『ツライチ』は、クルマ好きなら誰もが知っているホイールの履きこなし術。
「どうせホイールを交換するなら、ツライチでキメたい」と考えている人は多いのでは?
ここで紹介するのは、そんなドレスアップの定番スタイルを一段とクールに見せる方法。
カスタムシーンで人気のアルミホイールの老舗ブランド『SSR』に伺いました。
Photo : Yukio YOSHIMI Text : Isao KATSUMORI
『ツライチ』といってもスタイルは様々
『ツライチ』と聞いて、イメージするスタイルは人それぞれでしょう。
タイヤとフェンダーのツラが合っている状態を思い浮かべる人もいれば、ホイールとフェンダーのツラが揃っている様子を連想する人もいるはず。
タイヤとフェンダーとのツラを合わせる場合は、ホイールのリムが若干フェンダーよりも外に出るので『アウトリップ』とも呼ばれます。
一方、ホイールにフェンダーを被せる状態でのツラ合わせは『ツラウチ』です。
そして、これらのいずれのスタイルも、大きくは『ツライチ』と称され、ここで紹介するノウハウは、そのすべてに効果的です。
マルチピースは『ツライチ』がよりカッコよく見える!?
ドレスアップを目的としたカスタマイズにおけるツライチの主役は、ホイールのリムで、それは"アウトリップ"や"ツラウチ"の場合も同じ。
ツライチを狙ってホイールをセッティングすると、人の視線はホイールのリムに引き寄せられるからです。
よって、ツライチでキメるホイールは、リムとディスクが独立した構造で、リムの存在感が大きい2ピースや3ピースといった、いわゆるマルチピースホイールが有利となります。
ディスク面がリムエンドのギリギリまで取れるため、デザインの自由度が高い1ピースホイールも、リムフランジの美しさや輝度感は、マルチピースにはかないません。
さらに、リムとフェンダーの隙間をギリギリまで攻めるセッティングでは、リムの深さ(ファスナーまでの落差)も強調され、視覚的にもツライチがよりカッコよく⾒え、これもマルチピースならではのポイントとなります。
スペーサーは使わずセッティングでキメるのがクール!
そして、さらに上級なツライチを目指すなら、セッティングの手法にもこだわりましょう。
ホイールをツライチにもっていくには、「インセット(リムの中心線から取り付け面までの距離)で調整」するのが最もシンプルで分かりやすい方法です。
現在装着しているホイールとフェンダーの隙間の距離を測って、その分、インセットの数値を下げたホイールに交換すればツライチセッティングが実現します。
ただ、求めた寸法にぴったり合うインセットのホイールが見つかるとは限りません。
隙間が大きい場合は、ホイールのJ数(幅)を変える必要も出てきます。
さらには、インチアップや車高によっても、ぴったりなインセットは変わりますので、実際にはそう簡単にはいきません。
そこで活躍するのがインセットを手軽に調整できる「スペーサー」。
しかし、これもけっして万能ではなく、最近のドレスアップシーンでは「スペーサーを使うこと自体が邪道」と見られることもあるようです。
それどころか、尖ったツライチフリークの間では、インセットが自由にオーダーできる2ピースホイールを選ぶことすら、一段レベルが低く見られる原因になることもあるのだとか。
スペーサーやオーダーインセットに頼らず、ホイールサイズの緻密な計算や、車高やアーム類によるキャンバーの調整によってツライチを極めてこそ本物。
そう考えるエキスパートユーザーのために、プロショップには、このような高度なホイールのセッティングノウハウやテクニックをウリにしているお店もあります。
なお、SSRの3ピースホイールがツライチフリークに支持されるのは、絶妙なインセットのサイズ設定に加え、BIGキャリパーへ交換した際にも対応出来るフェイス形状のバリエーションの豊富さが理由。
⾼度なツライチセッティングを追求し、スタイルを極めるためには知っておいてソンのない情報ですね。
リムの形状は『ステップリム』が一段と際立つ!!
それが「ステップリム(ノーマルリム)のホイールを選ぶ」こと。
マルチピースのホイールのリムフランジには、厚みがあって⾼級感に富むカールリム(写真左)や、先端をつまんだような形状のステップリム(写真右)があります。
ツライチとの相性がいいのは断然後者。
特にリムとフェンダーの間隔をギリギリまで詰めるようなセッティングでは、ステップリムのシャープなフランジ形状がより一層、キワドさが際⽴たせます。
そして、このステップリムを採用するホイールが多いことも、SSRの3ピースホイールがツライチセッティングのエキスパートたちから支持される大きな理由になっています。写真は SSR プロフェッサーSP5。
デモカーが装着するホイールは、SSR プロフェッサーシリーズの最新作SPX(エスピーテン)です。
エアサスではなく、車高調。
2ピースではなく3ピースホイールで、スペーサーに頼ることなく、絶妙なツライチを実現しています。
見る人が見れば分かる、こだわり抜かれたS2000であることがお分かり頂けたでしょうか。