車の「スカラシップ」って??愛車でモータースポーツするなら知っておくべき制度なんです!

車の「スカラシップ」って??愛車でモータースポーツするなら知っておくべき制度なんです!

まとめ

モータースポーツにもお金がやたらとかかるレースやラリー、服装以外はチューンしても仕方ないほど簡素なオートテストなどまでさまざまですが、仮にノーマル車両で手軽に楽しむとしても、タイヤやオイルなど消耗品類にかかる追加費用はなかなか避けられません。

そこで主に消耗品類のメーカーがモータースポーツユーザーに門戸を開いているのが「スカラシップ」という制度です。

スカラシップという言葉自体は「若年ドライバー育成」という意味で使われることもありますが、今回紹介するのは消耗品類のメーカーが積極的なユーザー獲得と広報宣伝に活用するため、成績を挙げたユーザーへパーツ供給をするという意味での「スカラシップ」。

モータースポーツをするなら、「成績が上がった時のご褒美」を手軽に得られる手段として、知っておいて損はないですよ!

成績を上げればご褒美がもらえる!「スカラシップ」とは?

©モタガレ

モータースポーツに参戦するクルマには、上位のカテゴリーになるほどステッカーをペタペタ貼ったり、特定の企業などを宣伝するカラーリングが施されていますが、これらはいわゆる「スポンサー」なことが多いです。

ザックリまとめれば「私が(チームが)活躍することによって、これだけ御社(または組織)の宣伝に役立ちますよ」という企画書を出し、それに応じたスポンサー(広告主)がお金や部品を供給するわけですが、もちろん本当に宣伝効果がなければいけません。

そういう意味で「スポンサーを獲得」と言っても結構ハードルは高いのですが、それより簡単で、成績さえ上げればパーツや消耗品の供給を受けられる、でも成績が低迷したら何もなしよ…という、成果報酬の制度が「スカラシップ」です。

タイヤやブレーキ関連、オイルなどの消耗品で、同じブランドの製品を継続的に使ってもらいたいメーカーが主に行っていて、スカラシップ参加選手が活躍すればもちろん宣伝に大活用しますし、活躍しなくても製品は使ってもらえる…という、なかなか美味しいシステム。

ユーザーにとっても面倒なスポンサー集めはしなくていいですし、成績を上げれば製品の供給を受けられるうえにメーカーが自分の名前を売ってくれるなど頑張る甲斐があり、よほど性能の悪い製品でもなければ、スカラシップに参加して損をするわけでもありません。

スカラシップの具体的な仕組

手続き自体もスポンサー集めに営業するよりはるかに簡単です。

©モタガレ

シーズン前?シーズン初期あたりの締切前に、メーカーのスカラシップ応募ページから登録すると、受理したメーカーは車両に貼るステッカーやレーシングスーツに貼るワッペン、タイヤメーカーならメーカーロゴつきのキャップ(帽子)も無償で送られます。

それらで車両や自分の身支度を整えたら、レースや競技へ指定に応じたブランド名を車両名に加えてエントリーし(※)、あとは頑張って成績を出すだけ!
(たとえばディクセルMoty'sDLシビック…という車名でエントリーしているマシンがあれば、DIXCELのブレーキパッド、Moty'sのエンジンオイルやギヤオイル、ダンロップ(DL)のタイヤを使っていることになります)

成績が上がったら、ステッカーを貼った車両や表彰式で自分が写っている写真を添えて報告(メーカーによっては簡単なレポート程度も)すると、成績に応じたポイントがもらえて、ポイントと引き換えに製品や賞品と交換する…という仕組みです。

モータースポーツイベントの表彰式で写真撮影がバシバシ行われるのは、単にSNSなどに掲載して自慢するだけでなく、スポンサーやスカラシップのメーカーへ報告するためという、案外マジメな理由があるとわかります。

スポンサーを得ている場合、これに加えてパドックでスポンサーや商品の「のぼり」を立てて商品を宣伝したり、スポンサーのイベントに参加して広報活動や客寄せに一役買ったりしますが、そこまで求めない簡易なスポンサー制度がスカラシップだと思えばよいでしょう。

メーカーによって取り組みはさまざま!スカラシップの実例

©モタガレ

2023年度の実例からいくつか、スカラシップ制度の例を紹介してみましょう。

案外違いがあるもので、各社のモータースポーツに対する取り組み方、モータースポーツを通した広報活動にどれだけ熱心かが見えてきます。

ただし名前の出ないメーカーがモータースポーツに冷淡というわけではなく、たとえばタイヤメーカーのブリヂストンなどは広く一般にスカラシップ制度を広げるというより、有力なチームやドライバーへ積極的にタイヤ供給するというスタンスです。

ヨコハマタイヤ(タイヤ)

「ADVAN」(アドバン)ブランドでスポーツタイヤを販売しているヨコハマタイヤは、タイヤメーカーの中でもかなり手広くスカラシップ制度を展開しており、ジャンルはラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge(通称ラリチャレ)と多彩!

したがって装着指定タイヤは「Sタイヤ」と呼ばれる舗装路用の競技向けタイヤや、Sタイヤが禁止されたカテゴリー向けのハイグリップスポーツタイヤ(NEOVAシリーズだけでなく「FLEVA」も)、ラリー/ダートトライアル用タイヤと幅広くなっています。

各ジャンルはJAF公認競技会に限り、全日本選手権からエントリーイベントまで網羅するもののスカラシップ登録できるのは1人1シリーズのみ。

エントリー車名に「YH(ヨコハマの略)」または「ADVAN」を入れ、それぞれ指定位置へ参戦車両にステッカー、レーシングスーツにワッペンを貼り、会場では指定キャップを着用せねばなりません。

「JAF全日本選手権ならクラス優勝で17P」など、参戦イベントの格式や順位によって獲得できるポイントは異なり、1人あたり年間10本を上限に「15Pで登録申請したタイヤ4本」など、貯まったポイントに応じてタイヤとの交換が可能です。

ダンロップ(タイヤ)

「DILEZZA(ディレッツァ)」ブランドでヨコハマ同様に幅広いタイヤラインナップを誇るダンロップですが、2023年度のスカラシップはジムカーナ競技の全日本選手権と地方選手権のみ。

エントリー車名には「DUNLOP」「ダンロップ」「DL(ダンロップの略)」を入れ、車両へのステッカーとレーシングスーツへのワッペン貼付はヨコハマ同様で、キャップの支給や会場での着用義務は明記されていないものの、慣例として着用するのが普通です(これは他のタイヤメーカーでも同様)。

登録は1人1シリーズ、イベント格式や順位によって増減するポイントを貯めてタイヤと交換はヨコハマと同じですが、年間でポイントと交換できる上限は全日本や地方選手権で24本、格下のイベントでも16本と大盤振る舞い!

さらに販売店経由での購入より獲得ポイントは減りますが、2023年度より「通販で購入したタイヤでもスカラシップ登録OK」となっており、ジムカーナ限定とはいえ近年のダンロップはスカラシップに力を入れています。

グッドライドジャパン(タイヤ)

いわゆる「アジアンタイヤ」の日本法人もスカラシップを行っており、ドリフト競技やレース、タイムアタック競技向けに「SPORT RS」タイヤのユーザー向けに実施しているのが中国製タイヤメーカーの日本法人、グッドライドジャパンです。

ステッカーやワッペンの貼付、キャップの装着義務は他のタイヤメーカーと同様で、ブランド名の「GOODRIDE」または「グッドライド」は略称がないためか、エントリー車名以外にチーム名への追加でもOKとなっています。

また、獲得ポイントに応じてタイヤの交換(無償提供)を受けられるのは他と同じですが、スカラシップに登録すれば最大10本/戦までサポート価格でタイヤを購入できる特典もあり、ユーザーにとっては二重にオイシイ制度です。

ディクセル(ブレーキ)

新興ブレーキパーツメーカーのディクセルでは初期から積極的なスカラシップを実施しており、JAF公認競技以外に草イベントでも年間3戦以上開催されるなら対象になる場合があり、しかも1人1シリーズに限らないという大盤振る舞い!(※)
(※ユーザーだけでなく、スカラシップ目当ての参加者を呼びたいイベント運営側にとってもありがたい話です)

既に2024年度以降のスカラシップ応募は始まっており、応募資格は「2023年10月1日以降に、ブレーキパッド/シュー(フロントパッド必須)、ディスクローターその他の合計が税抜定価2万円以上のDIXCEL製品を購入」してスカラシップを申請し、出場時にはDIXCELブレーキパッドを装着すること。

もちろんエントリー車名への「ディクセル」「DIXCEL」「DXL(略称)」記載と、車体へのステッカー貼付は必須です。

面白いのは若年ドライバーへの割引制度で、製品が割引されるのではなく、スカラシップ申請に必要な製品購入の税抜定価が、24歳以下の学生なら1万円(購入価格1万円)、29歳以下のユーザーなら5,000円(同1万5,000円)安くて済む、というもの。

他にも「参戦ペースを考えたら1年でブレーキパッド交換なんてならないよ~」というユーザーのため、1年コース以外に2年でポイントを貯められる2年コースもあり、ユーザーがスカラシップへ参加しやすいよう配慮されています。

さらに、獲得ポイントで交換できる商品はブレーキパーツに限らず、さまざまなDIXCELグッズやOMPのレーシンググローブ、他にエアゲージやガソリン携行缶など、「参加型モータースポーツというものをわかってますね~!」という品揃えです。

正直、年間でそれなり以上にイベントへ出る人なら、交換できる商品の魅力だけでDIXCELのブレーキを選ぶ価値がある!と思わせる、とってもオトクなスカラシップなのでした。

Moty's(オイル)

モータースポーツ向けを中心に、高品質なエンジンオイル、ギアオイルメーカーとして定評ある、トライボジャパンの「Moty's」ブランドもスカラシップを実施しています。

1年ごとの「スカラシップ契約」となっていますが、他のスカラシップと同様に申し込みのハードルは低く、対象競技もJAF公認競技だけでなく、サーキット運営会社、競技団体、雑誌社が主催する年間3戦以上のモータースポーツ競技に年間2シリーズまでと緩めです(※)。
(※ただし、競技終了後に公式リザルトをホームページで確認できる必要があります)

エントリー車名に「Moty’s」「モティーズ」を入れ、車両にステッカーを貼付、もちろんエンジンオイルかギヤオイルにMoty's製品は必須なのは他のスカラシップと同じ。

特典はポイント制ではなく、決勝への参加台数や成績によって、希望するMoty'sのエンジンオイルかギアオイルを各4L、あるいは両方が特典として支給されますが、決勝にクラス10台以上でも3位までとハードルは高く、成績を上げる自信のある人向けかもしれません。

ウェッズ(アルミホイール)

消耗品以外でもスカラシップ制度はないのか…と探してみると、アルミホイールメーカーのウェッズが、「WedsSport TC105」シリーズのアルミホイールで「WedsSport RACING スカラシップ」を実施しています。

Gazoo Racingのワンメイクレース「ヤリスカップ」、日本国内のラリー/ダートトライアルへ参戦するGRヤリス、各サーキット主催のチャンピオンレースやフレッシュマンレースが対象。

対象ホイールの全輪装着、車体へのステッカー貼付、レーシングスーツへのワッペン貼付といったあたりは普通ですが、スゴイのは対象ホイールがなんと「半額」で購入できること!

一応はポイント制で成績に応じて得たポイントを対象ホイールへ交換できることになっていますが、破損でもしない限り消耗するものではないので、最初から半額購入をスカラシップの売りにしています。

もちろん「スカラシップ制度で購入・協賛したアルミホイールは、一切の譲渡/転売をしないこと」が条件となっており、安易に転売して儲けられないようになっているほか、定価の半額といっても何本も買えるわけではなく、上限は選考で決まるようです。

場合によってはスカラシップを見据えたクルマ選びも必要?!

©モタガレ

安価にモータースポーツを楽しむためには必須とも言えるスカラシップ制度ですが、オイルなど車種を問わない油脂類ならともかく、タイヤやブレーキとなれば「スカラシップ対象製品が自分のクルマに対応していなければならない」という大前提があります。

たとえばヨコハマのタイヤを履いてジムカーナに出たいけど、スカラシップ対象タイヤに自分の使いたいサイズがない…なんてこともありえるわけで、「このスカラシップをうまく使いたいから、クルマはこれにしよう」なんて選び方もアリ!

逆に、多少の出費増加は覚悟でスカラシップに振り回されず、好きなクルマで参戦するんだい!という人もいるでしょうから、少しでも安くできるプランを選べるクルマを好きになるか、逆に好きなクルマで趣味を貫くかは、人それぞれといった感じでしょう。

ただ、使えるものなら登録しておいて損はありませんし、簡易的とはいえ「スポンサー契約をしているドライバーの気分を味わえる」というメリットもありますから、モータースポーツを楽しむならスカラシップ制度とうまく付き合っておきたいものです。

この記事をシェアする

関連記事

  1. ブレーキパーツをお得にゲット!スカラシップでお金を節約!

    ブレーキパーツをお得にゲット!スカラシップでお金を節約!

  2. 日産e-4ORCEをRCで体験!グローバルギャラリーのイベントに行ってみた。

    日産e-4ORCEをRCで体験!グローバルギャラリーのイベントに行ってみた。

  3. ビル、船、そしてクルマ!全てのプロがTONE工具を選ぶ理由とは?

    ビル、船、そしてクルマ!全てのプロがTONE工具を選ぶ理由とは?

  4. これはホントなの?日常やサーキット走行で役立つタイヤ・ホイールにまつわるエトセトラ。

    これはホントなの?日常やサーキット走行で役立つタイヤ・ホイールにまつわるエトセトラ。

  5. 交換時期が2~3年とは限らない補機用バッテリー。劣化しやすい条件を把握し、長持ちさせる方法も試してみよう

    交換時期が2~3年とは限らない補機用バッテリー。劣化しやすい条件を把握し、長持ちさせる方法も試してみよう

  6. 10万円で乗り心地を変えよう!クルマいじりはシートから始めるのがおすすめです。

    10万円で乗り心地を変えよう!クルマいじりはシートから始めるのがおすすめです。

同じカテゴリ・タグの記事を探す