フランス車といえば、スタイリッシュなコンパクトカーのイメージを持っている方が多いと思います。
そんなフレンチ コンパクトカーで異色な存在となるのが、シトロエンDS3です。シトロエンDS3はラリーでの実績が高く、普段使いにおいても高い実用性を持ったクルマです。
シトロエンDS3とは
シトロエンDS3(以下:DS3)は、フランスの自動車メーカー 、シトロエンから発売されたコンパクトカーです。
2009年11月に欧州で発売され、日本では2010年5月6日からデリバリーが開始されました。
モデル名の『DS』は、1955年から1975年まで販売された最高級セダン『DS』から取られたわけではありません。フランス語で「女神」を意味する「déesse(デエス)」から命名されたと言われています。
それに加え、DS3は『Different Spirit』を意味し、『Surprise(驚き)』、『Appeal(魅力)』、『Vitality(活力)』が開発時のキーワードとされました。
Photo by StealthFX9
ボディは3ドアのみですが、屋根が開くオープンバージョンの『DS3カブリオレ』が2013年6月18日に追加され、実用性が重視されるコンパクトカークラスでありながら、個性豊かで運転する楽しさを重視されている点が多く見受けられるクルマです。
シトロエンDS3の年次変更点
シトロエンDS3が日本で発売された当時、1.6リッター直列4気筒DOHCエンジン(120PS、16.3kgm)と4速ATを搭載した『Chic(シック)』、1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジン(156PS、24.5kgm)に6速MTを搭載した『Sport Chic(スポーツシック)』の2モデルがラインナップされました。
そして2011年9月5日には、エンジンの馬力を約33%アップ(156PS→207PS)させ、トルクを約15%(24.5kgm→28.0kgm)向上させた『DS3レーシング』が限定発売されています。
2014年2月17日【一部改良】
©PEUGEOT CITROEN JAPAN CO . LTD
2014年2月17日の一部改良では、新エンジンに1.2リッター直列3気筒DOHCターボエンジンが追加されました。
トランスミッションはオートマチックモード付きエフィシェントトロニック・ギアボックスの『ETG5』と、アイドリングストップ機能『ストップ&スタートシステム』を採用。
1.6リッター4速ATに比べ、燃費を約49%改善し、JC08モード18.6km/Lを実現しています。
さらに全グレードに、8スピーカーを搭載したオーディオが、標準装備されました。
2015年9月25日【マイナーチェンジ】
2015年9月25日は、新しいデザインを採用したマイナーチェンジモデルが登場しました。
新モデルはコンセプトカーの『Numero9(ヌメロ・ヌフ)』や、『Wild Rubis(ワイルド・ルビ)』に搭載されていたヘッドランプを採用。
新採用されたキセノンフルLEDレッドランプは、キセノンとLEDを組み合わせたコの字型のナイトライトで、ユニットの上部にはDSのモノグラムがあしらわれています。
また、予防安全装備には緊急自動ブレーキシステム『アクティブシティブレーキ』を搭載。
さらに、シックを除く全グレードに、新デザインの17インチアルミホイール、1.6リッターエンジン搭載モデルにアイドリングストップ機能が標準装備されました。
シトロエンDS3のおすすめポイント1:如何にもシトロエンらしいスタイリッシュな外装
Photo by M 93: „Dein Nordrhein-Westfalen“
DS3はフランス車だけあって、国産車やドイツ車では感じられない個性的なスタイルが魅力です。
フロントは大きく口を開けたグリルと、グリル上部にシトロエンのエンブレムをイメージさせるメッキがあしらわれました。
フロントグリル上部とリアのハッチドアには、『DS』ラインを象徴する専用エンブレムを装着。
フロントガラスは、シトロエンC3で採用された前席乗員の頭上を越えるほど広げられたフロントガラス、『ゼニスフロントウィンドウ』を採用したことで、ドライバーの広い視野を実現しています。
また、DS3で一番のチャームポイントといえるのは、Bピラーの『シャークフィン』で、三角形のBピラーの上部3分の1がブラックアウトされ、AピラーとCピラーにもブラック処理を施したことで、ルーフ全体が宙に浮いているような視覚効果を狙った『フローティン グルーフ』となりました。
シトロエンDS3のおすすめポイント2:好みの色が見つかるはず!多彩なカラーバリエーション
シトロエンはDS3発売時に「ビークルパーソナリゼーション」を最大の特徴とし、選べるカラーラインナップによってオーナーそれぞれの好み合わせた特別感を提供しています。
発売当初は、5通りのボディとルーフカラーの組み合わせでしたが、2012年4月19日には新カラーを追加し、7色のボディカラー、4色のルーフ&ドアミラーカラー、そしてオプション・受注生産で7パターンのルーフステッカーを設定。
2012年6月14日にはボディ、ルーフおよびシートカラーをボディカラー4色、ユニークルーフ&ドアミラーカラー7色をWeb上から選択できる限定モデル『DS3 Chic Unique 2(シック・ユニーク・ツー)』を発売しています。
シトロエンDS3のおすすめポイント3:スポーティーな内装
DS3のシートは、シックにファブリックシート、シックスポーツにホールド性の優れたスポーティーなダイナミックシートを採用。
ダイナミックシートはアルカンタラとダブリックのシート地で、カラーにミストラル(黒)、足元にはアルミペダルが並べられるなど、非常にスポーティーな雰囲気です。
Photo by Jakub 'Flyz1' Maciejewski
ダッシュボードパネルは光沢のある艶やかな素材が用いられており、クロームアクセントが施された革巻ステアリングホイールや、クロームで緑取られたユニークデザインの3連メーター、センターコンソールにはピアノブラックを採用し、高い質感を演出しています。
また、後席は座面に厚みがあり、クッション性に優れた仕様で、170cmの成人男性が乗っても頭がぎりぎり付かない程度の空間は確保されるため、座っていて我慢ができないほど狭いということもありません。
また、3名分のヘッドレストと3点シートベルトが装着されています。
©PEUGEOT CITROEN JAPAN CO . LTD
ラゲッジルームは後席を倒していない状態で285リッター確保されており、フォルクスワーゲン ポロの280リッターを上回る容量です。
シトロエンDS3のおすすめポイント4:ダイレクトでリニアなステアリングフィーリング
DS3のパワーステアリングシステムは、ステアリングの直進位置への戻りをアシストする『アクティブリターン機能』、高速走行時にステアリングの走行安定性を保つ『アクティブダンピング機能』、フル操舵時のステアリングからの衝撃を緩和する『ロックリミット制御機能』を標準装備。
これにより、ステアリングを回した時に軽いだけでなく、必要な操作をアシストしてくれるので、安定的で快適な運転に貢献します。
サスペンションは前にマクファーソンストラット、後ろにトーションビーム形式が採用され、若干硬め。
高剛性な3ドアボディと相まって、ステアリングを切ったときに素直に車体が曲がっていく感覚を実現しています。
シトロエンDS3のおすすめポイント5:速さを求めるならDS3レーシング
DS3は、シトロエンがWRCへ参戦した際のベース車両であり、2011年と2012年に、セバスチャン・ローブ選手とダニエル・エレナ選手組が、ドライバーズ・コドライバーズタイトルを獲得した実績を持っています。
また、2014年に開幕した世界ラリークロスでは、ペター・ソルベルグ選手がドライバーズタイトル2連覇を達成。
ラリーカーのベース車両としての実績が高く、ラリーファンからも高い支持を得るモデルです。
Photo by M 93: „Dein Nordrhein-Westfalen“
Photo by M 93: „Dein Nordrhein-Westfalen“
そんなDS3でスポーツ走行を楽しみたい方は、DS3レーシングがおススメ!
スポーツシックと比較して馬力は42PSアップの207PS、トルクは3.5kgmアップの28kgmを発揮。
専用ダンパー&スプリングや、専用4ピストンキャリパーと大径ディスクローターを装備するなど、走行性能を飛躍的に向上させました。
また、2011年9月に限定発売され、同等の性能を発揮する『レーシングマットゴールド』や2014年2月に発売された『パフォーマンス』、2016年10月に発売された『パフォーマンスブラックスぺシャル』などもおススメのグレードです。
シトロエンDS3の維持費
車検代
東京都内のフィアット販売店に依頼する場合の最低金額は、114,250円です。
実際は、エンジンオイルやエレメントなどの消耗品交換、故障箇所があれば部品代と交換工賃や技術料が加わってきます。
DS3 | |
---|---|
自動車重量税(円) | 24,600(~1,500kg,13年未満) |
自賠責保険(円) | 21,550 |
印紙代(円) | 1,100 |
24カ月定期点検(円) | 45,000 |
車検総合検査料(円) | 7,000 |
車検代行手数料(円) | 15,000 |
合計(円) | 114,250 |
ガソリン代
シック | スポーツシック | |
---|---|---|
リッターあたりガソリン価格(円)【使用燃料】 | 139【ハイオク】 | |
実燃費(km/L) | 11.51 | 11.02 |
年間ガソリン代(円) | 120,764 | 126,134 |
なお、実燃費は乗り方や使用場面によって実燃費が異なり、リッターあたりのガソリンも頻繁に変化するため、年間のガソリン価格も多少異なります。
自動車保険料
年齢:30歳以上
等級:12等級
年間走行距離:11,000km
免許の色:ゴールド
運転者限定:家族限定
運転者の年齢制限:30歳以上
保証:対物対人無制限
車両保険:つける
なお、保険料はグレードによって前後することと、大まかな見積もりなので、目安程度の内容としています。
合計
シック | スポーツシック | |
---|---|---|
自動車税(円) | 34,500 | 39,500 |
車検費用(円)※2年車検を1年分に換算 | 57,125 | |
燃料代(円) | 120,764 | 126,134 |
自動車保険代(円) | 126,500 | 91,100 |
合計(円) | 338,889 | 313,859 |
シトロエンDS3のスペック
シック(2016年モデル) | スポーツシック(2016年モデル) | ||
---|---|---|---|
型式 | ABA-A5CHN01 | ABA-A5C5G01 | |
駆動方式 | FF | ||
ミッション | 6速AT | 6速AT/6速MT | |
全長×全幅×全高(mm) | 3,965×1,715×1,455 | ||
ホイールベース(mm) | 2,455 | ||
車重(kg) | 1,170 | 1,200 | |
乗車定員(名) | 5 | ||
エンジン型式 | HN01 | 5G01 | |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHCターボ | 直列4気筒DOHCターボ | |
総排気量(cc) | 1,199 | 1,598 | |
内径×行程(mm) | 75.0×90.5 | 77.0×85.8 | |
圧縮比 | 10.5 | 10.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 81[110]/5,500 | 121[165]/6,000 | |
最大トルク(kg・m/rpm) | 205[20.9]/3,000 | 240[24.5]/1,400~3,500 | |
使用燃料 | ハイオク | ||
燃費・JC08モード(km/ℓ) | 19.8 | 16.6 |
まとめ
DS3は半世紀前のDSから決別し、シトロエンの新たなブランドイメージを確立させるため送り出されたDSシリーズの第一弾モデルです。
2016年6月1日には、シトロエンの高級車ブランド『DSオートモビルズ』へ独立し、DS3が生産を終了して以降は、DS3 CROSSBACK、DS3 CROSSBACK E-TENSE、DS7 CROSSBACKを展開しています。
まさに、新生シトロエンの先駆けモデル!
3ドアコンパクトカーとはいえ、高い質感と運動性能をうまくシンクロさせ、シトロエンの新境地を開拓したクルマといっても過言ではありません。
そんなDS3が中古車なら100万円以下で購入できるので、ドイツ車とは違う高級感をお手頃価格で楽しみたいなら、DS3に目をつけてみてはいかがでしょうか。