スポーツ走行をするなら、やはりマニュアル車に乗りたいと思います。
しかし、人気のスポーツカーの中古車は、オートマよりマニュアルのほうが高額だったりするもの。
安いオートマ車を購入して、マニュアルに載せ替えれば、費用は安くなるのでしょうか。
載せ替える際の注意点や、車検対策も含めて解説します。
やっぱりマニュアルに乗りたい!ATからMTへの載せ替えは面倒?
ATなら安いけど、MTになると一気に高くなるモデルの中古車は意外に多いもの。
シルビアやRX-7、80系スープラなど、昭和から平成初期にかけて登場したスポーツカーはタマ数が減少し、MTに絞って探すと軽く100万円越えは当たり前。
ドリフト競技の人気が高まるなかで、シルビアと同様にドリフトの定番とされるトヨタ マークⅡやチェイサーといったツアラー系も、MT仕様は高額で取引きされています。
さらに、北米での25年ルールの適用により、人気の国産スポーツカーがどんどん海外へ輸入されている現状から、MTの中古車を購入するためには、それなりの金額を用意しなければなりません。
それなら安いATを購入して、MTに載せ替えればコストもかからないのでは?と考えるかもしれませんが、実際はそうもいきません。
車種にもよりますが、ATとMTの違いはトランスミッションやクラッチペダルだけでなく、広範囲にわたって部品を交換しなければならず、部品やフレーム加工、コンピュータの書き換えが必要となります。
さらに、ATからMTに載せ替えをすると、構造変更をしなければならないため、数時間で終わるような作業ではありません。
オートマ専用車にマニュアル載せ替えは可能なのか
ドリフトマシンのなかでもJZS161型アリストは、2JZ搭載のFRセダンのため、人気の高いドリフトマシンです。
Motorz(モタガレ) YouTubeでもお馴染みの織戸学選手も、D1選手権にアリストで参戦したこともありました。
しかし、アリストはAT設定しかなく、足踏み式パーキングブレーキのため、レバー式にするにはコンソールに移行することが必要です。
トランスミッションはスープラやツアラー系のものを流用し、ホイールベースの長さの違いには、プロペラシャフトを加工して対応。
部品も新品を取り寄せるか、中古を購入するかで価格は変わってきますが、ショップに依頼すると100万円ぐらいはかかるとされます。
セルシオやマジェスタもMT換装可能
そのため、MTの搭載は不可能ではないかと思われますが、カスタムショップ『SAMURAI-STYLE』では、MTの載せ替えを行っています。
アリストはもちろん、4.3リッターV8の3UZエンジンを搭載したクラウンマジェスタやセルシオ、3.5リッターV6の2GRエンジン搭載したレクサスGS、クラウンといったトヨタ製セダンの5速MTへの換装を実現し、部品代から工賃までトータル89万円で載せ替えてくれます。(公認書類は別途32,400円)
ベース車両の中古車価格は50万円以下まで下がっているため、トータル100万円弱でMT仕様の高級セダンが手に入ると考えれば、良い価格帯ではないでしょうか。
新車の完売により、MT仕様が少なくなっていますが、MT換装のカスタムの技術は年々向上しています。
マニュアルに載せ替えたら構造変更
ATからMTに変更するなら、乗用車だけでなく軽自動車も構造変更が必要です。
構造変更をしないと、車検が不合格になるだけでなく、そのまま乗っていれば不正改造で捕まってしまい、6か月以下の懲役または30万円以下の懲罰が科せられます。
構造変更のやり方
構造変更は、乗用車は陸運局、軽自動車は軽自動車検査協会の事務所・支所で行います。必要書類と手数料を持っていき、手続きと検査に問題がなければ新しい車検証が発行されます。
検査で不合格になった場合は、検査した日から2週間以内であれば、不合格部分のみ再検査が可能です。
構造変更の必要書類と手数料
必要書類 | |
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乗用車 | ●自動車車検証 ●自動車検査票 ●点検整備記録簿 ●自賠責保険証明書 ●使用者の委任状(認印押印) ・委任事項(自動車検査証記入・構造等変更検査) ●所有者の委任状(認印押印) ・構造等変更検査に伴い、型式、車台番号又は原動機の型式を変更する場合 ・委任事項(変更登録) ●本人出頭の場合は認印持参 ●申請書(2号様式) ●手数料納付書 ●自動車重量税納付書(重量税印紙貼付して納付) ●納税証明書(登録自動車は提示の省略が可能) |
軽自動車 | ●自動車車検証 ●自動車検査票 ●点検整備記録簿 ●自賠責保険証明書 ●申請審査書(手数料納入補助シート) ●軽自動車検査票 ●申請書(軽2号様式) ●使用者の印鑑 ●手数料納付書 ●軽自動車(種別割)申告書(報告書) |
『改』がつくことで維持費が高くなる!?
構造変更が完了すると、型式名の後に『改』が付きます。
これは、改造車として認められた車両である証といえますが、任意保険の保険料がアップしたり、保険会社によっては任意保険に入れないケースもあります。
もし、任意保険会社に構造変更したことを伝えていないまま乗っていれば、万が一の事故の際に保険料が支払われないため、構造変更をした際には直ちに保険会社へ報告すべきです。
まとめ
ATからMTへの載せ替えは、かなりの費用、手間がかかります。
また、高度な技術と専門の工具が必要なため、自ら行うにはハイリスク。載せ替えから構造変更まで一貫して行ってくれるショップがいくつかあるので、載せ替えはショップに依頼することが無難です。
また依頼するショップを工賃の安さで比較するのではなく、MTへの載せ替えを数多くこなしてきたノウハウのあるショップに依頼することも重要です。