今回紹介のS660などの軽自動車から、外車やスーパーカーまで幅広く手掛けているデライトが展開する「HTデザインズ」。元々、大手ドレスアップメーカーの加工や施工を手掛けていたこともあり、カスタム歴は20年以上。そんなドレスアップを突き詰めたのと同時に、自分が関わったレースとの接点がこのHTデザインのブランドの原点だという。
Photo : Yukio Yoshimi
Text : Takayuki Kimura
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スタイリングだけではない、性能にも効く外装パーツ
代表の巽さんはスーパー耐久のレースメカニックだったこともあってレーシーな魅力に溢れるS660の開発へと繋がる布石がある。
「レーシングカーにはちゃんとした理屈があるんですね。フラップの形状ひとつとっても、整流効果や冷却効果など、必要とされるところにダクトを設けているんです。理屈が存在するんですね」。ドレスアップのためのドレスアップ、ではなく機能に裏付けられたデザインを取り入れる…HTデザインが今回のS660に取り入れたアイデンティティはソコだ。それを把握した上で、ひとつずつS660の構成パーツを見ていこう。
現在のフォーミュラーのFウイングをインスパイアしたという「Fリップスポイラー」は、中央部分はスッキリとフラットにデザイン、ボリュームのあるデザイン部分は左右両端に集約されている。
「Fカーボンボンネット」は一枚もののウエットカーボンを贅沢に使用し、さらにボンネットのセンター部分には「バルジダクト」を装備。
このバルジダクトは敢えてボンネット後端にセッティング。フォーミュラーのガーニーフラップのようなL字型の壁=リヤエンドに切り立ったフラップを設けることでエンジン内部の熱を吸い出す効果を発揮する。これだけで10℃くらいは水温が変わるというからスポーツ派のS660オーナーには必見のパーツだ。もちろんダブルで装着せずともカーボンボンネットだけでの装着も楽しめる。
ライトウェイトスポーツの原点を彷彿
サイドに回ると、「ハイブリッドカーボンドア」が。現在はまだ開発中とのことで、デモカーに装着されているのはプロトタイプ。
実際の商品は綾織カーボン製で軽量化にも貢献。サイドからの衝突時も想定するためストリート用として製作する今作はアウターパネルのみカーボン仕様となる予定とか。
「サイドアンダーフラップ」は2ピース構造で、エアダクトのついた翼端板がレーシーさを表現。FRP製とカーボン製の2種類が用意されている。
リヤへと視線を移すと注目なのが「エンジンカウル」。
純正ではコクピットから一段落ちたラインで表現されているが、このS660ではロータス・エキシージのような“ライトウェイトスポーツ”を表現していることもあり、このHTデザイン製はルーフから連続するラインでリヤへと流れていくデザイン。
さらにこのエンジンカウルはセンター部分と左右フード部分との3分割構造で、左右それぞれのフードは運転席側にはエアクリーナー、助手席側にはインタークーラーへとフレッシュエアを誘導するべくエアガイドを用意。エンジンフードの高さは純正に準じているため視界を妨げることもない
ボディリヤエンドに直付けされた「リヤスポイラー」は左右両端が翼のような形状。テールランプ上部はテールランプと馴染みのいいレッドに塗り分けする凝ったディテールも実にマニアック。
さらにその上には整流効果も抜群な巨大な「GTウイング」を装備。
実はS660はGTウイングの装着が困難な車種。巨大とは書いたが、実は全長、全幅といった車体の寸法内に納めた中での最大サイズのため違和感はナシ。
「リヤアンダーディフューザー」は左右分割+センターのバックフォグベースの3分割構成。本来ここにあるはずだったセンターマフラーはナンバープレート両脇にHTデザインオリジナルとしてワンオフ設定。本来のマフラー部分にはZ34用バックフォグベースが収まっている。
S660の可能性を引き出す機能パーツ
多彩なエアロパーツの次は機能パーツだ。まずはホイール&タイヤ。
ADVANレーシングのRZⅡ(F:15×6+45/R:16×7+42)にポテンザRE71R(F:195/50-15・R:205/45-16)を純正同様、前後異形でセット。
ルーフを開ければ、まず目に飛び込んでくるのはサイトウロールケージのロールバー。さらにその下にはフルバケットシートと、サーキットを楽しめるライトウェイトスポーツの印象そのもの。
さらにエンジンカウル内にはK’z AUTOのエアクリーナーも装備しスポーツムードを掻き立てる。
ロータス・エリーゼやエキシージのようなライトウェイトスポーツを標榜するHTデザインのこのS660。
実はブリスターフェンダー化も構想中とのことで、エンジンカウルが3分割式なのも今後のバージョンアップのための布石でもある。機能に裏打ちされたレーシングカー的機能美と装着する楽しみのあるドレスアップ的要素を絶妙にミックスさせたHTデザインのS660、今後の劇的進化にもまだまだ余念がない。
さらなるブラッシュアップに期待大なスポーツテイスト満載のS660なのだ。
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