タイヤの管理でクルマの楽しさと安全性は決まる!?
クルマ整備の基本中の基本ともいえる、タイヤの空気圧管理。
過酷な自然環境を有する日本において、タイヤの空気圧に関してあまりに無頓着なユーザーが多いのも事実。
安全性低下、走りの悪影響、偏摩耗、燃費の悪化・・・ちゃんと空気圧管理しないと損することばかり!
また、高速道路では本当に空気圧高めのほうが良いのか?についても説明します!
さらに併せてタイヤの空気圧管理に使えるツールについても簡潔に解説。持っておいて損はないかも。
タイヤは地面とクルマの唯一の接地点。筆者の見聞や経験も踏まえてタイヤの空気圧管理についての基本をまとめていきます。
タイヤの空気圧管理、あなたはシッカリできてますか?
超重要部品。タイヤはクルマと地面の唯一の接点という事実。
初めに断言しておくと、タイヤはクルマの中でも最も重要な部品のひとつです。
しかし、そんな重要部品の割にはタイヤについてあまりに無頓着なユーザーが多いのも事実。
特に溝の減りは外からの目視で気づきやすいものの、空気圧については外見から異常に気付きにくく、気が付いたときには手遅れなんてこともしばしば。
そこで今回は、タイヤの空気圧管理を中心に
- なぜタイヤの空気圧管理が重要なのか
- 使用環境やシーンによる適正な管理の仕方
- 空気圧管理に使える便利なツール
タイヤの空気圧異常が引き起こすデメリットまとめ
空気圧不足のデメリット:
- タイヤの寿命が短くなる
- 燃費が悪化する
- タイヤのたわみ量が増え、ハンドリングが悪くなる
- ブレーキ性能が低下する
- タイヤが偏摩耗する
- 高速走行中にタイヤがバーストする危険性がある(スタンディングウェーブ現象)
- 走行安定性が低下する
空気圧過多のデメリット:
- タイヤの寿命が短くなる
- 路面との接地面積が減り、グリップが低下する
- タイヤが偏摩耗する
- タイヤの硬さが増して乗り心地が悪くなる
- 高温下で内圧が異常上昇し、タイヤがバーストする危険性がある
- 走行安定性が低下する
- ロードノイズが増加する
タイヤ空気圧管理は整備のキホンの「キ」!
タイヤはクルマと地面の唯一の接点。
1トンを優に超える荷重を支え、タテヨコに掛かる強力な慣性を受けながら車両を地面に密着させつつ、制動力や加速力を得るための重要な役割を果たしています。
どんなに高性能なクルマでも、タイヤの管理が行き届いていなければコントロールの利かない鉄のカタマリ。
つまりタイヤの管理を怠るということは自ら事故を起こしに行くようなものなのです。
タイヤのコンディションの良し悪しは車両の操縦性、安全性、乗り心地、燃費というクルマの基本性能に直結します。
適切に管理すればクルマ本来の性能をフルに引き出し、さらにタイヤ自体の寿命も伸びてイイコトづくめ。
まさしくタイヤの空気圧管理は自動車整備のキホンの「キ」と言えるでしょう!
タイヤ履き替え前にちょっと待った!空気は自然に抜けるもの。
みなさんはタイヤ交換後、キチンと空気圧を調整していますか?
特にDIYで交換後に空気圧調整をしてないという人が案外多いんです。もちろんこれはNG。
大前提として、タイヤの空気は自然と抜けていきます。これは新品かどうか、タイヤの種類などに関わらず同じこと。
子どもの頃よく遊んだ風船をイメージすると分かりやすいかもしれません。膨らませて何日かすると風船もしぼんでしまいますよね。
自然空気漏れはどうしても避けられません。目安として月に1度程度は空気圧チェックを行う必要があります。
スタッドレスタイヤと夏用タイヤの脱着の場合、どうしても数か月単位で放置することになるため、脱着後は必ず適正空気圧への調整を忘れないようにしましょう。
季節や走行シーンによる空気圧管理方法を解説!
タイヤは生き物。環境によって状態は変化する!
ハッキリ言って日本の四季はタイヤにとって超過酷。
タイヤはクルマの中でも特に周囲の環境に左右されやすいパーツ。特に温度の変化には非常に敏感です。
季節による気温の変化はもちろん、真夏の灼熱のアスファルトから真冬の凍結路まで揃う日本の環境は、さしずめシビアコンディションの見本市と言えるでしょう。
定期的な点検はもちろん、季節やその時の気温によってこまめなチェックや調整を忘れずに。タイヤは生き物だと思って扱うべき部品なのです。
季節ごとのタイヤ管理のコツまとめ!
春:
春は気温が上昇する時期ですが、気温の変化が激しく、朝晩はまだ冷え込むことも。
そのため、春はタイヤの空気圧が変化しやすい季節とも言えます。
春のタイヤの空気圧管理においては、朝晩の気温の低い時間帯に空気圧を調整し、適切な空気圧を維持することが重要です。
また地方によっては積雪や路面凍結の場合もあるため、出かける前に目的地の道路状況を下調べし、必要に応じて冬用タイヤも併用する必要があるでしょう。
夏:
日本の夏は年々過酷になり、世界的に見ても酷暑と言える状況なのは周知のとおり。
強烈な日差しで鉄板の如く熱せられたアスファルトは、タイヤを容赦なく焼き付けます。
夏のタイヤの空気圧管理においては、タイヤが過熱することで空気圧が上昇することが特に懸念されます。
空気圧が高すぎると、高速走行で内圧が異常上昇し、最悪の場合走行中にバーストという危険な事態に繋がることも。
そのため、夏場には定期的に空気圧をチェックし、必要に応じて空気を抜いて適切な空気圧を維持する必要があるでしょう。
秋:
秋は気温が下がってくる季節。
秋のタイヤの空気圧管理においては、春と同様に気温の変化に注意が必要です。
朝晩の気温がどんどん下がるため、調整した直後でも空気圧が急激に低下することがあります。
そのため、定期的に空気圧をチェックし、必要に応じて空気を補充することが重要です。
また地方によっては霜が降り始める季節のため、路面凍結に備えて冬用の装備を早めに準備しておきましょう。
冬:
冬は気温が低いため、放っておくとタイヤの空気圧もみるみる低下します。
そのままでは非常に危険なため、必要に応じて空気を補充しましょう。
また、雪のあまり降らない地域でも、冬はスタッドレスタイヤの使用を推奨します。
冬は積雪路だけでなく、凍結が非常に危険。夏用タイヤでは不意の路面凍結に対応できないからです。
またコンパウンド(タイヤの材質)自体も低い路面温度でグリップ力を発揮するものを使用しているので、冬の間はスタッドレスを履いておけば間違いないといえるでしょう。
「高速では空気圧高め」はウソ!?
実はコレ、「ほぼ」間違った知識です。
タイヤの指定空気圧は、メーカーの開発時に厳密なテストを繰り返して決められたものであり、基本的に指定空気圧で全てのフィールドにおいてパフォーマンスを発揮するように設定されています。
では「ほぼ」とは一体どういうことなのでしょうか。
筆者が以前とあるタイヤショップでお話を伺ったところ、
「基本的に指定空気圧で設定すればOKだが、高速では万が一走行中にエアが漏れて空気圧が下がった時のことを考えて、指定空気圧+10~20kpa程度多めに調整することはある」
とのことでした。
そのため悪戯に高い空気圧にするのではなく、基本的にはメーカー指定の空気圧に調整しておくことが基本になります。
そもそも高速道路での走行は、タイヤにとって非常に過酷な状況になるため、事前に空気圧のチェックを怠らないようにしましょう。
タイヤの空気圧管理ツール~心強い味方たちをご紹介!
自分でツールを持っておけばさらに安心。
タイヤの空気圧管理について、多くの人は給油時にガソリンスタンドか、交換時にタイヤショップなどでお願いするのが一般的かと思います。
しかし中には「お店が遠い or 行きたいときに閉まっている」「点検をお願いしたいけれど押し売りが心配…」など、気軽に空気圧点検を頼みづらいというユーザーの声があるのも事実…
そこでオススメしたいのが、空気圧調整ツールを自分で持っておくこと!
愛車に積んでおけば遠くへドライブに行った出先でも安心。
今回は特にあると便利な
- エアゲージ
- 空気入れ
- 空気圧モニタリングシステム
エアゲージ:空気圧チェックの基本はコレ!
一般的にエアゲージは、タイヤのバルブに接続するためのステムと、空気圧を読み取るためのディスプレイから構成されています。
ステムをバルブに接続し、ゲージをタイヤに向けてギュッと押し付けることで、空気圧を読み取ることができます。
エアゲージのディスプレイにはデジタルタイプとアナログタイプがあります。
デジタル表示は正確な数値を表示することができる反面、値段は高め。
アナログ表示は針で表示するため、精度ではデジタル式に譲るものの、価格のお手頃さと直感的な操作感が魅力です。
引用:エーモン工業株式会社(https://www.amon.jp/products2/detail.php?product_code=A58)
また手軽にエアゲージを携帯したい人にオススメなのが、「ゲージスティック/ペンシルタイプ」と呼ばれる棒状のエアゲージ。
大きめのボールペンくらいのサイズで携帯性は抜群!
価格は手ごろなものから揃っており、精度も少なくとも筆者が使っていたものに関しては街乗りで使うのに充分なレベルでした。
とにかく場所を取らないので、1台に1つ用意しておいて損はないかと思います。
空気入れ:エアゲージとセットで持っていれば完璧。
空気入れは大きく分けて3つのタイプに分類されます。 手動式(足踏み式)空気入れ:おなじみの手動ポンプ、もしくは足踏み式ポンプを使用してタイヤに空気を入れるタイプ。リーズナブル。
持ち運びが容易で電源が不要なためどこでも使えるものの、クルマのタイヤに人力で空気を入れるにはかなりの体力が必要という欠点も。
出典:大橋産業株式会社(https://www.bal-ohashi.com/products/pump/001489/)
電動式空気入れ:電源を利用して空気を送り込むタイプ。値段は高め。
手動式よりも楽に空気を入れることができ、操作も簡単。
ただし、給電方法によってコンセントが必要だったり、バッテリーの充電が必要な場合もあり注意が必要。
出典:大橋産業株式会社(https://www.bal-ohashi.com/products/compressor/00998/)
コンプレッサー式空気入れ:工業用 / DIY用のエアコンプレッサーに取り付けて使うタイプ。
大量の空気を供給することができるので、大型のタイヤなどに迅速かつ効率的に空気を入れることが可能。
ただし大型で重く、コンセントも必須なため持ち運びは不可能。エアーコンプレッサーも高額なので自宅DIY上級者向け。
この中で筆者がオススメしたいのが2の電動式の中でも、クルマのシガーソケットから電源を取れるタイプ。
手動式と比べて圧倒的に楽なのと、コンセントの無い場所でも出先でも関係なく電動でラクラク空気を補充できるのが大きなメリットです。
また電動式の中には、設定した空気圧まで達すると自動的にストップするものもあり、初心者でも確実に空気圧の管理をすることができるのも大きな魅力でしょう。
空気圧モニタリングシステム:クルマに乗りながら常に空気圧を監視。
空気圧モニタリングシステムは、タイヤの空気圧をリアルタイムで監視することができる便利なアイテムです。
最近の新車には標準装備されているものもありますが、付いていない車や中古車にもアフターパーツとして取り付けることができます。
このシステムは、タイヤに取り付けられたセンサーが空気圧を測定し、その情報を車内のディスプレイに表示することで、運転中でもタイヤの空気圧をチェックすることができます。
空気圧が異常に低くなったり、急激に変化した場合にはアラームが鳴るので、すぐに対処することが可能。
最近ではシガーソケットやソーラーパネルから電源を取れるタイプの物もあり、タイヤのバルブキャップと併せて交換することで簡単に設置できるものが増えています。
総評すると、空気圧モニタリングシステムは、タイヤの空気圧管理を簡単かつ効果的に行うことができる便利なアイテムです。
常にタイヤの空気圧を可視化することで、クルマのパフォーマンスを常に引き出したり、より安心してドライブを楽しむことができるでしょう。
まとめ:タイヤの空気圧管理は安心と愉しさに直結。まずは定期的なチェックから。
いかがでしたか?
タイヤの空気圧管理は安全性や燃費、タイヤの寿命など、様々な面でドライビングの質に影響を与えます。
空気圧管理をシッカリと行うことで、快適なドライビングを楽しむことができるだけでなく、トラブルを未然に防ぐことも可能。
空気圧調整ツールを自分で持っておけば、タイヤの空気圧管理がいつでも手軽に行えます。
出先で空気圧が気になったときや、ガソリンスタンドが遠い場合でも安心して対処できるのは大きなメリットでしょう。
また空気圧モニタリングシステムを導入すれば、運転中にリアルタイムで空気圧を監視できるため、安心快適なドライブを楽しめます。
整備の基本ともいえる部分をしっかりと行うことで、愛車との絆も深まると思います。
タイヤの空気圧管理をおろそかにせず、安心と愉しさを追求しましょう!
それでは、良いカーライフを!