マフラーの法規制について理解できていますか?カスタムする上でも知っておくべき法律なんです!

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クルマのドレスアップやチューニングの中でも簡単に手をつけられる割に、音質や見た目の変化が喜ばれるほか、場合によっては性能アップも見込めるため、手軽に行われる傾向が強い「マフラー交換」。

しかしこれが平成時代の半ばあたりから次第に規制強化され、しかもさらなる規制を視野に入れた「当面はそのまま」なんて文言も入ったりで、マフラーを扱うメーカーやショップ、実際に装着車に乗るユーザーにとっては頭の痛いところです。

今回はその「マフラーの法規制」について、ザックリとまとめてみますが、あくまで令和5年(2023年)12月現在の話であり、ある日突然「旧車も含めてもういろいろとダメ!」になる可能性も含めて、皆さん心の準備はしておいた方がいいかもしれません。

車検時のマフラーで注意すべきは主に2種類

出典:https://www.flickr.com/photos/nenadstojkovic/50493453748/

マフラーの法規制と言っても、大半のユーザーが頭に入れておくべきは主に2種類、「近接排気騒音」と「認証プレートの有無」です。
年式や生産時期、マフラーの適合範囲によってマチマチなので、以下にいくつかポイントを記載しましょう。

経年劣化に注意!近接排気騒音

自動車の騒音源はマフラーからの排気音のみならず、他にも走行時の風切り音やタイヤの転がり音、エンジン音などがあり、電気自動車でも走行時のタイヤ転がり音などで案外静かではなく、接近に気づいたという方も多いでしょう。

これら自動車の総合的な騒音をまとめて規制、現在の電気自動車でもタイヤの転がり音でアウト!というほど厳しい騒音規制(通称”フェーズ3”)が予告はされているものの、2023年12月現在ではいつから始まるのか、そもそも始められるのかも含めてまだ未定。

排気音も走行中の計測を車検時に行うのは現実的ではないため、現状は車検ライン上で検査官が「怪しい」と感じた車両のエンジン回転を上げて計測する「近接排気騒音」のみ。

これは後ほど説明しますが、年式によって規制値が異なり、最新車種では音量を上げるようなマフラー交換による車検通過は、ほぼ不可能というほど厳しくなっているほか、新車販売の継続が困難で消えていく車種すらあるような状態になっています。

また、経年劣化による音量増加も許されなくなるため、後述する認証プレートつきマフラーはもちろん、純正マフラーですらも劣化や破損で規制音量を超えれば車検は通りません。

ホントにその車種に適合してる?認証プレートの有無

平成22年(2010年)3月以前に生産されたクルマなら、近接排気騒音を含むその時代の規制をクリアしており、排気音以外に形状など各種保安基準をクリアしていればどんなマフラーでもOKだったのですが、同年4月1日以降に生産されたクルマなら、そうはいきません。

まずマフラー自体にいわゆる後付けでボルト締めなどによる容易に脱着可能な「インナーサイレンサー」が許されなくなり、消音装置は内部組み込み型しか許されなくなりました。

そのうえで、認証機関からの証明を受け、溶接などで強固に固定された性能確認済み表示、通称「認証プレート」が貼られたのを確認できるものしか、社外品のマフラーは認められなくなったのです。

有名な認証プレートには「JASMA」と呼ばれる組織の「JASMAプレート」があるものの、現在はJASMAというより「JQR」などの事前認証機関で性能が確認されたマフラーのみが認められています。

よくある「ワンオフマフラー作ったぜ!」的な話は、こと規制後の生産車に関しては完全に否定するものではないとはいえ、認証プレートがなければ車検に適合していないものとみなされてしまいますし、認証プレートを貼れるのはISO認証工場のみ。

つまり、昔のようにそのへんのショップで適当に作ってもらったワンオフマフラーでは、当然認証プレートが発行されないので近接排気音量が車検適合内でも不可。

また、「認証」についても、そのクルマの排ガス規制記号を含む厳密な型式、つまり同じ型式でもグレード違いや過給機の有無、トランスミッション(MT/AT/CVT)による違い、生産時期の違い、販売メーカーの異なるOEM車や共同開発車(トヨタ 86 / スバル BRZが好例)などで同一型式と認められない場合は不可。

当然、エンジンスワップやターボチューンなどでも適合外となりますし、記載事項変更などマル改で登録しても、同等型式と認めてもらえて車検に通るかどうかの確認が必要です。

次第に厳しくなる近接排気騒音規制

出典:https://www.flickr.com/photos/niephotography/16305214325/

次に、次第に厳しくなる一方の近接排気騒音規制について説明しましょう。
なお、各規制値はあくまで「一般的な乗用車」のものです。

平成9年以前の「平成元年規制」

平成元年(1989年)規制と通称されていますが、実際は昭和63年から導入されたのが近接排気騒音規制で、エンジンの搭載方法によらず「103dBまで」とされています。

長らく続いた平成10年・11年規制

わりと最近まで長らく続いたのが、通称「平成10年・11年規制」と呼ばれるもので、乗用車の場合、平成10年(1998)年以降のクルマ(※)は通常「96dB」、MR車やRR車など後部にエンジンを搭載するクルマは「100dB」。
(※定員7名以上は平成11年から)

軽自動車に限っては平成11年(1999年)から通常「97dB」、後部にエンジンを搭載するクルマは「103dB」のままとなりました。

一気に厳しくなった平成28年規制

規制が一気に厳しくなったのは平成28年(2016年)で、同年10月1日以降に生産が始まる国産の新型車、または令和4年(2022年)9月1日以降の輸入車や継続生産車が、通常「91dB」、後部にエンジンを搭載するクルマで「95db」までに抑えられます。

平成30年11月に新車時からの「相対値規制」を導入

ここまでは、あくまで車検時に近接排気計測騒音を計測した際の「絶対値規制」でしたが、平成30年(2018年)11月30日の国交省通達で、「新車時からプラス5dBを超えないこと」という「相対値規制」が導入されました。

これは一見すると「マフラー交換して音量が規制値より上がっても多少はOK」と思えますが、実際は車検証に記載された「近接排気騒音値」から5dBまではOK…という意味なので、仮に車検証記載値が80dBなら、85dBまでしかダメ。

つまり新車のマフラーでも劣化でそのくらいは許しますよ、交換する時もその範囲内でお願いしますというもので、車種によってはかえって厳しい規制となりました。

ただしこれはあくまで平成28年規制車に対するもので、それ以前の規制車については「当面」は従来通りです…ただし「当面」がいつまでかはわかりません。

今後も厳しくなる騒音規制…まだ楽しめるのは今のうち?

出典:https://www.flickr.com/photos/26344495@N05/49645012763/

近接排気騒音の説明でも書きましたが、今後は車検ライン上での近接排気騒音のみならず、走行時のさまざまな騒音に規制がかかり、しかもそれは日本国内限定ではなく、国連で定められた規則に応じて決まるため、日本だけがアレコレ言っても仕方がありません。

昔のように爆音や快音を響かせるマフラーのクルマが減り、電気自動車でなくともタイヤの転がり音や風切り音のほか、わずかなエンジン音と排気音が聞こえるかどうか…というクルマが増えたのには、そういう理由もあります。

他にも日産 GT-Rの廃止が噂されたり、ホンダ S660の廃止は車体が小さすぎ、ミッドシップ配置では十分な排気系の消音スペースが取れなかったから…と言われるなど、クルマづくりそのものにも影響が出てきました。

ましてや社外品マフラーへの交換など今後はほとんど困難になっていく…とまでは言わないものの、少なくとも昔のように「イイ音が聞きたいから」という理由では不可能になりつつあります。

「当面」は騒音規制が緩く、マフラー交換のハードルが低い旧車もいつまで許されるかわかりませんから、マフラー交換を楽しむなら今のうちかもしれませんね。

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