国産ステーションワゴンとして、高い評価を得ているマツダ アテンザワゴン。スポーツ性能と低燃費、そして高級感、すべてを高いレベルで実現させたアテンザセダンと同等の性能や機能が備わっています。そんなアテンザワゴンの魅力を、現行モデルGJ系に注目して解説します。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系とは
GJ系はマツダ アテンザの3代目モデルとして2012年から製造・販売されているモデルで、セダンとワゴンの2タイプがラインナップされています。
現在はアテンザのモデル名は廃止され、海外販売でのモデル名『マツダ6』に統一されました。
アテンザワゴンは、5人乗りのステーションワゴンモデルで、全長はセダンよりも60mm短縮された 4,805mm、ホイールベースも60mm短縮された2,750mm。
そのため最小回転半径はセダンより0.1m短い5.5mとなっており、セダンよりも若干短く小回りが利くクルマです。
エンジンは排気量2.0リッターと2.5リッターのガソリンエンジン、2.2リッターガソリンのディーゼルエンジンが設定されており、マツダ6に車名が変わった2019年7月の一部改良では、2.5リッターターボのガソリンエンジン搭載モデルが追加されました。
マツダ・アテンザワゴンGJ系の前期・中期・後期の違い
この中で発売直後の車両を『初期型』、2014年11月大幅改良以降の車両を『中期型』、2018年5月大幅改良以降の車両を『後期型』に分けて呼ばれます。
初期型【2012年11月20日~2014年11月19日】
前期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
前期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
GJ系アテンザは登場時から、マツダの新世代技術『SKYACTIV(スカイアクティブ)』とデザインテーマ『鼓動』が採用されていました。
ガソリンエンジンを『SKYACTIV-G』、ディーゼルエンジンを『SKYACTIV-D』と呼び、エンジンにアイドリングストップ機構『i-stop』や減速エネルギー回生システム『i-ELOOP』が全車標準装備され、優れた燃費性能を実現。
安全性ではマツダ独自の先進安全技術『i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)』が採用されています。
中期型【2014年11月20日~2018年6月20日】
中期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
中期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
中期型は鼓動デザインを更に磨き上げ、LEDシグネチャーを採用したヘッドランプとリアコンビネーションランプを搭載。
前期型よりもヘッドランプが細くつりあがったデザインとなりました。
また、i-ACTIVSENSEを進化させ、安全性の向上も果たしています。
内装には、電動パーキングブレーキ(EPB)とリアルタイムに変化する情報を表示する『アクティブ・ドライビング・ディスプレイ』が全車標準装備され、コネクティビティシステム『MAZDA CONNECT(マツダ コネクト)』がオプション設定されたのも中期からでした。
後期型【2018年6月21日~】
後期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
後期型 内装 / © Mazda Motor Corporation
後期型の外装は、フロントグリルのデザイン変更や、ヘッドランプを薄くワイドなデザインに変更、19インチ・17インチアルミホイールに新デザインが採用されました。
上級グレードの上級機種『25S L Package』『XD L Package』は、日本の伝統と先端技術により生まれた新素材『Ultrasuede®nu(ウルトラスエード ヌー)が量産車に世界初採用され、 栓(セン)の木を使用した本杢(ホンモク)パネルやナッパレザーなど、本物の素材にこだわった日本の伝統美に通ずる色合いを表現しています。
内装のデザインが前期から中期で大きく変わりましたが、中期から後期ではさらに高級感が増しています。
また、i-ACTIVSENSEは『アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)夜間歩行者検知機能付』、『360°ビュー・モニター』、全車速対応の追従を可能とした『マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)』が追加され、安全性とドライビングアシスト機能の性能アップも果たしました。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系のおすすめポイント1:スポーツカーのような運動性能
アテンザワゴンは、ステーションワゴンタイプの車両でありながら優れたスポーツ性能をもっています。
座ったときは着座位置が極めて低く、シートには高いホールド感が備わっています。
さらに、3つの大径メーターが独立して並ぶメーターパネルのデザインが、プレミアムスポーツカーに乗っているような感覚を演出。
SKYACTIVエンジンもパワーと燃費を両立させ、トルクフルなディーゼルエンジンは低回転域でクルマをグイグイ前に進めます。
ガソリンエンジンはアクセルを踏み込むと高回転域までスムーズに吹け上がり、特に2.5リッターターボエンジンを搭載する、25T S Packageは4リッターV8エンジン並みのトルクと、意のままにクルマを操れるリニアな加速感を実現。
車両の減速・旋回・加速に応じて、前輪左右タイヤを独立して駆動力を調整するG-ベクタリング コントロールや、最適なステアリングフィールを生み出す電動パワーステアリングなど、マツダがロードスターで提唱する『人馬一体』の走りがアテンザワゴンでも具現化されています。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系のおすすめポイント2:SUV並みの走破力を誇る4WD
ステーションワゴンなら、大きな荷物をいっぱいラゲッジルームに詰め込んで、アウトドアに行くために使いたい方も多いはず。そうなればSUVのような高い走破性も必要になってきます。
そこでおすすめなのが、XDシリーズで設定されている4WD仕様です。
アテンザワゴンには電子制御カップリングを用いたオンデマンド式4WDが採用されており、通常走行時には前輪駆動、滑りやすい路面や加速時も後輪駆動が使われます。
また、圧雪やアイスバーンで加速や坂道発進をするときも、4輪全てが地面をとらえてタイヤのスリップを極力抑えてくれます。
雪道だけでなく、砂道や未舗装路でも、最低地上高のクリアランスが保てる凹凸の範囲内であれば、SUV並みの駆動力を発揮してくれるのです。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系のおすすめポイント3:予防安全と運転支援システム
© Mazda Motor Corporation
アテンザワゴン全車に標準装備されているi-ACTIVSENSEは、衝突をあらかじめ抑制する予防安全や、ドライビングをサポートしてくれる運転支援システムまで、ありとあらゆる機能が搭載されています。
i-ACTIVSENSE | |
---|---|
機能 | 概要 |
クルーズコントロール | 約30~100km/hの範囲で走行中、アクセルを踏まずに 設定速度での定速走行が可能です。 |
交通標識認識システム(TSR) | 走行中にカメラで速度制限、進入禁止、一時停止、追い越し禁止、はみ出し禁止の交通標識を読み取り、その情報をアクティブ・ドライビング・ディスプレイに表示します。 |
ドライバー・アテンション・アラート(DAA) | エンジン始動後、車速が約65km/hを超えると作動し、疲れていない状態でのドライバーの運転とクルマの動きを学習。その後、学習したデータと実際の運転状況に大きな違いが出ると、ドライバーに休憩を促します。 |
アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)夜間歩行者検知機能付 | 先行車や前方の歩行者をカメラで検知し(対車両:約4~80km/h走行時、対歩行者:約10~80km/h走行時)、 ブレーキを自動制御して衝突回避をサポートします。 |
スマート・ブレーキ・サポート(SBS) | 約15km/h以上で走行中、先行車を捕捉して、衝突の危険があるときにドライバーへ音や表示で警告。さらにはブレーキを自動制御し、衝突時の被害軽減や衝突の回避をサポートします。 |
AT誤発進抑制制御[前進時] | 前方の障害物をカメラやフロントの超音波センサーで検知し、約10km/h以下での徐行前進や停車時の際に、ペダルの踏み間違いなどによる誤発進・急加速を抑制します。 |
リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA) | 駐車場からバックで出る際などに接近してくる車両を検知してドライバーに警告し、安全確認をサポートします。 |
360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサー | 車内のセンターディスプレイに、車両を上方から俯瞰したようなトップビューや、フロントビュー、リアビュー、左右サイドビューを表示。リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)や8つのパーキングセンサーで対象車両や物を検知して知らせる警報音とともに、目で認識しづらいエリアの安全確認をサポートします。 |
リアパーキングセンサー(センター/コーナー) | リアバンパーの超音波センサーで近距離の静止物を検知し、警告音でドライバーに知らせます。 |
アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH) | ヘッドランプは、高い遠方照射性、車速に合わせた3パターンのハイビーム配光制御、ステアリングを切る角度に応じてヘッドランプの向きを6段階に可変させる機能をもっています。夜間走行時の視認性を高め、ドライバーの危険認知をサポートします。 |
車線逸脱警報システム(LDWS) | 車両が車線から逸脱しそうであると判断すると、ステアリング振動またはランブルストリップス音やビープ音によってドライバーへ注意を促します。 |
レーンキープ・アシスト・システム(LAS) | 約60km/h以上で走行中、車線逸脱を防ぐためにステアリングをアシストする「逸脱回避支援(遅い)」、または、車線の中央やカーブに沿って走るようアシストする「ライントレース(早い)」の機能が選べます。 |
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系の維持費
車検代
仮設定は、都内のマツダディーラーで車検を依頼した場合で、基本料金はマツダジャストフィット車検の年間走行距離1万キロ以下の車両を対象とした『アクティブコース』としましょう。
これに法定費用を含めた金額が車検時に必要で、金額は61,180~93,980円です。
20S/25S | XD | |
---|---|---|
自動車重量税(円) | 32,800 | 初回継続車検:免税 2回目以降:32,800 |
自賠責保険(円) | 21,550 | |
印紙代(円) | 1,200(指定工場) | |
保安基準適合検査料(円) | 7,350 | |
車検申請代行料(円) | 10,500 | |
【アクティブコース】基本料金(円) | 20,580 | |
合計(円) | 93,980 | 初回継続車検:61,180 2回目以降:93,980 |
ここで示した車検費用は故障個所の修理や部品代、消耗品交換がない最低ラインの金額のため、実際はこれにメンテナンス費や部品代や技術料が加わります。
また、この金額は基準として見ていただき、実際の価格に多少差が生じることに注意してください。
燃料代
20S | 25S | XD | |
---|---|---|---|
リッターあたりガソリン価格(円)【使用燃料】 | 118【レギュラー】 | 118【レギュラー】 | 99【軽油】 |
実燃費(km/L) | 前期:13.9 後期:13.1 |
前期:11.2 後期:13.5 |
前期:14.8 後期:16.8 |
年間ガソリン代(円) | 前期:84,892 後期:90,076 |
前期:105,357 後期:87,407 |
前期:66,891 後期:58,928 |
ガソリン/軽油価格:2020年6月8日時点の全国平均価格
なお、紹介した実燃費はモタガレ調べのため、実際には乗り方や使用場面によって実燃費が異なり、リッターあたりのガソリン価格も変化するため、年間ガソリン価格も多少異なってきます。
自動車保険料
年齢:30歳以上
等級:12等級
年間走行距離:11,000km
免許の色:ゴールド
運転者限定:家族限定
運転者の年齢制限:30歳以上
保証:対物対人無制限
車両保険:つける
なお、大まかな見積もりなので、実際には保険加入すると多少の違いが出てきます。
合計
20S | 25S | XD | |
---|---|---|---|
自動車税(円) | 39,500 | 45,000 | 45,000 |
車検費用(円)※2年車検を1年分に換算 | 46,990 | 46,990 | 46,990 |
ガソリン代(円) | 前期:84,892 後期:90,076 |
前期:105,357 後期:87,407 |
前期:66,891 後期:58,928 |
自動車保険代(円) | 95,200 | 85,200 | 100,800 |
合計(円) | 前期:266,582 後期:271,766 |
前期:282,547 後期:264,597 |
前期:259,681 後期:251,718 (初回継続車検から2回車検の間なら 前期:226,881 後期:218,918) |
おおまかな見積もりになるため、実際はこの金額から前後すると思われますが、年間維持費は30万円ぐらいを見ておくべきでしょう。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系の中古車価格相場
年式別中古車相場 | |||
---|---|---|---|
年式 | XD | 20S | 25S |
2012年 | 78.8~148万円 | 62.8~116万円 | 45.8万円 |
2013年 | 50~180万円 | 39~179.8万円 | 64~145万円 |
2014年 | 49.8~169.8万円 | 68.7~181.4万円 | 113~145.9万円 |
2015年 | 69.9~238万円 | 98.9~189.4万円 | 99.9~179.5万円 |
2016年 | 109.8~259.9万円 | 76.8~199.9万円 | 158~179.7万円 |
2017年 | 113~274.8万円 | 91.8~213.8万円 | 202.5~268万円 |
2018年 | 229~339.9万円 | - | 237.6~258万円 |
2019年 | 264.4~329.9万円 | - | 239~281.6万円 |
走行距離別中古車相場 | |||
---|---|---|---|
走行距離 | XD | 20S | 25S |
0~3万キロ | 89.9~345万円 | 129.9~265万円 | 99.9~281.6万円 |
3~5万キロ | 75.8~113.8万円 | 95.8~209万円 | 73.8~223万円 |
5~10万キロ | 51.8~214.8万円 | 62.8~138.9万円 | 99.9~158万円 |
10~15万キロ | 50~118万円 | 39万円 | 45.8~69.8万円 |
15万キロ~ | 104万円 | - | - |
GJ系アテンザワゴンは、セダンよりも若干タマ数は少ないものの、ディーゼルエンジンのXDはそこそこの台数が流通しているため、自らの希望に沿った中古車両が見つかりやすい状況です。
しかし、流通量がセダンより若干劣るせいか、相場はセダンよりも高め。
特に、ガソリン車の20Sや25Sあたりはタマ数が少ないため、探すことが難しく、中古車価格も割高です。
中古車市場で最も多いのが、2013年~2015年までの間に販売されていたXD。
100万円以下購入できる中古車両も多く販売されているため、手軽にスポーツワゴンを楽しみたい方は、GJ系アテンザワゴンを探してみてはいかがでしょうか。
マツダ・アテンザ ワゴンGJ系のスペック
20S | 25S | 25T | XD | |
---|---|---|---|---|
車両型式 | 6BA-GJEFW | 6BA-GJ5FW | 5BA-GJ5FW | 3DA-GJ2FW |
駆動方式 | FF | FF/4WD | ||
全長×全幅×全高(mm) | 4,805×1,840×1,480 | |||
ホイールベース(mm) | 2,750 | |||
最低地上高(mm) | 160 | |||
乗車定員(名) | 5 | |||
車両重量(kg) | 1,530 | 1,560 | 1,590 | 6AT:1,630、6MT:1,610 【6AT:1690、6MT:1,680】 |
エンジン型式 | PE-VPR | PY-RPR | PY-VPT | GH-VPTR |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ | 直列4気筒DOHC16バルブターボ | 直列4気筒DOHC16バルブディーゼルターボ | |
総排気量(L) | 1.997 | 2.488 | 2.498 | |
内径×行程(cm) | 83.5×91.2 | 89.0×100.0 | 86.0×94.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 115[156]/6,000 | 140[190]/6,000 | 169[230]/4,250 | 140[190]/4,500 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 199[20.3]/4,000 | 252[25.7]/4,000 | 420[42.8]/2,000 | 450[45.9]/2,000 |
トランスミッション | 6AT | 6AT/6MT | ||
タンク容量(L) | 62 | 62【52】 | ||
JC08モード燃費値(km/L) | 15.0 | 14.2 | 12.4 | 6AT:17.8、6MT:19.6 【6AT:17.0、4WD:18.8】 |
グレード、新車販売価格 | ||
---|---|---|
グレード | エンジン | 価格 |
20S | 2.0ガソリン | 2,893,000円~ |
20S PROACTIVE | 3,091,000円~ | |
25S L Package | 2.5ガソリン | 3,635.500円~ |
25T S Package | 2.5ガソリンターボ | 4,317,500円~ |
XD | 2.2ディーゼルターボ | 3,311,000円~ |
XD PROACTIVE | 3,509,000円~ | |
XD L Package | 4,053,500円~ |
まとめ
国内市場のステーションワゴンカテゴリーにおいて、日本メーカーから販売されるモデルは限られます。
SUVのシェアが伸びたことで、その引き換えにいくつかのステーションワゴンタイプのモデルが廃盤となりました。
それでもマツダはフラグシップモデルのアテンザシリーズにセダンとワゴンを登場させた、数少ない国産モデルのステーションワゴンタイプ・ロードスポーツモデルです。
一方、欧州メーカーは主力セダンモデルにはステーションワゴンも設けており、市場としての需要も大きくなっています。
そのため、アテンザが欧州で大ヒットできたのは、セダンだけでなくステーションワゴンも設定したことが理由のひとつにあげられます。
スタイルや性能においての評判が良く、前期型から中期型や後期型に買い替える方も多いなど、世界中のユーザーを魅了するクルマ。
そんな世界基準で作られたアテンザワゴンは、あなたのカーライフをより充実させてくれるでしょう。