輸入車のウインカーが逆向きな本当の理由とは?

輸入車のウインカーが逆向きな本当の理由とは?

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右ハンドル仕様になった輸入車に乗ったとき、ウインカーレバーを操作したつもりが、ワイパーレバーを動かしてしまった。そんな経験はありませんか?



ハンドルの位置が変わっているにもかかわらず、ウインカーはなぜか左のまま。



いったいなぜなのでしょうか。それには、きちんとした理由があったのです。

ウインカーレバーの正しい位置

ウインカー COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

右ハンドルの場合は右に、左ハンドルだと左に装着されるウインカーレバー。

空いた方の手でシフトレバーを操作する関係上、2つのレバーが同一の位置に存在していると、操作が煩雑になるので、このような位置関係になっています。

しかし、イギリスのように左側通行の国から来た車や、右ハンドル仕様の輸入車のウインカーレバーは、本国仕様と同様に左についたまま。

これは一体、どういうことなのでしょうか。

そこには国際的な基準が、大きく関係していました。

国際標準化機構(ISO)と日本工業規格(JIS)

jis企画 Copyright 2001 Japanese Standards Association. All Rights Reserved.

国際的な工業規格に、ISO(国際標準化機構)が存在します。

この規格には車の操作系に関する規定もあり、そこでは「ハンドル位置に関係なくウインカーレバーは左側に、ワイパーレバーは右側に設置する」と規定。

輸入車はこのISOの基準に沿ってウインカーレバーが取り付けられており、それは左側通行で右ハンドルのイギリス車でも変わりはありません。

では、なぜ国産車のウインカーレバーの位置が右なのかというと、日本国内の工業規格、JIS(日本工業規格)が「ウインカーは右側に設置する」と定めているからです。

つまり国産車は国内の基準に従って作られており、輸入車は国際的な規格に基づいているというわけ。

しかし、輸出する国産車に限ってはそうではなく、ISOに沿った仕様、つまりウインカーレバーの位置を左に変更したうえで海外へ送っているのです。

とはいえ、ISOとJIS、この2つの規格には、ともに強制力がないので、輸入された車に関しては、たとえ右ハンドル仕様になっていても、ウインカーレバーは左のまま。

結果的に国内では、国産車と輸入車でウインカーレバーの位置が異なるという事象が起きているのです。

なぜイギリス車のウインカーレバーは左側にあるのか

ジャガー 出典:https://www.jaguar.co.jp/jaguar-range/f-type/gallery.html

国産車と同じく右ハンドルのイギリスは、当初、このISO規格に則って「ウインカーレバーを左につける」ことに反対したそうです。

しかしEUの加盟国だったことから、ISO基準に沿って「ウインカーレバーを左側につけた車」を生産、販売する結果となりました。

ところが、現在のイギリスはEU離脱に向けた動きをとっており、今後彼らが欧州連合から抜け出した場合は、英国独自の工業規格が設けられるかもしれません。

そうなると、日本車と操作系統が同じ仕様のイギリス車が出てくるのではないでしょうか。
 

F1チャンピオンが提案した「ボタン式」

フェラーリ458 Photo by Shane K

現在、多くの車のウインカーはレバー形式ですが、例外も存在します。

フェラーリが製造・販売する車のウインカーは、「458イタリア」以降、ハンドルの左右に存在するボタンで操作する方式になりました。

これを提案したのは、F1チャンピオンの経歴を持つ、ミハエル・シューマッハです。

「ボタン方式のほうが、ステアリングから手を離さずに操作できるから。」

というのが理由だったようですが、ハンドルを持ち替えて回す一般道は、サーキットとは違います。

このタイプの車でハンドルを持ち替えて回した場合、ウインカーの位置や左右がとっさにわからなくなってしまい、不便さを感じずにはいられません。

サーキットで圧倒的な強さを誇ったシューマッハの提案も、一般道では少し勝手が違ったようです。
 

ウインカーレバーの位置が統一される日は来るのか?

ジャガー COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

輸入車に乗る方は、「ウインカーレバーの位置を統一して欲しい」と思うことがあるかも知れません。

確かに国産車と輸入車でウインカーの位置が同じになれば、道を曲がろうとして間違えてワイパーを作動させることはなくなるでしょう。

しかしISOは国際的な基準であり、JISはあくまで国内の規格。

この2つの規格を統一するとなると、少数派であるJISは淘汰されることになり、右ハンドルの車なのに左側にウインカーがついてしまう方が有力です。

しかし右ハンドルの場合は、右側にウインカーがついていたほうが機能的なので、左ウインカーになった場合は、それはそれで戸惑う場面が多くあると考えられます。

さらに、もし規格がISOに統一されるとなった場合は、今まで右側ウインカーで車を製造してきたメーカー各社が反対し、大きな騒動になるかも知れません。

国際情勢が大きく動く中、ISO規格もこれまでとは違った変化をする可能性もあるので、よく注視していくことが必要です。
 

まとめ

ウインカーレバーの位置には、国際的な規格と国内の基準が大きく関係しています。

国際規格であるISOが今後どこまで広がるのか、そして仮に国内にその波が及んだとしたら。

そうなった場合は、押し寄せる国際化の波に対して日本がどう出るかによって、ウインカーレバーの位置も変わってしまう可能性があります。

日本人にとってベストな方法は、全ての統一ではなく、現状を維持したままで各輸入車が自主的に、「右ハンドル・右ウインカー仕様」に変更してくれることではないでしょうか。
 

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