオーバーSUVとは一線を引いたデザインが魅力で、アウトドア派のユーザーにとってはありがたい選択肢でしょう。