自動車の部品を購入する場合、純正部品なら車検証をディーラーに持っていけば必要な情報を判別して購入することができますし、取り付けまで希望するなら工賃込みの価格まで出してくれます(もちろん、古いクルマの場合は「廃版で購入不可」の場合も多いです)。
しかし単純な補修からドレスアップ、チューニングなどを目的に純正以外のアフターパーツを購入する場合、車検証から一発で調べて…というのは難しいケースもあり、ここではそうしたパーツを購入するために必要な情報の確認方法や、購入時の注意点を説明しましょう。
単に純正部品を買うだけなら、車検証で簡単に済む場合が多い
パーツ購入で肝心なのはまずもって「自分がどのようなクルマに乗っているかという情報」ですが、比較的新しい、おおむね生産終了から15年以内のクルマの純正部品なら話は簡単、車検証をディーラーに持っていけば大抵はコト足ります。
車検証に記載されている車台番号(輸入車ならVINコードと呼ばれる17文字のシリアルコード)で、その車両本来の情報がわかりますから、旧車や特殊なクルマ、あるいは改造や部品交換で本来の純正部品が適合しないかも…というケースを除けば、問題ありません。
特殊なケースでも、ディーラーで不明な場合は車検証の情報から「パーツファン」というサイトを使ったり、あるいは部品そのものに打刻や記載された品番(現品記載品番などと言います)がわかれば、ネットで検索すれば純正同等品の販売情報を得られる事も多いでしょう。
この場合に気をつけるのは「最初からネット通販やオークションを頼る前に、ディーラーで部品を入手できるかと、その価格を調べておく」ことで、場合によってはディーラーで普通に買った方が安い場合もあります。
アフターパーツに潜む罠
しかし純正ではなく社外品、それも自動車メーカー以外から販売されているアフターパーツや、純正部品でも他車種、あるいは同車種でも別グレードから流用するような場合は、単に元の順勢部品の品番がわかればいい、というものではありません。
自動車は販売中にモデルチェンジやマイナーチェンジといった大規模な改良から、イヤーモデル制を採用している車種では毎年どこか改良されますし、それ以外にも小規模な改良、場合によっては公式発表なしで細かい部品が変わったりします。
しかし、アフターパーツメーカーのカタログに記載される情報は、大雑把に「この車種のこの型式の、この期間に登録されたモデルにこの部品が適合する」という情報だけです。
それで何の問題もなく購入したパーツを組み込める場合も多いのですが、場合によっては部品変更で適合しない、取り付けられるとしても要加工というケースもありますし、外装部品の場合はボディカラーがわからないと、微妙にパーツの色が合わないかもしれません。
また、流用部品が組み込まれたクルマの場合は、アフターパーツメーカーの適合情報とは違った状態ですから、正解を見つけるために手間をかけねばならない場合もあります(年式が古い、あるいはチューニングカーやドレスアップカーの中古車にありがち)。
自分のクルマの何を知っていればいいのか?
アフターパーツを購入する場合、まず自分のクルマの基本的な情報は抑えておきましょう。
以下に、その確認方法と、抑えておくべき項目を記載します。
情報が豊富なのは「車検証」と「コーションプレート」
車検証では排ガス記号に始まり型式、車台番号までのフル型式(輸入車ならVINコード)と、型式指定番号、類別区分番号までわかります(マル改など記載事項変更を受けた改造車では類別区分番号が空欄になっていますが)。
車台番号だけならシャシーやフレームに打刻(大抵はエンジンルームに打刻してあります)してありますが、車台番号の情報だけでは特定できる情報が少ないので、車検証を見た方が早いでしょう。
また、その他の情報はやはりエンジンルーム内に貼り付けてある事が多い「コーションプレート」という板に、大抵の情報が書いてあります。
車両名(通称名)
特に平成22年(2010年)4月以降に生産されたクルマの場合、製造元と販売するメーカーが異なるOEM車や共同開発車だと、OEM元の車名や型式で適合していても、OEM先のクルマに適合していなければ、純正以外でアフターパーツのマフラーに交換はできません。
当たり前のことのようでも、メーカー名と車名(通称名)の把握は大事です。
通称名は車検証ではなくクルマの説明書に記載されていますが、もしそれもなくてハッキリしない場合は、メーカーのHPや、それでもわからない場合はメーカーに問い合わせてみましょう。
輸入車はVINコードがわかれば、「VIN-DECODER」などでヒットすれば、モデル名(通称名)がわかります。
年式
ただしそれだけでは完全にアフターパーツが適合するか…の保証にならず、車台番号まで記載して適合を案内している場合もあります。
グレード
また、メーカーHPにグレード検索サービスがなかったり、古すぎて記録がない場合は、同じく車検証に記載の型式指定番号と類別区分番号さえわかれば、「AIS Dictionay」というサービスからも検索可能です。
特に最近のクルマではクルマを見ただけではグレードがよくわからない、買った時のことを忘れちゃった!という場合もあるでしょうから、グレード別でアフターパーツが異なる場合には活用しましょう。
乗車定員
中にはマツダのMPVやプレマシー(いずれも2代目以降)の「カラクリシート」や、シートを横にスライドしてベンチシートにもセパレート(独立)シートにもなるミニバンのように、シートアレンジ次第で実はもっと乗れるクルマもありますから、注意しましょう。
ボディカラー(色コード)
ただ、そもそもコーションプレートにカラー項目がない旧車などもあり、その場合はメーカーに問い合わせるしかありません。
エンジン型式や排気量
違法改造でもなければ車検証のエンジン型式は変更されているはずですが、エンジンに打刻された型式を確認のうえ、エンジンに合ったアフターパーツを選びましょう。
なお、排気量が変わっている場合もありますが、さすがにそれは前オーナーから聞いていない限りエンジンを開けないとわかりません。
アフターパーツ購入時の注意点
純正部品でもアフターパーツでも、購入時の注意点は「クルマの現状に適合するかどうか」が一番肝心です。
車検証やコーションプレートなどから全部調べ上げて純正部品を注文しても、クルマが新車時とは違う状態だと本来問題なく装着できるはずの部品が合わないかもしれません。
メーカーが適合情報を出しているアフターパーツにしても同じですし、パーツメーカーが把握していない仕様変更があって装着できなかった、というケースも稀にありますが、そういう時は無理やり取り付けずにメーカーへ報告して対応を促すのが肝心です。
また、「インターネットで検索した流用情報」を鵜呑みにして、自分のクルマとは年式や仕様が異なったり、要加工なのを見落としたまま注文し、「ネットで見たのに取り付けできなかった!」と怒る方もいますが、情報元へ問い合わせてからの購入をオススメします。
さらに、スキル不足の業者へ持ち込みで取り付けを依頼した結果、無理な取り付けでクルマを壊して補償をどうするかというトラブルに発展する事もありますから、信頼できるショップへ依頼したり、パーツ選びからショップと話し合うなど、取り付けまで考えて購入しましょう。