クルマ好きの皆さんなら一度は「タコ足」や「エキマニ」といった単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
正式には『エキゾーストマニホールド(以下エキマニ)』と呼ばれるこのパーツは、その名の通り排気(エキゾースト)にまつわる部品です。
排気系チューニングの定番といえばマフラー交換ですが、エキマニ交換はマフラー以上に効果的でスポーツ走行を楽しみたい方であれば、交換しておきたいパーツでしょう。
今回はエキマニに関する基礎知識から、エキマニの種類、エキマニ交換をするメリットなどをお届けしたいと思います。
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エキマニってどんなパーツ?
エキマニはエンジンで爆発したてのほっかほか……どころか超高温となった燃焼ガスが直接流れ込んでくる部品なので、エンジン外部の中で最も高温になる部品です。
つまり、排気系パーツの中でも最も負荷がかかるアイテムなので、耐久面はもちろん排気効率の要となるパーツでもあるため、しっかりとした目で選びたいですね。
エキマニは大まかに分けて、パイプ製と鋳鉄製の2タイプに分けられます。
鋳鉄製のエキマニ
photo by David Brown鋳鉄というのは型に鉄を流し込む事で製造する『鋳物(いもの)』なので量産に適していることから、メーカー純正状態で付いているエキマニはおおよそ鋳鉄タイプとなっています。
ロールスロイス製の戦車用エンジン『ミーティア』。 / photo by Bill Abbott
しかし、鋳鉄は非常に錆びやすい傾向があり、特にエキゾーストマニホールドは超高温状態に晒されるので信じられないほど錆が発生します。
皆さんもエンジンルーム内で、画像のように真っ赤になっているエキマニを見たことありませんか?
パイプ製のエキマニ
パイプ製のエキマニには大まかにチタン、ステン、インコネル、鉄などの材質が用いられます。
金属の中でも比較的さびにくいステンレスや、重量を軽くすることができるチタン、インコネルなどが人気です。
製造過程において曲げ加工や溶接など、生産工程に手間がかかることから比較的高価なパーツとなってしまいますが、純正の鋳鉄から交換するだけで、軽さはもちろん排気効率も考えられた設計となっているため、圧倒的にパフォーマンスを向上させることが出来るのです!
なんでタコ足っていうの?
エキマニがエンジンから出た排気ガスの1番最初の受け皿であることは前述の通り。
逆に排気系の1番最後の出口を務めるマフラーは、端っこなので交換も簡単です。
それに比べてエキマニはエンジン側に付いているため交換も容易とは言い難く、工賃的にも値が張るのでそこまで気軽に手を出せる品でもありません。
だからこそ、そこまでして交換するからには「排気効率を上げて、出力アップさせたい」と考える人が多いので、アフターパーツとして出回っているエキマニは圧倒的にパイプ製が多いのです。
排気効率を上げる為に、各社から様々な工夫が施されたエキマニが発売されていますが、排気効率を上げる上で最もオーソドックスな方法が『等長』です。
それぞれのシリンダーから出てくる排気ガスの通り道を同じ長さに整えてあげることで、排気ガスの流れをスムーズにし、排気干渉を無くそうというのが等長エキマニの考え方。
狭いエンジンルームの中で、上手いこと同じ長さになるように計算して、クネクネとうねるエキマニをタコの足に例えて『タコ足』と呼ばれるようになったのだとか。
等長が全てじゃない!
ここまで説明してきたように「エキマニ交換と言えば排気効率アップ!」
「排気効率アップと言えば等長エキマニ!」という考えがカスタム好きの間で定番化している考え方ですが、必ずしも「等長エキマニが正義!」という訳でもないのです。
エンジンチューンのスペシャリスト『東名パワード』からは不等長エキマニも発売されています。
排気菅の長さが不揃いだと、排気ガス同士がぶつかり合ってしまい、排気効率が下がってしまうことがあります。
このことを排気干渉と呼びますが、キチンと計算しつくされた不等長エキマニでは、逆にこの排気干渉から生まれる負圧を利用して、他の気筒の排気を引っ張ることで、中回転域のトルクを向上させる効果を狙うことができます。
特に排気ガスを利用するターボ車などは、不等長エキマニにすることで効率よくターボを稼働できるようなったりします。
つまり、必ずしも等長エキマニが高性能だというわけでもないのです!
まとめ
よく耳にするけど、意外と知らないエキゾーストマニホールドについてご紹介してみました。
排気系パーツの中でも1番後回しにしがちなアイテムですが、クルマのキャラクターにも関わる重要なパーツです。
車両によっては不等長だったり、鋳鉄製のエキマニの方が適している車種もあったりするので、この機会に自分の愛車の車種のエキマニを調べてみてはいかがでしょうか?