『マークII』は9代続けてトヨタを支えたアッパーミドルクラスサルーンでしたが、2000年代を迎える頃になるとコンセプト自体の陳腐化が目立ち、一度大きくイメージ脱却を図る必要があると考えられていました。
そこでクラウンとは異なり車名もちょっとだけ更新、『II』を『X』に入れ替えた上で2004年に次世代スポーツサルーン『マークX』としてデビューしたのです。
Contents
初代トヨタ・マークX(120系)とは
トヨタのアッパーミドルクラスサルーンは1968年に初代モデルが発売されたマークIIが中核をなし、後に追加されたチェイサーやクレスタを加えて1980年代から1990年代にかけ『マークII3兄弟』を結成、バブル時代にはハイソカーブームの代表的な1台として大ヒットしました。
しかし1990年代後半になってセダン人気に陰りが見えると販売は急速に失速、最後は次世代セダンのあり方を模索しつつマークIIのみが残っている状況でしたが、2004年になってようやく新世代スポーツサルーンというコンセプトが確立されます。
こうして2004年11月に発売されたのが初代120系マークXで、2.5/3.0リッターV6エンジンを搭載し、プラットフォームを刷新した4ドアスポーツセダンでした。
過去のモデルからの流れを引きずっていたマークIIから一新されたデザインもウケて、バブル時代ほどではないものの販売台数は回復、現在も販売されている2代目マークXへとバトンを渡す2009年10月まで販売されています。
初代トヨタ・マークX(120系)の特徴
初代マークX最大の特徴がルーフ高を思い切って下げてスポーツセダンへ特化したことで、一時期のトヨタがミニバンに刺激されてセダンでもルーフ高を上げ居住性をアピールしたものの、スタイリング悪化で全く一般受けしなかった反省点を生かしました。
マークII最終型(9代目)まで使われた直列6気筒エンジンに決別、V6エンジンが搭載されて盛り上がりが先端に行くに従いすぼまるスピード感あるボンネット、片側3連プロジェクターヘッドランプなど保守的なマークIIから一転、個性的で新しいデザインを採用しました。
リヤバンパーとマフラーテールエンドは一体化、車体底面の空気を排出してダウンフォースを稼ぐ空力効果を狙ったディフューザー構造を採用するなど、レクサスISのトヨタ版ともいえるスポーツセダンへと文字通り生まれ変わったのです。
マークII時代に長らく設定されていたターボ車は廃止されたものの、代わってトヨタモデリスタによるスーパーチャージャーが装着された純正カスタマイズカーが登場。
MT車こそ設定されなかったものの、サスペンションやブレーキ、ステアリングなど装備面や内装でスポーツ性を発揮したグレードも設定され、旧世代の保守的セダン『マークII』から新世代スポーツセダン『マークX』へと見事に脱皮してみせました。
初代トヨタ・マークX(120系) 主なグレードのスペック
トヨタ GRX121 マークX 300Gプレミアム 2006年式
全長×全幅×全高(mm):4,730×1,775×1,435
ホイールベース(mm):2,850
車両重量(kg):1,530
エンジン仕様・型式:3GR-FSE 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):2,994
最高出力:188kw(256ps)/6,200rpm
最大トルク:314N・m(32.0kgm)/3,600rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:FR
10.15モード燃費:11.8km/L
全長×全幅×全高(mm):4,730×1,775×1,435
ホイールベース(mm):2,850
車両重量(kg):1,530
エンジン仕様・型式:3GR-FSE 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):2,994
最高出力:188kw(256ps)/6,200rpm
最大トルク:314N・m(32.0kgm)/3,600rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:FR
10.15モード燃費:11.8km/L
まとめ
保守的な車を思い切ってイメージチェンジする大胆なモデルチェンジとはユーザーの反発もあって難しいケースが多く、特に長年にわたって大ヒット、多くの固定ファンを抱えていたマークIIのような車で行うことは困難に思えました。
過去からの流れを完全に断ち切り名前すら変えてしまうのも1つの方法ですが、伝統の車名が消える事にもまた反発が予想されます。
そこでトヨタではマークIIの『II』に代わり、『次世代』あるいは『未知の可能性』を意味する『X』を当てはめ、マークIIの次世代モデル、10代目(X=ギリシャ数字で10)という節目なモデルな事をアピールしたのです。
こうして姿形もコンセプトも一新しつつ、誰が見てもマークII後継とわかりやすいネーミングで登場したマークXは見事に世代交代を果たしました。
スタイルや性能もさることながら、『新世代への伝統の継承』をこれほど見事にやってのけた車名変更はなかなか粋なもので、ある意味では初代マークX最大の特徴かもしれません。