2000年からわずか3年という短期間ながらトヨタビスタ店で販売されていたトヨタの小型ミニバンがスパーキーです。
こちらは1960年代から70年代にかけて販売されていたミニエースコーチ以来のコンパクトキャブオーバータイプミニバンで、ダイハツからアトレー7のOEM供給を受けていました。
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ミニエースコーチ以来のコンパクトキャブオーバータイプミニバン
トヨタでは1968年2月から1975年12月までパブリカと同じ空冷水平対向2気筒800ccエンジンを搭載した、軽自動車より一回り大きいサイズのコンパクトキャブオーバータイプミニバン『ミニエースコーチ』を販売していました。
軽自動車より若干大きいながらも最小回転半径はむしろ小さく、小型車としては最低限の出力ながら軽自動車よりパワフルで7人乗車も可能なミニエースコーチの実用性は高かったものの、搭載エンジンが排ガス規制を達成できなくなると、後継車も無く廃止されます。
その後、時は流れて2000年代に入ると、660cc新規格時代に入った軽自動車で1BOX車ベースの3列シート7人乗りミニバンを各社リリース。
1998年で販売を終了したスバル ドミンゴの後継車市場へ投入され、ダイハツも2000年7月にアトレー7を発売しました。
その頃からトヨタはダイハツが開発・販売する小型車のOEM供給を受けて販売するようになっており、アトレー7もトヨタに供給されて2ヶ月遅れの2000年9月に発売。
トヨタビスタ店で販売したのがスパーキーです。
アトレー7より装備を充実させた豪華仕様
スパーキーは、基本的に4代目アトレーのリアオーバーハングを延長して3列目シートを作るなど、ライバルより車内前後スペースの拡大に努めた本格ミニバンで、3列目シートの実用性が高いというアトレー7の特徴をそのまま受け継いでいます。
違いはフロントグリルなど細かな外観の差のみで、エンジンも1.3リッター90馬力のK3-VEで共通でしたが、大きな違いは価格に現れており、デビュー時の最高額グレード同士で見るとアトレー7CXスポーティパック4WD169.3万円に対し、スパーキーG Sパッケージ4WDは186万円。
実に16.7万円も差がありましたが、装備面を比べるとアトレー7ではオプションのABSやブレーキアシスト、内装のウッドパネルがスパーキーでは標準装備となるなど、装備面ではスパーキーの方が豪勢な分だけ高価になった形。
価格帯もアトレー7が121.3万~169.3万円だったのに対し、スパーキーは131.5万~186万円と差が激しく、結果的にユーザーの多くは安価なアトレー7に流れたようで、トヨタで販売したダイハツOEM車では珍しいことに、ダイハツ版の方が売れた車となっています。
主なスペック
トヨタ S221E スパーキー G 2000年式
全長×全幅×全高(mm):3,765×1,515×1,895
ホイールベース(mm):2,430
車両重量(kg):1,110
エンジン仕様・型式:K3-VE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量(cc):1,297
最高出力:66kw(90ps)/6,000rpm
最大トルク:123N・m(12.5kgm)/4,400rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
まとめ
結果的に『安価であるべき車に豪華装備を施して高価にした結果、同型のOEM供給元より魅力で劣る車』となってしまったスパーキーは、2003年9月までのわずか3年で販売を終了してしまいます。
トヨタブランドの中でも実験的な車を扱うことが多い、トヨタビスタ店で販売されていた事も不振の一員だったかもしれません。
しかし、アトレー7は2004年11月まで販売された一方、ビスタ店が販売網再編でネッツ店へ組み込まれる2004年4月を待たずにスパーキーの販売を終了させてしまうなど、トヨタとしては少々ショックな結果だったようです。
その後トヨタはコンパクトミニバンとしてシエンタを売るようになり、キャブオーバータイプのコンパクト1BOXは同じくダイハツ(インドネシアのアストラダイハツ)が生産するタウンエース/ライトエースのような貨物車のみとなりました。
もっとも、軽1BOXベースの3列シートミニバン自体が各社販売不振で取りやめてしまうなど日本国内での市場規模があまりにも小さかったため、トヨタとしては早々と見切りをつけただけかもしれません。