世界で初めて成功した量販ハイブリッドカーのトヨタ”プリウス”ですが、実際に大ヒットしたのは2009年にデビューした3代目30系からでした。
2008年までは年間販売台数7万台を超える程度(5位)の「ちょっと売れてる車」程度だったのが30系デビューでたちまち20万台以上、最盛期には30万台以上を売りまくる大ヒット!
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トヨタ・プリウス(30系)とは
「21世紀に間に合いました」をキャッチコピーに華々しくデビューした4ドアセダンの初代10系(1997年発売)、後々まで続く5ドアファストバックセダンのスタイルを確立した2代目20系(2003年発売)と、”プリウス”は順風満帆で販売されていたようなイメージがあります。
しかし、世界で初めて量販に成功したハイブリッドカーとはいえ、最初は新しもの好きや環境への優しさをアピールしたい企業や官公庁、はたまた芸能人や富裕層のセカンドカーとして購入されることが多く、珍しいとまでは言わないものの、誰もが買うほどの車ではありませんでした。
その状況を大きく変えたのが2009年5月、エンジンもボディも少しサイズアップしてゆとりを持たせた「環境のために何かをガマンせず普通に使える車」3代目30系プリウスのデビューで、最盛期には先代20系の4倍以上となる年間31万7,675台(2012年)を販売。
まさにブッチギリでトップの販売台数を誇り、日本中に30系プリウスがあふれかえり、まさに日本の国民車的存在にまで成長しました。
その後2011年には3列ミニバン/2列ステーションワゴン版の”プリウスα(アルファ)”やプラグインハイブリッド版”プリウスPHV”も加わり、ハイブリッドカー王国トヨタの中でも「ハイブリッドカーの代名詞的存在」となっています。
通常ハイブリッド版の30系プリウスは2015年に4代目50系へとモデルチェンジしましたが、タクシーでも一般化したこともあって、今なお街では数多く見かける車です。
トヨタ・プリウス(30系)はどのような場面で活躍するクルマ?
基本的には2列5人乗り、独立トランクの代わりに大きく寝かされたテールゲートを持ち、後席の背もたれを畳めばそれなりにかさばる荷物も載せられる、実用性の高いファミリーセダンです。
燃費の良さによって経済性は非常に高く、余裕はあるものの大きすぎない3ナンバーボディで近所への買い物から長距離ドライブまで幅広くこなせる万能車であり、余裕ある後席の居住性や定員分の手荷物程度なら問題なく載る荷室を活かし、タクシーやハイヤーとしても多用されています。
トヨタ・プリウス(30系)のオススメポイントその1:なんといっても低燃費
経済性の高さが売りの実用セダンですから燃費は肝心で、通常はECOモードで走り、必要のない場所でむやみにアクセルを踏み込まず、大きな道路でも流れに乗れば一定に保つなど燃費に配慮した運転を心がければ、本当に驚くほどの低燃費です。
センターメーターに現在モーターとエンジンどちらか、あるいは両方使って走っているかが表示されますし、慣れると意外なほどモーターだけで走れる上に、減速でアクセルをゆるめた時の回生ブレーキでバッテリーに充電するのも楽しくなれば、さらに燃費は良くなります。
トヨタ・プリウス(30系)のオススメポイントその2:深夜でも安心の静粛性
早朝や深夜に出かけたり帰宅するような人が住宅街に住んでいると、ちょっとしたエンジン音でも気になる時がありますが、平地で40km/h程度ならモーターだけでも余裕で走れるプリウスは本当に静かですし、EVモードを使えばさらにモーター走行域が広がります。
さすがにバッテリー残量が少ない時やエアコンなどに電気が必要な時はエンジンがかかりますが、ハイブリッド専用車として作られ元から静粛性が高いため、発電用に使う程度ならエンジン音はごく静かなもの。
あまりに静かでタイヤのロードノイズくらいしか聞こえないため夜道で歩行者が気づいてくれるか心配になるほどですが、2011年11月以降標準装備となった車両接近通報装置が人口音を鳴らすため(30系プリウスであれば、ミュウウウン…という音。後付けも可能)、安心です。
トヨタ・プリウス(30系)のオススメポイントその3:オプションの大容量コンセント
停電を伴う幾度かの大災害でハイブリッドカーの発電能力が注目された事から、2012年11月の改良以降は廉価グレード「L」以外でメーカーオプションにより、フロントコンソールトレイとラゲッジスペースへAC100V・1500W電源のコンセントを装備可能になりました。
EVやプラグインハイブリッドほどエンジンなしでも使える大容量バッテリーではありませんが、いざとなればエンジンで発電しつつ電子レンジや炊飯器など一般的な家庭用電化製品の大半を使いこなす能力は、長時間の停電時やアウトドア時にも頼りになります。
トヨタ・プリウス(30系)のオススメポイントその4:POWERモードで頼れる動力性能
ハイブリッドカーとして経済性の高さが注目されやすい30系プリウスですが、平地ならメーター読み60km/h程度までエンジン抜きで走れる強力なモーターを搭載していますから、いざとなればエンジンと合わせ強力なパワーを発揮します。
特に、普段「ECOモード」のみで運転しているユーザーが「POWERモード」を使った時には、アクセルを踏み込んだ時に通常より急激に立ち上がるモーターのトルクによって、全く違う車に乗り換えたかのような錯覚すら感じるはずです。
トヨタ・プリウス(30系)のオススメポイントその5:踏み間違い加速抑制システムの後付けにも対応
最上級グレードの「Gツーリングセレクション レザーパッケージ」系なら標準で、「Gツーリング」「G」へはメーカオプションで、最初からミリ波レーダー式のプリクラッシュセーフティシステム(衝突被害軽減ブレーキ)が標準装備されています。
オプションで選ばなかった、あるいは最初から設定のないグレードでも現在は超音波ソナー式で発進時に前後進行方向へ障害物があると警報を鳴らし、アクセルを踏んでも5秒は加速を抑制してくれる「踏み間違い加速抑制システム」を後付け可能。
税込56,100円(取付工賃別)とさほど高価ではないうえに、65歳以上のユーザーなら「サポカー補助金制度」で安く取り付けることも可能なので、30系プリウスの中古車を購入するなら、積極的に検討したい装備です。
トヨタ・プリウス(30系)のスペック紹介
30系プリウスのうち、最上級グレードの”Gツーリングセレクション・レザーパッケージ”を例に、スペックを簡単にご紹介します。
2012年式プリウスGツーリングセレクション・レザーパッケージ
全長:4,480mm
全幅:1,745mm
全高:1.490mm
燃費(JC08モード) :30.4km/L
駆動方式:FF
乗車定員:5名
まとめ
街では自家用からタクシーまでありふれた車である30系プリウスですが、実際に乗ってみると先代20系以前から改善された居住性、余裕ある動力性能といった、別次元な完成度の高さによって、「さすが大ベストセラーになるだけはある」と感心させられます。
3列シートミニバンの「いざとなれば多人数乗車」や、SUVの「いざとなれば多少の悪路は走破可能」という飛び道具こそないものの、普通の車で燃費がよく荷物もそこそこ積めて、後席からも不満が出ないくらいの車を中古車で買いたいんだよね、と考えた場合、筆頭候補に挙げておいて間違いはありません。
これまで興味がなかった方も、30系プリウスの中古車で「ハイブリッドカー」を初めてみませんか?