歴代マツダ・ロードスターの人気ランキングなんて企画をすると、初代とメカニズムに大差なくデザインのみスポイルしたと思われるのか大抵は下位に沈む2代目NBロードスター。
しかし初代との違いこそNBが正常進化版である証であり、小型軽量スポーツとして完成度の高さを誇れる部分でもあります。
走りで楽しむならNBロードスター、イチオシです!
マツダ・ロードスター(NB系)とは
全世界に衝撃を与え、忘れ去られていたライトウェイト・オープンスポーツの復権を高らかに宣言した初代”ユーノス”ロードスター(NA系)のデビューから9年目にして、初のモデルチェンジで登場したのが2代目”マツダ”ロードスター(NB系)です。
それまでの間にマツダが夢想した5チャンネル販売体制は崩壊、「ユーノス」ブランドも消滅しましたがロードスターの人気は衰えず、新たに「マツダ」ブランドからデビューした2代目はキープコンセプトでした。
何しろリヤウィンドウがビニールからガラスになった以外は同じ幌が使いまわしできるほどでしたが、各部はリファインされて初代後期から継続する1.8リッターには6速MTがおごられたほか、1.6リッター車(MTは5速)が復活。
そして何より初代の大きなチャームポイントだったリトラクタブルライトは固定式となり、運動性能に大きな影響を与えるフロント先端部の軽量化や空力性能向上、夜間の視界向上へ大きく貢献しています。
ただし、リトラクタブルライトのみならず全体的なデザインの細かい修正はユーザーからあまり好評だったとはいえず、後々まで名車と語り継がれる初代と比べ、やや冷遇されている感があるのは否めません。
それでも走行性能が向上したのは間違いなく、パワー勝負が求められないステージなら今でもライトウェイトスポーツとして一級の戦闘力を持つのは、むしろ2代目NBロードスターの方です。
マツダ・ロードスター(NB系)はどのような場面で活躍するクルマ?
基本的には初代NA系からのキープコンセプトで走行性能が優れた一台。デザインに関しては、ユーザーの好みにもよりますがツイスティなコーナーの続くワインディングやサーキットが初代より似合う車です。
フロント先端部の重量軽減でターンインが容易になった分だけコーナリングはより楽しく、後ろ姿も少しグラマラスになった姿からも、ミニサーキットでタイムを削るような場面でより活躍する車だといえます。
スペック上は1.8リッター車が優れているものの、ライトウェイトスポーツ使いが操る軽量でバランスの優れた1.6リッター車(NB6C)の実力は侮れず、むしろそちらを好むユーザーは少なくありません。
マツダ・ロードスター(NB系)のオススメポイントその1:軽量な固定式ヘッドライト
デザイン面でも性能面でも大きな影響を与えている固定式ヘッドライトは賛否両論ですが、こと走行性能の面ではメリットが大きく、コーナリング初期にフロントを旋回方向へ向ける時の力(ヨーモーメント)は軽快で、一旦向きを変えてから引きずられることもありません。
初代ロードスターはデザインで優れる反面、このリトラクタブルの重量に手こずった覚えがあるユーザーも少なくないはずで、純粋に走りで楽しみたいならNBをオススメしたい最大の理由がこれです。
マツダ・ロードスター(NB系)のオススメポイントその2:初心に還った軽量化
いくらサスペンションのチューニングやパッケージが優れていても、ボディがコーナリングのたびフニャフニャねじれていてはとても軽快な動きなどできませんから、走行性能向上やパワーアップされた1.8リッター車を搭載する上でボディ補強は必須です。
しかし、元からライトウェイトスポーツであるロードスターは初代の段階で改良によるわずかな重量増加や重量配分の変化も致命的な不評へ結びつく傾向にあり、2代目NBではグラム単位の部品管理で各部の剛性アップと重量増加防止を両立し、高い次元での進化を実現しています。
マツダ・ロードスター(NB系)のオススメポイントその3:低重心によるコーナリング性能
単純な重量だけでなく、その重量配分や各部品の搭載位置も走行性能はフィーリングへ与える影響は大きいものです。
NBロードスターでは全車エアバッグを標準装備するなど重心位置が高くなる部分への追加装備を求められた一方、バッテリーやスペアタイヤなど重量物の搭載位置を降下させて低重心化につとめ、初代以上に地を這うような旋回性能のフィーリングを守りました。
マツダ・ロードスター(NB系)のオススメポイントその4:1.8リッター車の6速MT
車の性格上、パワフルさより軽快さが求められるため初代でも評価が高いとはいえなかった1.8リッター車ですが、NB系では6速MTの搭載で商品力を高めました。
8速や10速といった多段式ATや7速以上のセミATが珍しくなくなった現代でもMTばかりは大抵は6速が上限ですが、NB系の1.8リッター車NB8Cでは20年以上前の段階で6速MTを搭載しており、シフトチェンジに操る楽しみを感じる層にはマストなアイテムです。
マツダ・ロードスター(NB系)のオススメポイントその5:レアなターボやクーペもあり
2代目NB系ロードスターには通常の自然吸気エンジン搭載オープンモデルのほか、過給圧は控えめながら2.2リッター級の大トルクが得られる国内350台限定で1.8リッターターボ車が販売されていました(最高出力172馬力・最大トルク21.2kg・m).
また、折りたたみ式のソフトトップ(幌)や脱着式ハードトップではなく完全固定式ハードトップの「ロードスタークーペ」も1.6リッター/1.8リッター車ともに少数ながら販売されており、ターボともどもレアなモデルです。
まとめ
サーキット走行会やジムカーナ競技会を見に行くと、初代NAロードスターほど見た目華やかではなく、単に古いオープンスポーツに見える2代目NBロードスター、それも1.8リッターのNB6Cが驚くほど速くてビックリさせられることが、時々あります。
もちろん車に振り回されないだけのドライバーの腕があってこその話ではありますが、限られたパワーを余すところなく使い、低重心で鋭いコーナリングで最新スポーツを詰め、打ち負かす面白さこそ、まさにライトウェイト・オープン・スポーツの真骨頂!
NB系ロードスター以降の乗用車はたとえスポーツカーであっても、電子制御による「安定させられた走り」から逃れられませんが、旧時代のスポーツカーで自分の腕が磨かれていくのを実感したいユーザーにこそ、NB系ロードスターは是非とも乗ってほしい車です。
歴代ロードスターの中でも手頃な価格ですし、一度中古でライトウェイトスポーツを味わい尽くしてみたかった!という人にオススメします。