お手軽な車いじりパーツの定番、ハンドルカバー。ハンドルはいつも触れる部分なうえ、視覚的にもドレスアップ効果が高く装着時の満足度もピカイチ!
クルマ好きでなくとも装着している人の多いハンドルカバーですが、あなたは本当に正しく選べていますか?
本記事ではなぜハンドルカバーを付けると運転しやすくなるのかを力学的な面から考察したり、ハンドルカバーがもたらすメリットとデメリット、装着方法別の違いなども解説。
さらにハンドルカバーいらずになる?正しいハンドルの持ち方と回し方も同時に解説していきます!
ハンドルは運転操作の良し悪しに直結する部分。みなさんも正しい知識を身につけて安全で楽しいドライブをしましょう!
ハンドルカバー、みなさんは付けてますか?
ハンドルがドライバーが車を運転する際に操作する、最も重要なパーツのひとつなのは言うまでもありません。
運転中ずっと持ち続けている必要があるハンドルですが、常に触れる部分だけに少しでも自分に合った物にしておきたいですよね!
昔はハンドル自体を交換することも多かったのですが、昨今のクルマはエアバッグやスイッチ類が増えて交換自体が困難になってしまいました。
そのような事情もあり、取り付けている人も多いのがハンドルカバー。
誰もがいちどは見たことがあり、また実際に使っている人も多いのではないでしょうか?
本記事では、ハンドルカバーのメリット・デメリットと種類、
そしてハンドルの正しい持ち方・回し方について解説していきます!
そもそもハンドルカバーってどんなパーツ?
ハンドルカバーとは文字通りクルマのハンドルに取り付けるカバーのことで、手の汗や疲れを軽減するために使用されるアイテム。
ハンドルにフィットする形状にデザインされており、滑りにくい素材でできています。
ハンドルカバーは現代の車に装着される定番アフターパーツの一つですが実は意外にその歴史は古く、ルーツは20世紀前半まで遡ります。
20世紀前半、クルマのハンドルは細い金属製が一般的でした。
夏場は手汗でハンドルが滑り、冬場はキンキンに凍てつくハンドルが手を冷やしてしまい、運転が困難な状況になることがありました。
そのためドライバーたちが自ら布や皮などを巻いてハンドルを保護し、握りやすくするようにする工夫をするようになったのです。
例えるならラケットや金属バットのグリップに巻くテープのようなイメージでしょうか。
現代のハンドルカバーと形状こそ違うものの、目的や手段としての源流はここにあります。
その後現在のようなハンドルにかぶせるタイプのハンドルカバーが開発され、特に回しやすさが必要かつ長時間運転をするトラック運転手たちの定番アイテムとなりました。
当時のデコトラブームも手伝い、実用性だけでなくドレスアップという目的も加わったことで素材やデザインが多様化していき現在に至っています。
パワーステアリングが当たり前になり、純正ハンドルが進化した現代でも、お手軽なグレードアップアイテムとして多くのクルマにハンドルカバーが装着されています。
特にエアバッグの普及などでハンドル交換が困難になってきたことで車種専用のハンドルカバーなども増加傾向。
また最近ではハンドルヒーター機能を備えた商品も販売されており、冬場にありがたいお役立ちアイテムとなっています!
ハンドルカバーのメリット・デメリットを解説!
ハンドルカバーのメリット:お手軽さと満足感の高さが魅力♪
ハンドルカバーをつけると得られるメリットは
- 握りやすくなる:ハンドルカバーは手にフィットする形状で作られており、滑りにくい素材でできているため、握りやすくなる。
- 手の疲れを軽減する: 持ち手が太くなることで手とハンドルの接触面積が増え、特に手が小さかったり握力の弱い人は長時間の運転で手の疲れの軽減を期待できる。
- 気軽にドレスアップできる:ハンドルは普段運転するときに常に視界に入る部分なうえ、車内でも存在感のあるパーツのため、簡単取り付けで価格も比較的安いハンドルカバーはイメチェン効果が高く満足度も高い。
- ハンドル本体の保護 :ハンドルカバーを取り付けることで汗や皮脂、擦れなどからハンドルを保護するため、ハンドル自体の寿命を延ばすことができる。
- 冬場の寒さを和らげる :冬場の「ヒヤッ」とした冷たさを和らげて、ヒーターが効いてくるまでの冷え防止になる。
特にかぶせて装着するスリップオンタイプは工具も要らず、価格もカー用品にしてはリーズナブルなため、コスパ良く満足感を得られるアイテムとして不動の人気を得ています!
ハンドルカバーを付けると回しやすくなる理由は「スポーツカーに近づくから」だった!?
ハンドルカバーを取り付けると運転がラクになる理由を一言で表すならば
「スポーツカーのハンドルのつくりに近くなるから」と言えるでしょう。
一般的にスポーツカーは、乗降性の確保や、少ない操作量でクイックに操作できるようにハンドルの直径を小さく作る傾向にあります。
しかし直径の小ささに比例してハンドル軸からの距離が近くなり、レバレッジ(てこの原理)が弱くなることで操作に大きな力が必要となってしまいます。
そこでスポーツカーのハンドルは、握り手を太くすることで手のひらとの接触面積を増やし、直径が小さく重いハンドルを少ない力で回せるよう設計されています。
さらにグリップ部分には滑りにくい素材を使用し、しっかりと持てるよう形状にも工夫を凝らしているのです。
これらスポーツカーのハンドルの特徴と、ハンドルカバーを付けたときのメリットを比較すると、実は目的としては非常に近しいということに気づきますね。
なぜ!?軽自動車ユーザーにハンドルカバーが人気の理由
ハンドルカバー装着率の高い車種ジャンルとして軽自動車が挙げられますが、これにもちゃんと理由があります。
軽自動車のハンドルは、一部の例外を除いて
- シートから遠い
- 直径が小さい
- グリップが細い
これらは主に、限られた車体サイズのなかで最大限の室内スペース効率を追求した結果発生するもので、いずれも運転のしやすさという点においてはマイナスに働いてしまいます。
そこでハンドルカバーをかぶせることで、足りない直径と太さを補い、さらに少しでもシートと近づくよう工夫するユーザーが多いのです。
また、軽自動車は取り回しと利便性が良いため、女性や高齢者などが主要なユーザーです。
この点もハンドル操作を少しでも楽にするためのハンドルカバー装着を後押ししているといえるでしょう。
ハンドルカバーのデメリット:正しく選ばないと危険も!
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汚れやすい:ハンドルカバーは材質的に手垢や汚れが付着しやすいものも多いため、こまめに掃除する必要があります。劣化が進むとカバーがベタベタすることも。
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運転に支障をきたす場合がある: ハンドルに適合するサイズでなかったり、作りが粗悪なものを選んでしまうと操作性が悪化するケースも。
例えば分厚過ぎるものなどはハンドルを握りにくくなり、かえって疲労や運転操作のミスに繋がりかねません。 -
感触が変わって戸惑う: ハンドルカバーを取り付けることで、ハンドルを操作する感触も変化します。
カバーの素材や厚み、形状によって慣れ親しんだハンドルの操作感が変わり戸惑うことも。
そのクルマごとにハンドルの形状やフィッティングは様々なため、車種専用設計のものを選ぶと確実で安心です!
かぶせるだけじゃない!ハンドルカバーの種類を取り付け方別にご紹介
ハンドルカバー選びの注意点!
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サイズを必ず確認する:ハンドルカバーを購入する前に、必ずハンドルのサイズを計測してください。ハンドルにフィットしないサイズを選んだ場合、運転中にズレたり、外れたりして事故につながることも。
また、近年はハンドルの形状も車種によりさまざまなため、車種別専用品を選ぶと確実です。 -
素材をしっかり検討する: ハンドルカバーの素材には多くの種類があります。
本革、合皮、エナメルにムートン…と様々ですが、見栄えだけでなく、滑りにくく自分の手になじむ素材を選ぶようにするのが重要です。 -
適切な取り付け方法を選ぶ:ハンドルカバーは、かぶせるタイプだけでなく糸で編み上げる方法などもあります。(以下で解説)
自分の目的や技量に合ったタイプを選び、正しく取り付けることが何より重要です!
スリップオン(かぶせる)タイプ:工具不要!お手軽だけど根気とパワーが必要
スリップオンタイプは、ハンドルカバー内側に円形配置されたゴムの力でハンドルと摩擦し、固定されるタイプのものです。
いわゆる「かぶせるハンドルカバー」とよばれるもので、工具不要の手軽さから長年ハンドルカバーのスタンダードとして広く普及してきました。
工具は不要ですが、最大のネックは装着するのに非常にチカラが要ること。
筆者は多少腕っぷしに自信のあるほうの成人男性ですが、それでも製品や車種によっては装着するのに相当の根気が必要となります。
力に自信のない人や初めて取り付ける人は、ハンドルカバーを押さえる役と2人で作業すると比較的ラクに装着できるかと思います!
編み上げ(編み込み)タイプ:手間はかかるが抜群のフィット感と仕上がり!
いっぽうもうひとつハンドルカバーの装着方法でメジャーなのが、編み上げ(編み込み)タイプと呼ばれるもの。
これは本革や合皮でできたカバーを、付属の糸と針でぐるっと一周編み込んでハンドルに装着する方式となっています。
ハンドルカバーではなく「巻き替えキット」と呼ばれている商品もこのタイプに含まれます。
糸と針を使うのとやや時間が掛かるため作業難易度としては比較的高めですが、そのぶん仕上がりの美しさとハンドルへのフィッティングは抜群!
ハンドルカバーであることを感じさせない自然なルックスを手に入れることができます。
また、運転中にズレるリスクが低いのも編み上げタイプの美点のひとつです。
©Spiegel
大体のキットの場合あらかじめカバー側にミシン目を空けてあることが多く、裁縫の心得がなくても説明書の順序通り作業すれば取り付け可能です!
こだわり派のみなさんは是非挑戦してみては?
疲れない!回しやすい!ハンドルは正しい持ち方を心掛けて。
元も子もないこと言います。理想はハンドルカバーを使わずに済むこと。
ここまでハンドルカバーについて紹介してきましたが、実は機能的な観点からするとハンドルカバーは必須ではないという見方もできます。
あまりに身も蓋もない話ですが、ドレスアップ目的はともかくハンドルカバーはあくまでもハンドル操作の補助パーツ。
いっぽうクルマの純正ハンドルは、完ぺきとは言えないまでも非常によく研究された人間工学に基づいて設計されているため、正しい持ち方を習得することで疲労感や回しにくさというネガを大幅に低減できるのです。
もっとも、ハンドルカバーを取り付けることは決して悪いことではありません!
体格や手の大きさ、筋力などの個人差によって生じる運転しにくさを補ってくれる有用なパーツなので、正しいハンドルの持ち方を知ったうえで有効に活用しましょう!
【すぐ実践!】正しいハンドルの持ち方を解説!
ハンドルの真横を持つ。車種によっては正しい指の位置に膨らみがあることも。 ©モタガレ 筆者撮影
- 手の位置:おおよそ時計の3時15分の位置で持つ。
当時と比較して現在はハンドル操作が軽くなり、さらにハンドルを左右に回す回転数(いわゆるロック トゥ ロック)も少ない傾向があります。
時代と共にハンドルの設計自体も変化し、現代のクルマのハンドルは円の中心を通る弦上、すなわち3時15分の位置で持つように設計されているものが多いです。
人体の構造上、3時15分の位置で持つことで自然にほどよく脇が締まり、胴体で内肘を軽く支える形になることで腕への負荷を軽減できるうえ、腕の可動域を大きく取ることができます。
すなわちハンドルを楽に持って大きく動かせるポジションが9時15分の位置というわけです。
また9時15分の位置から左右にハンドルを切ると、持ち替えまでちょうど約180度の位置まで回すことになるため、自分がどれくらいハンドルを回したかを感覚的につかみやすいというメリットもあります。
「握る」のではなく外側から「包む」イメージで。 ©モタガレ 筆者撮影
- ハンドルの持ち方:しっかりと、でも無駄な力は込めずに。掌を密着させハンドルの外側から両手で包むように。
試してみればわかりますが、人間の腕は強く物を握ると硬直してスムーズな動作が難しくなります。
特に現代ではパワーステアリングの効果で少ない力でもハンドルを回せるため、ハンドルをギュッと握りしめる必要はまったくありません。
余計な力を抜いて、手のひらとハンドルの間を密着させ、外側からしっかりと包むイメージです。
親指と人差し指は軽く、中指と薬指でほどよくグリップするとハンドル操作がしやすく疲れづらいです。
例えるならゴルフクラブや野球のバット、テニスラケットを持つときの感覚に近いともいえるので、経験者は参考にしてみるのも良いでしょう!
腕を大きく使って半周ずつを目安に持ち変える。 ©モタガレ 筆者撮影
- ハンドルの回し方:手首の力だけで曲げず、肩や腕の重さを上手に使って。
ハンドルを正確かつラクに操作するためには、肩をやわらかく動かし、腕の重さを使って引っ張る方向の力で操作します。
こうすることで無駄な力を使わずスムーズで疲れにくいドライビングができるのです。
また曲がり角などでハンドルを大きく切る際には、腕を交互に使いながら9時15分の位置でおよそ半周ずつ持ち替え、スムーズに回すように心がけると良いでしょう。
以上が正しいハンドルの持ち方と回し方のポイントの簡潔なまとめです。
基本をしっかり守って、安全でスムーズなドライビングを心がけましょう!
【絶対やめて!】こんなハンドルの持ち方・回し方はNG!
いっぽう、ついついやりがちな間違ったハンドルの持ち方や操作もまとめました!
片手12時持ち ©モタガレ 筆者撮影
- 片手12時持ち
シートの背もたれを倒し気味にして片ひじを窓枠やアームレストに乗せ、ハンドルの一番上を持つ乗り方ですが、もちろんこれはNG。
このハンドルの持ち方は左右に回せる量が極端に少なく、とっさの操作に対応できないため非常に危険です!
また身体もうまく固定できず路面の凹凸やコーナーの横Gでグラグラとふらつき、通常時の運転にも支障をきたします。
まさに百害あって一利なし。絶対にやめましょう!
いわゆる「パーハン」、「リフト回し」 ©モタガレ 筆者撮影
- パーにした手のひらで片手回し
いわゆる「パーハン」とか「フォークリフト回し」などと呼ばれている回し方です。
この回し方はハンドルを持たず手のひらの一部の摩擦だけで回すことになるため、路面の段差などほんの少しのキッカケで手がスリップし、重大事故につながる恐れがあります。
もちろんイザというときの緊急回避などが出来ないことはいうまでもありません。
また、この回し方はハンドル自体の表面を著しくすり減らすため、ハンドルの傷みが大幅に早くなります。
クルマを売却する際の査定基準に「ハンドルのスレ」という項目があり、ハンドルが傷んでいると査定額に影響してしまうのも見逃せないポイントです。
危険な目に遭ったり損をする前に、絶対にやめましょう。
内掛け。これはクセでやりがちな人も多いのでは? ©モタガレ 筆者撮影
- 手や指をハンドルの内側やスポークに掛ける
古くはパワーステアリングが普及していない頃、特にトラックやバスにおいて身体全体を使い重く大きなハンドルを回すために行われていた方法です。
ハンドルが軽く、直径も小さくなった現代のクルマにおいては必要のないテクニックになりました。
スポークに指をかけておくのは骨折やエアバッグ展開時の事故など非常に危険。 ©モタガレ 筆者撮影
また、ハンドルのスポークに指をかけて操作するのも非常に危険です。
段差や大きな穴など、さらに衝突時にタイヤに受けた衝撃の反動でハンドルが急に回る現象 いわゆる「キックバック」に巻き込まれて指を骨折したり、エアバッグ展開時に手を弾かれて顔面を直撃したりと重大な事故に繋がりかねません。
ハンドルは必ず外側から包み込む形で持って回すよう心掛けましょう。
まとめ:まずはハンドルの正しい持ち方を心がけて。ハンドルカバーで上手に補助しよう。
ハンドルはいつも手に触れる部分。だからこそ安全に、正しく、こだわって。
いかがでしたでしょうか。
ハンドルカバーは手の疲れや滑り、振動、手の汗など、運転中に発生する様々な要因を気軽に軽減することができる便利なアイテムです!
これにより運転中の快適性が向上し、運転にいっそう集中できるようになります。
運転に集中できれば安全性が向上し、ドライブ自体も楽しくなることでしょう。
さらに手軽に大きく車内のイメチェンができるのも大きな魅力。
いつも触れて目に入る部分だけに満足度の高さもひとしおですね!
正しいサイズや手へのフィット感、自分に合った取付方法などを吟味し、車種専用品も視野に入れて最高の逸品を手に入れてほしいと思います。
また、正しいハンドルの持ち方と回し方も同様に重要です。
ハンドルは運転操作の良し悪しに直結する部分。
みなさんも正しい知識を身につけて安全で楽しいドライブをしましょう!
それでは、よいカーライフを!