皆さんが日本国内で乗っている国産メーカーのクルマには、必ず車台番号と車両型式が存在しています。
車の純正パーツやアフターパーツを探す際、車両型式や年式、グレードなどを参考に適合する商品を探しますが、アフターパーツメーカーによって車両型式の略し方や呼び方、表記が異なります。
今自分が乗っている車両は、世間一般ではどのように呼ばれているのか?
メーカー別に解説をしていきます!
なぜ型式を略すのか?
例えばトヨタのプリウスの場合、
・6AA-ZVW60
・6AA-ZVW65
・6AA-MXWH60
・6AA-MXWH65
・6LA-MXWH61
といった車両型式が同一年代の車両に存在しています。
全て同じ年代のプリウスであり、見た目はほとんど同じであるものの、エンジンが異なったり、駆動方式が異なったり、HVやPHVといった違いが型式から読み取ることが出来ます。※後述で解説します。
2024年現在であれば「現行型のプリウス」という言い方をすれば通じますが、当然モデルチェンジを重ねれば旧型や先代と言ったように呼び方が変わってきます。
そこで車両型式の一部を使用し、「その車両のモデルが分かる一般的な名前」というのが「略した車両名」となり、世間一般で呼ばれるようになります。
パーツ適合などを取る際、自動車ディーラーで純正部品を注文するのであれば、車両型式から正確に適合する部品を検索・発注をすることが出来ますが、アフターパーツメーカーなどでは対応できているメーカーとそうでないメーカー、また対応しなくても販売上問題ない製品が存在します。
またパーツを探す上で、いきなり車両型式でインターネットの検索エンジンを探しても、対応できているメーカーがある場合は、そのパーツはヒットしません。
しかし、「略した車両名」については大部分のメーカーが対応しており、彼らも「略した車両名」に準じてWebページを作成したり、車両をカテゴライズしています。
もちろん車両型式は自動車メーカーごとにアルファベットや数字の意味が異なり、「意味のわからない文字の羅列」に見えますが、紐解くことで今自分が乗っている車両が「どんな種類」「搭載しているエンジン」「駆動方式」と言ったところまで見えてきます。
以下、各メーカーごとに型式にどのような意味があり、どのように呼ばれるのか?略されるのか?解説していきます。
トヨタ・レクサス車の型式の意味、呼び方・略し方
前述にもあったプリウスの例を引き継ぎ解説を進めると、
・6AA-ZVW60
・6AA-ZVW65
・6AA-MXWH60
・6AA-MXWH65
・6LA-MXWH61
上記のプリウスは一般的に「60系プリウス」または「60 プリウス」と呼ばれます。
排ガス区分を除いたトヨタ車の型式を紐解くと
・ZVW60
Z→ZZ型エンジンを搭載
VW→3代目以降の1.8Lエンジン搭載車のプリウスの識別コード
6→5代目プリウスのモデルコード
0→2輪駆動を示す(プリウスの場合)
・MXWH65
M→M型エンジンを搭載
XW→2Lエンジン搭載車のプリウスの識別コード
H→ハイブリッドを意味する
6→5代目プリウスのモデルコード
5→4輪駆動を示す(プリウスの場合)
となります。
トヨタ車やレクサス車の場合、末尾の数字にその車両のモデルを示す共通の番号が与えられているため、その数字をもとに「60 プリウス」という言い方となります。
車両名よりも型式が有名になってしまっているAE86(スプリンタートレノ・カローラレビン)は一体どうなのか?
・AE86
A:A型エンジンを搭載
E:カローラ系の識別コード
8:モデルコード
6:1.6Lエンジン搭載車
となります。
そのため、トヨタ車の通例の解釈でAE86を紐解くと、「80系カローラレビン」「80系スプリンタートレノ」「80 カローラレビン」「80 スプリンタートレノ」区分されますが、あまりにも「AE86」が一人歩きしている状態であるため、AE86で区分されることもあります。
また、トヨタ車の型式の法則や命名規則については年代や、アルファベットの組み合わせを使い切ってしまった、同型の年代別の車両が存在しないようにする措置もあるため、他の自動車メーカーに比べてかなりややこしい型式となります。
代表的な車両のシャシー系譜
前述にあったAE86の「カローラ系」というように、トヨタ車に限らず、型式の1つに必ず「どの車両をベースとした車なのか」というのが含まれていることが多いです。
トヨタ車について以下、代表的な車両コードを紹介します。
E:カローラ系→カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツ
P:パブリカ系→アクア、ヴィッツ、ヤリス、スターレット、
J:ランドクルーザー系→ランドクルーザー、FJクルーザー
H:ハイエース系→ハイエース、アルファード、ヴェルファイア
S:クラウン系
F:セルシオ系→セルシオ、レクサスLS
アクアやヤリスと言った、車両の系譜がかなり長く続いいている車両の場合、CPやXPと言った頭にアルファベットを追加して車両を識別する、といった方法がとられています。
日産車の型式の意味、呼び方・略し方
日産車の場合、呼び方や略し方についてはトヨタ車ほど複雑ではありません。
例えばセレナで排ガス区分を除いた場合
・C28
・FC28
・GC28
・GFC28
・NC28
・FNC28
となり、共通する「C28」がセレナのモデルコードを示しており、一般的に「C28型セレナ」「C28 セレナ」と呼ばれます。
1つ前のモデルは「C27」となり、基本的に新しくなると連番で数字が増えていくことになります。※一部例外有り
C28型セレナにおいてF,G,Nが意味するのは
F:3ナンバー車
G:e-Power車
N:4WD車
となります。
日産車の場合、このモデルコードのみで「どの年式の車種か」まで絞り込むことができるので、覚えておくと良いでしょう。
但し、型式が共通する姉妹車もあるため、注意が必要です。
例:
Y34→グロリア/セドリック
Y11→AD/ウイングロード 等
ホンダ車の型式の意味、呼び方・略し方
ホンダ車の型式については日産車のように3文字の英数字で表記されるものの、モデルや車種を絞り込むには「3文字が必要」という部分になります。
前述の日産車の場合(Xを何かしらの数字とした場合)、
C2X→旧バネット・セレナ系
R3X→RB搭載のスカイライン系
V3X→V型搭載のスカイライン系
E1X→ノート系
と言ったように、頭のアルファベットと2つ目の数字で、車種の系統まで絞り込むことが出来ました。
ホンダ車でも似たような表記にはなるものの、3文字揃ってようやく絞り込むことが出来ます。
例:ステップワゴン
RP1〜RP5→5代目 ステップワゴン
RP6〜RP8→6代目 ステップワゴン
というように、頭2つのアルファベットだけではモデルを絞り込むことが出来ません。
ホンダ車の型式の通例としては、「ボディが異なる」「エンジンが異なる」「駆動方式が異なる」と末尾の数字が変わるものの、アルファベット部分についてはフルモデルチェンジがあっても変更が無いことがあります。
そのため「RP型ステップワゴン」とは表記せず、「RP1〜5型ステップワゴン」「RP1〜5 ステップワゴン」と言ったように、型式をまとめて表記する形を取ることが多いです。
逆にマイナーチェンジなどで大きく仕様変更が行われ、数字の末尾が9を越える場合、アルファベットが変更になることもあります。
例:4代目フィット
2024年10月現在GR1〜8、GS4〜7が存在し
GR1→L13BエンジンのFF車
GR2→L13Bエンジンの4WD車
GR3→LED-H5 e:HEVのFF車
GR4→LED-H5 e:HEVの4WD車
GR5→L13BエンジンのクロスターのFF車
GR6→LED-H5 e:HEVのクロスターのFF車
GR7→L13Bエンジンのクロスターの4WD車
GR8→LED-H5 e:HEVのクロスターの4WD車
GS4→L15ZエンジンのFF車
GS5→L15ZエンジンのクロスターのFF車
GS6→L15Zエンジンの4WD車
GS7→L15Zエンジンのクロスターの4WD車
となっており、同一モデルの中でも細かく型式が存在しています。
また1文字目のアルファベットには意味があり、トヨタ車や日産車と同様に車両の系譜を表すものになります。
以下、代表的なものを紹介します。
G:シティ系→シティ、ロゴ、キャパ、フィット、フリード等
E:シビック系→シビック
F:シビック系→シビック
R:SUV&ミニバン系→ステップワゴン、ヴェゼル、CR-V等
C:アコード系→アコード、インスパイア
J:軽乗用車系→Nシリーズ、ライフ等
H:軽貨物系→バモス、アクティ等
Z:ハイブリッド/EV/FCV専用車系→CR-Z、インサイト、FCXクラリティ
旧D:インテグラ系→インテグラ
新D:クロスオーバー系→WR-V※R+アルファベットの組み合わせを使い切ったため、Dに移行。
スバル車の型式の意味、呼び方・略し方
スバル車の型式は、表記としてホンダ車のようにアルファベットと数字を組み合わせたものになります。
ただスバル車の場合、頭2つのアルファベットのみで車両のモデルまで把握することができるので、比較的わかりやすく覚えやすいことが挙げられます。
例:2014〜2021年のWRXの場合
・VAB
・VAF(北米専用)
・VAG
例:2021年〜のWRXの場合
・VBH
となり、「VA」が2014〜2021年のWRX、「VB」が2021年以降のWRXというのが分かり、「VA型WRX」「VB WRX」と言った表記になります。
スバル車もホンダ車と同様に頭文字のアルファベット1文字で車種の系統を把握することができます。
B:レガシィ系→レガシィ、アウトバック
G:インプレッサ系→インプレッサ、XV、クロストレック
V:WRX
S:フォレスター
Y:エクシーガ
Z:BRZ
マツダ車の型式の意味、呼び方・略し方
マツダ車もスバル車と同様に、頭2つのアルファベットで車種とモデルを把握することが出来ます。
例:MAZDA3の場合
・BPEP
・BPFP
・BP8P
・BPFJ3P
・BP5P
・BPEP
・BP5R
・BP8R
・BPFJ3R
・BPEK3R
となり、「BP」の2つでモデルと車種がわかることから「BP型MAZDA3」「BP MAZDA3」となります。
但し、MAZDA3ではファストバックとセダンの2つがあるものの、マツダ車の場合「ボディが異なっても同じ型式が存在する」ため注意が必要です。
頭文字のアルファベットには車種の系統が表されており、以下の通りとなります。
・D:小型車系→デミオ、ベリーサ、MAZDA2、CX-30、MX-30
・B:5代目以降のファリミア系→ファミリア、アクセラ、MAZDA3
・G:4代目以降のカペラ系→カペラ、アテンザ、MAZDA6
・N:ロードスター系→ロードスター
・K:CX-5以降クロスオーバー系→CX-5、CX-8、CX-60
スズキ車の型式の意味、呼び方・略し方
スズキ車は他メーカーと比べて、型式に規則性はあるものの、略称や呼称はあまり存在しないことが特徴です。
例:3代目スイフトの場合
・ZC13S
・ZC43S
・ZC53S
・ZC83S
・ZD53S
・ZD83S
となっており、「ZCX3」が3代目スイフトの2輪駆動を指しており、「ZD」は4WDモデルを指します。
また中央3文字目の数値は、エンジン型式の違いなどで異なる数字で、頭から4つ目の数字が車種ごとの何モデル目を表す数字となっています。
末尾の「S」はセダンを示しており、ジムニー(W)などを除きほぼ全ての車両に「S」がつきます。
そのため、「ZC13S型スイフト」「ZC13S スイフト」と言った表記や呼び方となり、かなり縮めて「13 スイフト」と言ったりすることもあります。
また4代目スイフトの場合、数字ではなく全てアルファベット表記の片式となります。
・ZCDDS
・ZCEDS
・ZDDDS
・ZDEDS
といった表記となるものの、3文字目と4文字目のアルファベットを従来表記の数字に置き換えると
DD→44
ED→54
となるため、4代目モデルであることが確認できます。
ダイハツ車の型式の意味、呼び方・略し方
ダイハツ車もスズキ車同様に型式に規則性はあるものの、略称や呼称はあまり存在しないことが特徴です。
例:4代目 タントの場合
・LA650S
・LA660S
となり、「LA650S型タント」「LA650S タント」といった表記や呼び方で、さらに縮めると「650系タント」といった呼び方をする場合もあります。
英数字の意味としては
L→ボンネット付き軽自動車
A→追加記号(元々はLのみで、足らなくなったためAを追加した)
650→車両のモデルを表す。650の場合、650は2輪駆動、660を4輪駆動となる
S→5ナンバー自家用
となります。
他のメーカーと異なり、車両の系譜的な意味合いは含まれておらず、デビューした車両ごとに規則に則った型式を割り振っている、という認識になります。
三菱車の型式の意味、呼び方・略し方
三菱車はホンダ車に近しい規則性で、エンジンやボディ形状が異なることで車両型式が異なるものの、略称や呼称はあまり存在しません。
例:4代目パジェロの場合
・V83W
・V87W
・V88W
・V93W
・V97W
・V98W
となっています。
英数字の意味としては
V8→4代目パジェロのショート(3ドア)モデルを示す
V9→4代目パジェロのロング(5ドア)モデルを示す
3,7,8→搭載するエンジンにより異なる
W→ステーションワゴン
となります。
末尾のアルファベットはW以外にも
A:小型、セダン、スポーツ
T:トラック
V:バン
と分けられており、3代目ランサーエボリューションのセダンモデルとワゴンモデルは、
・CT9A(セダンモデル)
・CT9W(ワゴンモデル)
と分けられていることが確認できます。
但し、軽自動車では末尾がWになるものもあれば、Aになるものも存在します。
OEM車について
OEM車の場合、製造元メーカーの型式が基本的には採用されることが多く、日産・クリッパーバン、三菱・ミニキャブバン、マツダ・スクラムバンの場合、スズキ・エブリイバンのOEM車となるので、
クリッパーバン:DR17V
ミニキャブバン:DM17V
スクラムバン:DG17V
エブリイバン:DA17V
と言ったように、各社で異なる型式が与えられているものの、年代や車種が絞り込まれる型式となります。
また、NMKV(日産・三菱の合弁会社)製の車両の場合、日産と三菱両方の社内型式が持たれるようになり、例えば日産・サクラと三菱・eKクロスEVの場合、
サクラ:B6AW(KE0)
eKクロスEV:B5AW
とどちらにも製造元である三菱準拠の型式が与えられているものの、サクラには日産の社内型式としてKE0が与えられています。
まとめ
一見わかりにくい型式でも、メーカーごとにコツが掴めると、覚えやすくなり型式を聞くだけで車種やモデルまで判別できるようになります。
アフターパーツ探しの際には略称がキーワードになってきますので、自分が乗っている車の型式を調べる際は参考にしてみてください。