ドリフト好きの聖地とまで言われる日光サーキットのほど近く、栃木県宇都宮市にmature(マチュア)のファクトリーはあります。
matureの名を世の中に広めたのは、ドリフト専用車として2WDに変更されたGC8インプレッサですが、今回ご紹介するのは、またもや2WDへ変更されたWRX STI(VAB)。
シンメトリカル4WDが売りであるはずのWRXを、あえて2WD化する魅力はどこにあるのか?この記事をご覧の皆さんも写真を見ながら一緒に探っていきましょう。
Text : Shingo MASUDA / Photo : Takanori ARIMA
2WDにしたきっかけは面白そうだったから
「4WDを捨ててなぜ2WDにしたのか?」
mature代表の増渕さんに、取材序盤であえて素朴な質問をしてみたところ、「GC8のころ、周りにやっている人がほとんどいなくて面白そうだったから」と、実にシンプルな答えが返ってきました。
そう、matureの作り出す車はシンプルに楽しいという、チューニングカーの原点とも言うべきコンセプトで作られていることが大きな特徴なのです。
今回取り上げたこの車両は、購入当初4WDのままカスタムする予定だったそうですが、潔くフロントのドライブシャフトを撤去。
ステアリングの切れ角をアップさせるオリジナルナックルやフロントへの駆動をキャンセルするセンターデフロックなど、今では完全なドリフト仕様になっています。
ORC製メタルツインプレートクラッチの奏でる『シャラシャラ』といったバックラッシュ音や、機械式LSDによって旋回時にリアタイヤを引きずるシーンは、WRXとは思えない"ドリ車感"を演出。
ディテールをチェック!その見た目からも滲み出るただ物ではないオーラ
目にも鮮やかなボディカラーは、ただのオールペンでも流行りのラッピングでもなく、『HALO EFX』というアメリカ製の剥がせる塗料を使用し、matureで施工したもの。
言われなければオールペンに思える仕上がり具合は、ボディワークも得意とするmatureならではといったところでしょう。
片側60mmワイドになるmatureオリジナルオーバーフェンダーKitにインストールされるのは、前後10.5jオフセットフロント-6/リヤ-8という深リムのWORK MEISTER M1。
街乗り仕様だというタイヤはNITTO NT05 275/35R19をチョイス。
ややオーバーサイズ気味にすることで、タイヤにボリュームを持たせ“塊感”を上手に演出しています。
matureオリジナルのフロントアンダースポイラーとサイドアンダースポイラー、そして、S208のエアアウトレットをリヤバンパーに埋め込んでいる以外、外装の変更点はなし。
それでもここまで存在感を出せるのは、matureがいかに純正のスタイリングを熟知しているかという証です。
HIGHT SPARK IGNITION COILの費用対効果は絶大だった!
matureと言えばチューニングされたイグニッションコイル「HIGHT SPARK IGNITION COIL」を忘れてはいけません。
このHIGHT SPARK IGNITION COILは、グレードの高いワイヤーを使用しコイルの巻き数を変更、2次電圧を上げることでスパーク(プラグから発する火花)を強化。
その結果、静粛性の向上やトルクアップが期待できます。
今回のデモカーにはHKSのGT3RSタービンが取付けられ、ブースト1.5㎏/㎟で最高出力は約386psと、ドリフトをするには十分なパワーが与えられています。
しかし、純正よりも大きなタービンに交換すると起こりやすいのが、低回転域でのトルク不足。
大きなタービンは満足な加給圧に上がるまで、どうしても高い排圧が必要になるため、タービン交換車は低回転のトルクをどう補うのかが肝なのです。
HIGHT SPARK IGNITION COILを装着すると、燃焼室内で強い火花が飛ぶことで今まで燃焼しきれていなかった燃料をより完全燃焼に近い状態にし、レスポンスとトルクを向上させ、低回転域でのトルク不足を解消。
実際、取材当日の試乗でも、純正との付替えを行いその差がはっきりとわかるほどで、例えるなら排気量が上がったような感覚を得ることができました。
(当日はレギュラーモデルを装着) mature増渕さんによると、『ノーマル車両でも十分体感できますが特に吸排気系+ECUを変更している車両は、非常に相性が良く驚くほど体感できます』とのことで、商品の自信のほどがうかがえます。
(左2個:レギュラーモデル 右2個:プレミアムモデル(近日発売)※プレミアムモデルは、電気の流れをスムーズにし更にトルク感をUPさせるスペシャルカスタム仕様)
もちろん、今回のデモカーのようなチューニングカーではなくとも、HIGHT SPARK IGNITION COILの効果は絶大。
最近の低燃費車に搭載されるリーンバーンエンジンでも、燃焼のきっかけとなる火花が強くなることで、燃費や静粛性の向上などが期待できます。
価格も純正イグニッションコイルと同等に抑えられているため、非常にコストパフォーマンスに優れている点も大きな魅力。
愛車のパワーアップはもちろん、最近エンジンの元気がないと感じている方にも是非オススメです。
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