実は、輸入車の中でもドイツ車のステアリングだけは総じて重たい造りになっていることを、皆さんはご存知でしょうか。
今回はこの謎を紐解いていこうと思うのですが、ドイツ車のハンドルが重たい理由には、地理的なお国柄が大きく影響しているのです。
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重たいステアリングと軽いステアリングの特長
まずは、重たいステアリングと軽いステアリングの特長を考えてみましょう。
重たいステアリングの特長には、安定感が挙げられます。
重量感があることで、必要以上にステアリングを切りすぎることがなく、最小限の舵角量で操作する事が、自然と身につく事も。
その結果、強風などで振られることもなく、ステアリング操作に安定感・安心感を得ることができるのです。
また、タイヤが地面に接地して動いている事を、より感じ取ることができるのも嬉しいところではないでしょうか。
一方で、軽いステアリングの特長は、ハンドルをたくさん切る必要がある時に、簡単に回すことができる点が挙げられます。
ステアリングを切りすぎることは、タイヤにとって、優しくありませんが据え切りも、重いステアリングと比べて早くかつ少ない負担で操作することができます。
これは、車幅の狭い道や車庫入れの際に便利です。
肝は走行時の速度域の高さ
ドイツ車のステアリングが重たく設定されている理由の肝は、走行時の速度域の高さにあると言えます。
これは、日本国内でドイツ車を運転する際の速度ではなく、ドイツ国内でドイツ車を走らせる時の速度域です。
周知の通りドイツには、アウトバーンという速度無制限道路(一部区域には制限速度有り)が存在します。
このことからも想像がつくように、ドイツ車はアウトバーンの走行を念頭に置いた車作りが必要となるわけです。
そのため、アウトバーンの無制限速度区間を走行するということは、日本の高速道路では考えられない速度域でクルマを走らせることになります。
例えば、時速200kmで運転することも可能なのです。
そして時速200kmで走っている車のステアリングに求められるものは、安定感や安心感ではないでしょうか。
このことからも、ドイツ車に重たいステアリングが採用されることが多い理由は、走行する速度域の問題と言えるでしょう。
日本を走っているドイツ車
Photo by PYONKO OMEYAMA
このようにドイツ車は、ドイツの交通事情を考慮した車作りがなされています。
つまり、ドイツの交通事情を念頭において開発された車が、日本でそのまま販売されているということになるのです(もちろん車検に通る事を前提で)。
このような視点を持ってドイツ車を観ると、これまでとは違った部分が見えてくるのではないでしょうか。
まとめ
車を操作するための唯一の、道具がステアリングです。
機会があれば是非、ドイツ車と国産車を乗り比べ、ステアリングの国際交流をしてみてはいかがでしょうか。