伝統のスポーツカーに大変革!『シボレー・コルベット』は新型(C8型)でフロントエンジンからリアミッドシップ化しました。
エンジンが車体後方に搭載されたスーパーカーでありながら、普段乗りでも十分使えるように高い実用性を実現。
2021年には右ハンドルの日本仕様が導入がされます。
67年目で大変革!シボレー新型C8コルベット・スティングレイ登場
シボレーコルベットは、1953年のデビューからC1からC7型まで時代の流れとともに独自の進化を果たしながらも、ロングノーズ&ショートデッキ、大排気量・V型8気筒OHVエンジンのコンセプトを変えることなく生産され続けています。
しかし、そんな由緒正しいコルベットの伝統は、2020年になって見事に覆される事となりました。
8代目モデルとなるC8コルベット・スティングレイはエンジンをリアミッドシップと発表。
アメリカンスポーツカーの象徴的なモデルであるだけに、今回のモデルチェンジの内容に世界中が驚きました。
コルベットファンにとっては思う所があるかもしれませんが、進化し続けるライバルのスーパーカーを相手に戦うために、GM(ゼネラル・モーターズ)が踏み切った苦渋の決断。
しかし、排気ガスが厳しくなるご時世で、コルベットのもう一つの魅力である6.2リッターV8エンジンは健在です!
モタガレの姉妹サイト、Motorzの記事『最強モデルは1000馬力!?新型C8コルベットこそアメリカンマッスルカーだ!』では、排気量を落としツインターボ化とモーター&バッテリーを使ったハイブリッド化されることを予想して執筆しましたが、これら見事にハズしてしまいました。
RWDで欧州スーパーカーシルエット!?シボレー新型C8コルベットの外装
C8コルベットのデザインは、ジェット戦闘機をモチーフとしたもので、フロントマスクはC7よりも威嚇的な顔つきです。
それでもデュアルエレメントのヘッドランプや4灯のテールランプは、C7から伝統を継承しているところ。
リアミッドシップ化により、ボンネットは短くなり、その分シートからテールまで延長させ、エンジンが収まる部分にはリアガラスからエンジンが覗かせます。
また、エンジンルームに空気を送り込むために車両の両サイドに大きなダクトが設置され、シルエットはフェラーリやランボルギーニに似て「欧州のスーパーカーっぽい」と多くの方が思ったでしょう。
ロングノーズ&ショートデッキが無くなったことには、コルベットらしさが失われた部分ですが、その分C7から運動性能や加速性能など全体的な性能は引き上げられ、スーパーカーとしてみれば正統進化といえます。
C7からデザインを継承!新型C8コルベットの内装
C8コルベットはジェット戦闘機をモチーフとしたデザインとしていますが、それをより感じられるのはエクステリアよりもインテリアでしょう。
運転席と助手席は完全にセパレートされた空間を生み出し、センターコンソールのモニターも運転席側へ傾けられて全ての操作デバイスがドライバーを中心に配置されています。
このような運転席のデザインはC7から継承されますが、C8のほうが顕著でドライビングモニターがすべて液晶モニターになり、C7にはないハイテク感が印象的。
C7にはあったシフトレバーがC8コルベットではなくなり、"P"、"R"、"D"といったシフトチェンジはすべてボタンでの操作となり、ドライビングモードは『ウェザー』『ツアー』『スポーツ』『トラック』『マイ』『Z』の6モードが設定され、C7よりも2つ追加されます。
『マイ』は自分好みの設定が維持され、『Z』はさらに細かくエンジンやトランスミッションの調整が可能です。
標準グレード最速を実現したLT2型エンジン
エンジンの型式は、LT1型からLT2型へ変更され、6.2リッターV型8気筒OHVはC7から変わりませんが、従来よりも耐久性や高効率化の進化を目標に開発されています。
速さだけでなく燃費性能向上を果たすため、低負荷時に8気筒のうち4気筒を停止するシリンダ・オン・デマンドを採用。
トランスミッションは『MIL』と呼ばれ、アメリカのトランスミッションメーカー・TREMECと共同開発した8速DCT(デュアルクラッチ式)。
1速ギアを低く設定し、2速から6速までクロス化、7速と8速は高速域を低回転域で走行するクルージング用ギアに設定され、パドルシフトにより変速を操作します。
今回のフルモデルチェンジでターボ化やハイブリッド化はされておらず、それでいながら最高出力は466から495馬力のパワーアップを果たし、0-60マイル(約97km/h)加速は3秒以下を実現。
しかも、これが標準グレードで達成しているため、歴代コルベットの標準グレードでは最速です。
リアミッドシップなのにゴルフバッグ2個格納!普段使いでも十分使えちゃう
C8コルベットは「毎日乗れる」コンセプトに掲げ、二人乗りのリアミッドシップカーでありながら普段使いでも十分使える工夫されています。
C8コルベットのフロントサスペンションはリフトアップ機構が装備され、約2.8秒で40mm車高が上がります。
しかも、純正ナビに1000ヶ所まで登録可能な、段差が気になるポイントにさしかかると、自動的にリフトアップしてくれる機能付きです。
この手のリアミッドシップ化されたスーパーカーのラゲッジルームと言えば、エンジンの更に後方またはボンネット下で、いずれにせよ容量は極小というのが通例でしょう。
例に漏れず、C8コルベットもエンジンより後方にラゲッジルームが設けられていますが、357リットルもの容量を確保。
クーペモデルのルーフは取り外しが可能で、タルガトップ状態にした場合はラゲッジルームにルーフが格納される為使えなくなりますが、それでも通常時でゴルフバッグ2個分のスペースは、買い物に行くにも旅行へ行くのにも十分使えるゆとりのサイズでしょう。
さらに、運転時の取り回しを良くさせるために、ZF製の可変比率ラック&ピニオン式を採用し、ステアリング比は15.7:1に改善。
マグネティック・ライド・コントロール付きのグレードでは、最小回転半径で5.6mとされ、市街地の取り回しにも苦労しません。
2021年春以降に日本デリバリー開始!右ハンドル仕様も登場
C8コルベットは2020年1月10日から日本での予約受付が開始され、3月31日までの間で行われます。
日本発売では『2LT』と『3LT』の2グレードが設定され、6色のボディカラーが選択可能。
日本仕様の正式な発表は2020年7月、デリバリーは2021年春以降を予定し、価格ははっきり決まっていませんが、東京オートサロン2020開催時に行われたC8コルベット日本初公開での場面では、予想価格がクーペの2LTで1,180万円、上級グレードの3LTで1,400万円と発表しています。
また、日本仕様では右ハンドル化される予定で、日本上陸が楽しみな一台です。
オープンモデルとレースカーまで発表
GMは2019年10月2日に、オープンモデルのコルベット・スティングレイ・コンバーチブルとレーシングモデルのコルベットC8.Rを発表しました。
C8コルベット・スティングレイ・コンバーチブルは、コルベット史上初の電動ハードトップを採用し、ルーフは6つのモーターで作動する2分割構造となっており、16秒で格納します。
ルーフの開閉は車速30マイル(約48km/h)以下であれば走行時も操作可能で、ルーフを格納した状態でもラゲッジスペースの容量は変わりません。
同時に発表されたコルベットC8.Rは、トラック専用モデルとして競技参戦するためのレーシングカーです。
GMは1999年からレースへのワークス参戦を再開し、アメリカ・ルマン・シリーズで累計107勝し、デイトナ24時間、セブリング12時間、ルマン24時間でそれぞれで優勝を果たしています。
リアミッドシップ化によりさらなる戦闘力アップを果たしたC8コルベットは、今年も多くの勝利を収めることが十分期待できます。
スペック
シボレー・C8コルベット(北米仕様) | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,630×1,934×1,234 | |
ホイールベース(mm) | 2,722 | |
トレッド(mm) | 前 | 1,648 |
後 | 1,586 | |
乾燥重量(kg) | 1,530 | |
エンジン種類 | V型8気筒OHV | |
排気量(cc) | 6,153 | |
ボア×ストローク(mm) | 103.25×92 | |
圧縮比 | 11.5 | |
最高出力(kW[hp]/rpm) | 369[495]/6,450 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 637[64.9]/5,150 | |
トランスミッション | 8速DCT | |
駆動方式 | RWD | |
ステアリング型式 | 電動パワーステアリング | |
サスペンション型式 | 前後ダブルウイッシュボーン | |
ブレーキ | 前後ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製) | |
ローター径 | 前 | 21×30 |
後 | 338×26 | |
キャリパー | 前後4ピストン | |
タイヤサイズ | 前 | 245/35ZR19(8.5J) |
後 | 305/30ZR20(11J) |
まとめ
C8コルベットはアメリカ本土で販売される標準グレードは、価格が5万9,995ドル、日本円で647万円で販売予定です。
残念ながら、日本導入モデルは1,180万円からになりますが、それでも他の2シーターMRスーパーカーと比べても明らかに安いことに変わりはありません!
これほど高いコストパフォーマンスを実現し、少しでも多くの方にリアミッドシップスーパーカーを楽しんでもらいたいというGMの試みは、コルベット史上もう一つの大革命といえるでしょう。