日産グローバル本社ギャラリー(神奈川県横浜市)にてEVコンセプトカー「Max-Out」を始めとした、日産が考える持続可能なモビリティと革新的なデザインの未来を体感できる「Nissan FUTURES」が2023年2月4日〜3月1日にかけて開催。
もちろんMax-Outの存在も気になるところですが、最も気になったのが「e-4ORCE RC」。
日産の「e-4ORCE」をRC=ラジコンカーで再現し、機能の有無を遠隔操作で体験できるというもの。
実際に体験してきたのでそのレポートをお届けします。
PHOTO&TEXT:モタガレ
そもそも「e-4ORCE」とは?
日産のe-4ORCEは、4WD制御、シャシー制御、電動化技術を組み合わせた日産独自の駆動システムで、従来の機械式AWDシステムとは異なり、電気モーターを主軸とした日産独自の4WD制御システムです。
内燃機関エンジン+機械式の場合、0.1秒単位での正確な制御も難しいとされていましたが、e-4ORCEの場合msec単位(1000分の1秒単位)で高速高精度制御を可能にしており、モーターのポテンシャルを最大限引き出すことで、ハンドリングの扱いやすさ、安心感、快適な乗り心地を、従来の内燃機関車では到達し得ない領域まで引き上げています。
通常の駆動配分は「50:50」であるものの、シチュエーションに応じて「100:0」〜「0:100」にすることも可能で状況に応じて駆動配分を制御します。
さらには左右輪の駆動配分も回生ブレーキや4輪の油圧ブレーキを組み合わせることで、コーナーリング性能を劇的に向上させています。
前後に2モーター搭載するe-4ORCEならではの走りを楽しむことができるのです。
e-4ORCEを再現した「e-4ORCE RC」
免許を持つ大人がe-4ORCEを体感する上で、FE0型ARIYAやT33型エクストレイルのe-4ORCEに試乗するのが近道。
そのe-4ORCEの制御をラジコンカーで再現することで、子供でも誰でも体験できるようにしたのが「e-4ORCE RC」になります。
e-4ORCE RCはラジコンカーと言う物理的な特性上、各ホイールにモーター1つずつ(合計4つ)配置し、各モーターの速度制御を行うことでe-4ORCEと同じような制御を実現しています。
今回、日産グローバル本社ギャラリーで用意された体験内容は、8の字のコースを複数周しつつ、途中でe-4ORCEの有無を切り替えて、車の動きの違いをシミュレーターを通じて体感する、というもの。
コクピットは専用に改造したSIM筐体
コクピットからはラジコンカー本体は目視できないものの、ラジコンカー本体に設置されたGoproから入力される映像をもとに視界を確保。
実際にラジコンカーのコクピットに座っているかのような感覚で、シミュレーター筐体からラジコンカーをコントロールします。
ハンドルを切れば曲がる、のは当然のことラジコンカーの挙動に応じてシミュレーター筐体のアクチュエーターが動き、乗用車を運転している時のような挙動を体感することができました。
ハンドルの応答については、キックバックなどの動作は再現されておらず、ものすごくリモート感を感じた次第。
コクピット筐体にはブレーキペダルが無く、アクセルペダルのみで、アクセルペダルのオンオフのみで加速減速を行うのは、日産eペダルを彷彿とさせる操作感。
e-4ORCEの有無についてはハッキリと体感することができ、e-4ORCEがあることで適正な旋回ができたものの、e-4ORCEが無い場合(デフロック状態)では意図する方向よりも曲がらず(アンダーステア)。
e-4ORCE RCであれば、大人でも子供でも違いを体験できることが分かりました。
意図とは異なるが色々な可能性を秘めている
今回はラジコンカーであったものの、着目したいのがその操作方法。ラジコンカーであれば本来、手元のコントローラーを操作するだけ操縦が可能ですが、シミュレーター筐体を使っていることがポイント。
例えばカメラを搭載したラジコンカーを複数台用意して、シミュレーター筐体からハンドル・アクセル・ブレーキ操作ができるのであれば、実車さながらのモータースポーツをラジコンで再現することが可能ということ。
今回の展示の意図とは異なるものの、別の角度から可能性を感じた次第。