1955年登場の初代以来63年、日本車と日本国内モータリゼーションの歴史とともに歩んできた15代目トヨタ クラウン。
1991年以降は最高級のマジェスタ、そして1999年11代目以降ラグジュアリー仕様のロイヤルサルーン、スポーツ志向のアスリートと別れてきたクラウンがついに統合されたモデル。
本記事では、15代目クラウンの魅力を振り返ります!
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15代目トヨタ クラウンとは
長い歴史と伝統を誇る高級サルーン、トヨタ クラウンには、その当時の時代の要望に応えていくつかの分岐点がありました。
そして2018年、15代目クラウンはその全てを統合して1本化し、再出発したというわけです。1974年:オーソドックスな4ドアセダンと別に、革新的な個人向け4ドアハードトップが登場し、以後クラウンはビジネス用途のクラウンセダンと個人向けクラウンに分かれる。1991年:個人向けクラウンの最高級版としてクラウンマジェスタ登場。1999年:個人向けクラウンにスポーティグレードとしてクラウンアスリート登場。セダン、ロイヤルサルーン、マジェスタ、アスリートと4本立てになる。
それに伴いビジネスグレードのセダンと最高級のマジェスタは廃止され、基本的には販売の主力に成長していたアスリート寄りで若々しく走りのクラウンとした上で、アスリート後継的なRS仕様、ロイヤルシリーズ後継として標準仕様の2本立てとしました。
15代目クラウンの特徴
15代目クラウンでは、トヨタの新設計アーキテクチャ『TNGA』に基づいて開発された新プラットフォームで開発されたことにより、基本的な走行性能を大きく進化。
パワーユニットには従来のクラウンで採用されてきた2リッター直4ターボは踏襲しつつ、2.5リッター直4ハイブリッドのエンジンは新開発のA25A-FXSをFFのカムリに続き、FR車としては初採用。
レクサスのLC500hやLS500hに続き、トヨタ車としては初めて3.5リッターハイブリッドのエンジンに8GR-FXSを採用、5リッターV8エンジン並のパワーを手に入れました。
ミッションも2リッターターボの8速ATや2.5リッターハイブリッドの電気式無段変速こそ従来通りなものの、3.5リッターハイブリッドは新たなFRハイブリッド用10速AT『マルチステージハイブリッドトランスミッション』を採用しています。
いわば2リッターターボ、2.5リッターハイブリッドは新メカニズムも採用しながら14代目までのクラウンを踏襲、3.5リッターハイブリッド車はトヨタの個人向け最高級サルーンにふさわしく、レクサス最高級車と同じパワーユニットを手に入れたわけです。
さらに、同日発売のカローラスポーツ同様、車載通信機『DCM』を搭載してインターネットに常時接続するコネクティッドカー機能も全車標準装備。
最新の地図や情報の入手や、オペレーターと接続しての情報提供やカーナビの目的地セットといったサービスも受けられるようになりました。
デザイン面では、海外で偽装を施してのテスト時には『ヨーロッパで流行のテールゲートつき4ドアクーペスタイルか?』と言われたほどスタイリッシュに変貌。
FR車らしいロングノーズスタイルに、リアウィンドウは緩く傾斜したCピラーを活かしてリアドアウィンドウの後ろにも窓を設けた6ライトスタイルを採用、後側方の視界を向上させています。
そして、見た目には気づきませんが肝心な特徴として、スピーカーから各種ノイズと逆位相の音を発するアクティブノイズコントロールを採用し、余計な雑音をキャンセルさせて静粛性を大きく向上させています。
安全装備として最新の『Toyota Safety Sense』は全車標準装備で、アダプティブレーダークルーズコントロールは全車速追従となったほか、トヨタブランド車としては初めてリヤカメラによる対後方歩行者サポートブレーキを採用しました。
15代目クラウンのライバル車
日産 フーガ
日産の高級車部門が誇るフラッグシップであるフーガ。
2009年登場で少々古さは目立つものの近々モデルチェンジを控えているとも言われており、日産が新世代エンジンとして育て上げた可変圧縮比ターボエンジンVC-Tが搭載されるとも言われています。
日本に残る数少ない後輪駆動スポーツサルーン決戦が、間もなく幕を開けるのかもしれません。
マツダ アテンザ(MAZDA6)セダン
系譜としてはミドルクラスセダンのカペラ後継として登場したアテンザですが、3代目となった現在は、堂々たる国際戦略車ボディで走りにも定評があり、ガソリンエンジンだけでなくディーゼルターボを加えた多彩なエンジンラインナップを誇ります。
次世代で世界の高級セダン市場に殴りこみをかけるFR大型セダンになるのでは?とも言われており、クラウンが和風のイメージを持つのに対し、ヨーロッパ的な雰囲気がある大型FFセダンなのがマツダ アテンザセダンです。
ホンダ レジェンド
アテンザがヨーロッパ風ならアメリカ風と言えるのがホンダのFF高級セダン、レジェンドです。
もちろん単にアメリカ市場を重視した大柄ボディやデザインというだけでなく、スーパーカーNSXのパワーユニットを前後逆に搭載したような3モータースポーツ4WDハイブリッドシステム『SH-4WD』もセールスポイント。
歴史的にホンダ車自体がショーファードリブン的な扱いを受けたことが無いため、高級車としての扱いはライバルほどではないものの、アテンザやレガシィのような新興の大型FFセダンに対してならば劣るものではありません。
15代目クラウン 主なグレードのスペック
トヨタ GWS224 クラウン RS Advance 2018年式
全長×全幅×全高(mm):4,910×1,800×1,455
ホイールベース(mm):2,920
車両重量(kg):1,870
エンジン仕様・型式:8GR-FXS 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):3,456
最高出力:220kw(299ps)/6,600rpm
最大トルク:356N・m(36.3kgm)/5,100pm
駆動用バッテリー種類:リチウムイオン
駆動用バッテリー容量:3.6Ah
モーター仕様・型式:2NM 交流同期電動機
最高出力:132kw(180ps)
最大トルク:300N・m(30.6kgm)
トランスミッション:10AT(マルチステージハイブリッドトランスミッション)
駆動方式:FR
JC08モード燃費:18.0km/L
WLTCモード燃費(平均):16.0km/L
WLTCモード燃費(市街地モード):12.7km/L
WLTCモード燃費(郊外モード):16.4km/L
WLTCモード燃費(高速道路モード):17.7km/L
【トヨタ クラウン】まとめ
フロントに輝く王冠のエンブレムに和風の雰囲気を残しつつ、15代目クラウンはまるでヨーロピアン・高級サルーンかと思うほど大きな変貌を遂げ、スタイリッシュでスポーティな高級サルーンとなりました。
もはや『威厳ある重厚な保守的サルーン』の姿は無く、1999年の11代目クラウンへ『アスリート』の追加、2003年の12代目クラウンがイメージ刷新を図って『ゼロクラウン』を自称して以来続いた世代交代も、新型クラウンのデビューにて一息ついた感があります。
センチュリーなど特殊な車や国際高級ブランドのレクサスは別格として、『国産サルーンのフラッグシップ』的存在だったクラウンでしたが、63年目にして新しいクラウンが旅立ちの時を迎えました。
15代目クラウンが紡ぐ歴史は、また何年何代と続いていくのでしょうか。