外出しようと車のエンジンを点火した時や、信号待ちで停車中にいつもより大きな振動を感じることはありませんか?
その原因の一つとして、エンジンマウントの劣化が考えられます。
この部品は地味ですが、機関部本体を支える非常に重要なパーツです。
そんなアイドリング時の振動と、エンジンマウントの関連性を解説します。
エンジンマウントとは
「エンジンマウント」とは、車に搭載されたエンジンを車体と繋いで固定する部品のことです。
点火後のエンジンは常に振動し続けているので、これをボルトやナットで固定しようとすると衝撃を吸収できず、車体が小刻みに揺れ続けてしまい、金具類も緩んでしまいます。
この機関部の振動が車体に及ばないように揺れを吸収し、エンジンの位置がずれてしまうのを防ぐことが、エンジンマウントの役割です。
機関部から発せられる振動を吸収する必要があるので、エンジンマウントの素材にはゴムが使用されており、これによって機関部の振動を制御し、エンジンの位置を固定できるのですが、
常に小刻みな揺れを受け続ける上、ゴムという痛みやすい素材を使用している都合上、エンジンマウントはどうしても劣化しやすいという欠点があります。
また、エンジンマウントが硬くなったり割れたりすると、機関部の振動が車体にも及ぶようになり、アイドリング時に小刻みな揺れを感じやすくなり、MT車だと低いギアへのシフトチェンジが上手くできなくなったりもします。
そのためもしアイドリング時の振動が大きい、低速時のシフトチェンジが上手くできないと言った不具合を感じる場合は、エンジンマウントが劣化している可能性があるのです。
エンジンマウントの交換時期
エンジンマウントは、一般的に走行10万kmが交換時期だと言われています。
これには個体差があるので一概には言えませんが、先述したアイドリング時の振動によって交換時期を判断することが可能です。
また走行距離が少なくても、長い年月を経た車はエンジンマウントが劣化している可能性が高いので、確認しておくと良いでしょう。
エンジンマウントの交換コスト
出典:写真ACエンジンマウントは小さなゴム製の部品なので、部品代はそれほど掛かりません。
1個3000~4000円ほどで、全部合わせても部品代は2万~3万円程度。
工賃は軽自動車だと1万円ほどで、大きい車だと2~3万円程度掛かります。
エンジンマウントの劣化を確かめる方法
A/T車の場合は、ギアをNからDに入れた時の振動の違いで、エンジンマウントの劣化を確認することができます。
Dに入れた時に振動が大きく伝わるようであれば、エンジンマウントが劣化している可能性が高いです。
もしそれでも分からない場合は、ふたりで確かめる方法があるので、ご紹介します。
サイドブレーキを目一杯引いた状態でブレーキを強く踏み、その状態でギアをDに入れ、この時にアクセルを少しだけ踏みます。
そうするとエンジンが上向きに動くので、その際、明らかに機関部が上に持ち上がるように動いた場合は、エンジンマウントが劣化していると考えてよいでしょう。
この方法を使う時は、必ず広い場所で行うようにし、かつ絶対に車の前には立たないように注意してくださいね。
エンジンマウントを交換しても振動が伝わる場合
エンジンマウントを変えても振動が車体に伝わってくるようであれば、ミッションマウントも痛んでいることが考えられます。
ミッションマウントはその名の通り、トランスミッションを支えている部品で、エンジンマウントと同じくゴムでできています。
そのためこちらも劣化しやすく、定期的な交換が必要です。
エンジンに比べるとゴムに及ぶ衝撃は小さいのですが、運転中は常にギアを変えるので劣化しやすく、特に高速走行時のギアチェンジでは、かなり大きなダメージを受けることも!
こちらの交換費用もエンジンマウントと同様、2万円前後掛かります。
エンジンマウントを放置しても車検には通る
エンジンマウントの劣化を放置していても、車検には通ります。
なぜなら、この部品に関する項目は車検にはないのです。
ただ、劣化したエンジンマウントを交換しないと乗車時の快適性が失われるばかりか、車の発進や減速時に音がするようになり、遂にはガタガタと車体が揺れるようになってしまいます。
エンジンマウントの交換時期は先述した通り10万kmが目安なので、他の部品と合わせて変えるとよいでしょう。
まとめ
エンジンマウントは、エンジンの振動が車体へ及ぶことを防ぐための大事な部品です。
愛車に長く安全に乗るためにも、エンジンマウントが劣化していないかをチェックし、その上で適切な対応をとるようにしましょう。