社外品のFRP製エアロパーツを探しているとよく目にする「ゲルコート仕上げ」というワード。
「白ゲルコート」「黒ゲルコート」という色名の入った名称から塗装済みと混同する人が非常に多いものの、実はゲルコート仕上げは生まれたての赤ちゃんのような未塗装状態。しっかり塗装せずに取り付けたら後悔しますよ!
「塗装済みと何が違うの?」「色がついているならそのまま取り付けちゃダメ?」「上からそのまま塗装していいの?」
などなど、意外と知らないゲルコート仕上げ品についての知識を簡潔に解説!
またFRPと同じ製法のウェットカーボンについて同時に説明します。
せっかく買ったパーツをしっかり活かすためにも基礎知識をしっかり身につけましょう!
みんなはゲルコートって何か知ってる?
「ゲルコート仕上げ」の意味、理解してますか?
先日社外エアロパーツの主な材質としてFRP(繊維強化プラスチック)を紹介しましたが、みなさんはFRPパーツの説明欄で「白ゲルコート」「黒ゲルコート」「カラードゲルコート」「クリアゲルコート」という言葉を見たことはあるでしょうか?
©モタガレ 商品説明欄より抜粋
エアロパーツなどを買う際、大抵は車体色塗装済み品かゲルコート仕上げかを選択して購入するのですが、「ゲルコート」といわれても何なのかいまいちピンとこないという人も多いはず。
ひとことで言うとゲルコートは【FRPの表面をなめらかにするためのコーティング層】です。
「塗装済みと何が違うの?」「色がついているならそのまま取り付けちゃダメ?」「上からそのまま塗装していいの?」
などなどよくあるギモンに答えつつ、今回はゲルコートの基本について解説していきます!
誤解されがち?【ゲルコート】と【塗料】は別物!
【前提知識】いろいろあるゲルコートの違いは色だけ!
まず大前提の知識として、ゲルコートは樹脂に顔料をまぜて着色したものです。
種類としては
- 白ゲルコート
- 黒ゲルコート
- カラーゲルコート
- クリアゲルコート
多くのクルマ用FRPパーツが白ゲルコートや黒ゲルコート仕上げなのは、上から塗装する前提のため下地が透けて目立ちづらいという理由からです。
白ゲルコートと黒ゲルコートが選択できる場合、塗りたい色が淡色系なら白、濃色系なら黒を選ぶとベターでしょう。
カラーゲルコートというのは樹脂に混ぜる顔料を調色して様々なカラーを付けたもの。ボディカラーと合わせる必要があるクルマ用パーツではあまり使われません。
クリアゲルコートは文字通り顔料を混ぜずに透明なまま硬化させたもの。材質がそのまま透けて見える仕上がりになります。
ゲルコートの役割はFRPの離型剤と繊維コーティング
FRP製品の製造にあたり欠かすことのできないゲルコート。
FRPパーツは型の中で液体樹脂を繊維シートに含浸させて成形するのは以前ご紹介した通り。
しかしその製法上、そのままではどうしても表面が繊維で毛羽立った状態で仕上がってしまいます。
いわば触ると手に繊維が刺さってザラザラチクチクする状態。
もちろんその状態では塗装や加工に向かないため、パーツの形になる時点である程度表面がなめらかに仕上がるようにする必要があります。
そこでFRP製品では成型時に型枠の内側にゲルコート剤を塗っておき、硬化後に剥がれ易くする為の離型剤にするとともに、塗装下地として表面を平滑にする役割も持たせているのです。
こうして表面がツルツルした層にコーティングされた状態になって初めて製品として成り立つワケです。よく見慣れた白や黒のFRPパーツはこの段階で出荷されています。
またウェットカーボンの場合も同様にゲルコートを施しますが、こちらはカーボンシートの柄がシッカリと見えることが重要なため、クリアゲルコート剤を使って仕上げます。
【塗装必須】ゲルコート仕上げは赤ちゃん肌!?そのまま使うのはNG!
「色を塗らずにそのまま使える」という意見を聞いたことはあるでしょうか?
インターネットでゲルコートについて検索するとこのように言う人が一定数いますが、結論からいうとちゃんと塗装しなきゃダメです。
残念ながらそのまま使うのはオススメしません!
理由は明確。ゲルコート剤はあくまでも離型剤を兼ねた下地用で、ボディ塗装用の塗料とは違い屋外で使用することを想定していないから。いわば生まれたての赤ちゃん状態。
もちろん紫外線に対してはノーガードで耐候性が皆無なため、そのまま外に放置すればすぐに黄ばみやクスミが出て汚くなり短期間で表面がボロボロになってしまいます。
せっかく買ったエアロパーツなのにこれではあまりにも本末転倒。
パーツの表面を保護するためにも取り付け前にシッカリ塗装するか、DIYが難しいようなら無理をせずプロに任せるか塗装済み品を購入しましょう。
またクリアゲルコート仕上げのウェットカーボンパーツも、特に外装パーツの場合はUVカットと表面保護のためにクリア塗装するのが非常に重要。
これをやらないとクリアゲルコートが白く濁ってせっかくのカーボン模様が台無しなんてことにも繋がります。
ウェットカーボンに関しては特にクリアを吹いてもパッと見で違いが分からないせいか、知らずにそのまま使用して表面が傷んでしまっている状態はかなり頻繁に見かける光景だったりします。
何度も言いますがゲルコート自体に耐候性はありません!ココ重要なので覚えてください!
5分でだいたいわかる【ゲルコート未塗装品をざっくり上手に塗装するコツ】
ピカピカに見える表面だけど実は…?
一見するとツルツルと綺麗に仕上がっているように見えるゲルコート仕上げ。しかし上でも言った通りゲルコートはあくまで「塗装下地のさらに下地」。
しかし未塗装ゲルコート仕上げ状態のパーツをよく見ると、金型の合わせ目などで出来た樹脂のハミ出し部分 いわゆる「バリ」の切削跡や、「巣穴」と呼ばれる樹脂の硬化時に発生した気泡の穴などがそのまま残っている場合がほとんど。
こうした表面の凹凸をパテやヤスリを使ってきれいに均し、サーフェーサーと呼ばれる下地を塗ってようやく塗装の準備が整うのです。
この準備を怠るとせっかく色を塗っても表面に凹凸が残ったり、うまく塗料が馴染まないなんてことも。
面倒臭がりな筆者もこの下地作りをしっかり行わなかったせいで塗装が浮いてペリペリとフィルムのように剥がれてしまったことがあります。反省!!
少々面倒でも塗装前にはシッカリと塗装下地の準備をするのがきれいに仕上げるコツです!
【かんたんまとめ解説】FRPゲルコート仕上げ品の塗装方法
FRPゲルコート仕上げ品の塗装手順をおおまかに捉えると
【バリ取り】→【巣穴埋め】→【サフェーサー吹き】→【塗料吹き付け】
DIYでの具体的な塗装手順を簡単にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください!
【必要な道具】
- サンドペーパー各種(中目、細目、超細目セットを買うと一度にそろって便利)
- 自動車用 薄付けパテ
- サフェーサースプレー
- ボディカラースプレー
- 中目(150番程度)のペーパー(紙ヤスリ)で研磨しバリを取る
- 細目(320番程度)のペーパーで磨いて仮足付けする
- 薄付けパテを巣穴(気泡のあと)に押し込むように乗せて乾燥させる
- 乾いたらふたたび細目のペーパーで余分なパテを磨き落とす
- 全体にサフェーサーを吹き付ける
- 乾燥したら超細目(800番程度)のペーパーで磨いて足付け
- 塗料を塗って完成!(メタリック系カラーの場合は更に上からクリアを吹く)
かなり根気のいる作業なので、最初はアイラインやシャークフィンなど小さいものから始めることをオススメします!
道具はたいていのカー用品店やホームセンター等で揃います。
塗装作業に湿気は大敵。必ず雨の日は避けて晴れた日を狙って作業しましょう!
特に太平洋側の地域は乾燥した冬が絶好のDIY塗装シーズン!時間があればチャレンジしてみては?
【まとめ】:ゲルコート仕上げパーツは必ず塗装してから取り付けよう!
いかがでしたでしょうか。
言われなきゃ意外と知らないゲルコートの真実。しつこいようですが折角のドレスアップパーツを正しく活かすためにも必ずしっかりと塗装してから取り付けましょう!
今回はDIY塗装の方法についても簡単にご紹介しましたが、綺麗に塗装するのはノウハウが必要なため、ショップにお願いするのも有効な手段。
特に近年のクルマは純正で凝った塗装も多く、特に特殊クリア系やメタリック系の車体色の場合は難易度が跳ね上がります。
(筆者の愛車 MAZDA3のソウルレッドクリスタルメタリックは塗装が難しく板金屋さん泣かせとして特に有名)
納得の仕上がりを得るためにもプロに作業代を払って施工してもらう価値は十二分にあると思います。
いっぽうで時間が取れて作業自体を楽しめる人ならば、DIY塗装を極めるのもまたひとつのスタイルでしょう!
この記事がみなさんの役に立てれば嬉しいです!それでは良いカーライフを!