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乗用車・農繁仕様・特装車と様々な顔を持つ、エブリィ/キャリィが売れ続けている理由
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ある意味軽トラの中ではもっともオーソドックスなベーシックモデルと言えるキャリイと、軽1BOXの中ではもっともボクシーで軽のハイエース的存在であるエブリイ。
この2台のスズキ商用車はまた、日本でもっとも多くのメーカーへ供給されている、代表的な商用車でもあります。
ライバル達との競争を戦い抜いてきた6代目エブリイと12代目キャリイ

スズキの軽トラック、キャリイは1961年に登場したスズキで最古、日本車の中でもかなり古く、長く使われてきた車名で、地味ながら日本の産業を底から支え続けてきました。
対するエブリイは8代目キャリイまで「キャリイバン」として存在していた1BOXバンから分派し、9代目キャリイの代で完全独立した軽1BOX商用車です。
2017年現在、軽商用車の中で軽トラと軽1BOXの車名を完全に分けているのはキャリイトラックとエブリイバンのみで、昔とは異なり軽1BOXが軽ミニバンのベース車となっている実情からすると、イメージをうまく使い分けている感があります。
軽自動車に小型車同様の最新技術を惜しげも無くつぎ込むスズキらしく、キャリイ / エブリイにもスズキ自慢の新技術がつぎ込まれており、技術面でライバルに対して特徴を持つ軽商用車と言えるでしょう。
6代目エブリイ / 12代目キャリイの特徴・特色

優れた快適性を保ちつつ、対象的なキャラクターの2台

軽トラのキャリイと軽1BOXバンのエブリイ、2台のスズキ商用車はかつてデザイン的にもメカニズム的にも共通点が多かったのですが、活躍するステージや派生車種の存在もあって、現在ではかなりキャラクター的にもメカニズム的にも異なっています。
キャリイは先代モデルで荷台拡大のため一時期キャビンがかなり狭かった反省から、エブリイは5ナンバーミニバンモデルであるエブリイワゴン存在から、いずれも車内スペース拡大と快適性向上には気を使っており、両者ともかなりボディ形状がスクエアです。
しかし共通点はそこまでで、農林業など狭く険しい道で活躍が期待されるキャリイは思い切ったショートホイールベース化を果たし、リフトアップなどのカスタムで本格オフローダーとしても活躍できる素養を持っています。
対するエブリイは快適性と積載性両面から室内スペースとその効率最大化のため、こちらは逆に思い切ったロングホイールベースを採用、ボディ側面などは切り立った崖のように垂直にし、低床化と合わせて優れたスペース効率と積載性を持ちました。
また、エブリイにはライバルのハイゼットカーゴともども、コペンやS660、アルトワークスといったスポーツモデルを除けば貴重な、マニュアルミッションとターボエンジンの組み合わせが存在しており、4WDターボ車まであります。
軽トラ / 軽1BOXで唯一のセミAT(2ペダルMT)設定あり

キャリイ / エブリイで特徴的なのは、軽トラ / 軽1BOXとしては唯一、マニュアルミッションを油圧アクチュエーターで駆動するスズキ独自のセミAT(2ペダルMT)、「AGS(オートギアシフト)」が採用されています。
5速マニュアルミッションを自動化したもので、オートマ同様に自動的にシフトチェンジもできますし、シフトレバーを前後に動かすことで手動シフトチェンジも可能です。
オートマ限定免許が増える中、軽商用車もオートマ車を乗るドライバーが増えていましたが、軽乗用車と違い燃費改善に有利なシステムを持たない軽商用車向けに、オートマ限定免許で運転できるMT車としてAGSが採用されました。
なお、それに伴いMT車、AGS車、AT車の3つのミッションがラインナップされるようになり、旧来のATは古い3速ATのままでしたが、エブリイは2017年5月の改良で4速ATに更新されています。
4つのメーカーに供給

キャリイ / エブリイともに2017年現在ではスズキのほか、日産(NT100 / NV100クリッパー)、三菱(ミニキャブトラック / ミニキャブバン)、マツダ(スクラム / スクラムトラック)にOEM供給されており、実に4つのメーカー、その販売店で販売されています。
ダイハツもハイゼット系をトヨタ(ピクシス)、スバルに供給して3メーカーで販売していますがキャリイ / エブリイはそれを上回っており、独立独歩のホンダ アクティ系を除き、軽商用車市場を二分する存在となりました。
6代目エブリイ / 12代目キャリイ・ライバル車との燃費比較

ターボ:16.2~19.6km/L(4WDは15.4~18.8km/L)
NA:17.0~20.2km/L(4WDは16.6~19.0km/L)
スズキ DA16T キャリイ(トラック)
NA:17.2~20.2km/L(4WDは17.0~20.0km/L)
ライバル車の燃費性能は?
ダイハツ S321V / 331V ハイゼットカーゴ(1BOXバン)

NA:16.2~17.2km/L(4WDは15.6~17.2km/L)
ターボ:15.4~17.2km/L(4WDは14.8~16.6km/L)
ダイハツ S500P / 510P ハイゼット トラック

NA:17.4~21.0km/L(4WDは17.4~20.8km/L)
3代目HH5 / 6 アクティ(1BOXバン)

NA(自然吸気エンジン):15.6~17.6km/L(4WDは14.8~16.8km/L)
4代目HA8 / 9 アクティトラック

NA:16.2~18.4km/L(4WDは18.2km/L)
トヨタ S402M / S412M タウンエース / ライトエースバン(1BOXバン)

1.5リッターNA:12.2~12.8km/L(4WDは11.6~12.6km/L)
トヨタ S402U / S412U タウンエース / ライトエース トラック

1.5リッターNA:12.2~12.8km/L(4WDは11.6~12.6km/L)
6代目エブリイ / 12代目キャリイの新車価格・中古相場価格は?

新車価格
92万3,400~142万6,680円
中古車相場
53~149万円
スズキ DA16T キャリイ(トラック)
新車価格
68万4,720~121万680円
中古車相場48~125万円
ダイハツ S321V / 331V ハイゼットカーゴ(1BOXバン)
新車:93万6,000~143万4,857円
中古車:0.1~124万円
ダイハツ S500P / 510P ハイゼット トラック
新車:65万3,400~129万6,000円
中古車:58~134万円
3代目HH5 / 6 アクティ(1BOXバン)
新車:111万5,000~135万5,200円
中古車:8~115.8万円
4代目HA8 / 9 アクティトラック
新車:79万~117万9,600円
中古車:50~100万円
トヨタ S402M / S412M タウンエース / ライトエースバン(1BOXバン)
新車:180万8,509~185万3,673円
中古車:29.9~198万円
トヨタ S402U / S412U タウンエース / ライトエース トラック
新車:151万4,945~153万5,563円
中古車:48~149万円
6代目エブリイ / 12代目キャリイの代表的なスペック
出典:http://www.suzuki.co.jp/
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,800
ホイールベース(mm):2,430
車両重量(kg):850
エンジン仕様・型式:R06A 直列3気筒DOHC12バルブ VVT
総排気量(cc):658cc
最高出力:49ps/5,700rpm
最大トルク:6.3kgm/3,500rpm
トランスミッション:5AGS
駆動方式:FR

全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,765
ホイールベース(mm):1,905
車両重量(kg):700
エンジン仕様・型式:R06A 直列3気筒DOHC12バルブ VVT
総排気量(cc):658cc
最高出力:50ps/5,700rpm
最大トルク:6.4kgm/3,500rpm
トランスミッション:5AGS
駆動方式:FR
6代目エブリイ / 12代目キャリイの派生車
エブリイワゴン

1BOXバンのエブリイに快適装備を施した5ナンバー乗用登録モデル。
衝突被害軽減ブレーキなど安全装備はエブリイにも採用されていますが、それに加えて室内長や室内高を拡大し、フロントシートも独立シートからベンチシートになっています。
簡素なエブリイと違い、メッキパーツなどを多用した軽ミニバンとしてふさわしい豪華エクステリアを持っており、識別は容易です。
キャリィ特装車
キャリィは通常のKCや農繁仕様とは別に、特装車もラインナップしています。
土砂を運べるダンプシリーズ、荷台に冷凍庫を備えた食品シリーズ、荷物の積み降ろしをメインとしたゲートリフターシリーズ、バイクを積載するためのバイククキャリィカーの4タイプに加え、自由にカスタマイズできる特装車ベースの5タイプが存在。
様々なユーザーニーズに応えられるよう、ダンプシリーズだけでも7種類あるなど、手広く展開しています。
まとめ

出典:http://www.suzuki.co.jp/
軽トラ / 軽1BOXのベーシックモデルと言えるキャリイ / エブリイですが、バリエーションはライバルに対してオーソドックスな反面、AGSの搭載で運転の容易さと燃費など環境性能や高速巡航性能を両立させるなど、メカニズム的にも凝ってきました。
現行モデルはまさにスズキらしい商用車と言えますが、最大のライバルであるダイハツ ハイゼット系を常に意識した改良やカラーバリエーション拡大に努めており、スズキとダイハツが軽商用車の2トップである時代はまだまだ続きそうです。