自動車パーツにおける在庫、納期、受注生産のお話

自動車パーツにおける在庫、納期、受注生産のお話

特集

愛車のパーツを購入する、この時点でクルマへの関心は高いユーザーと言えます。

ディーラーに任せっきりではなく、純正パーツや社外パーツを自分の好みで選んで購入し、装着する。理想の1台を求めたカスタム、予防保全や修理などでやむなくパーツを購入する。

車のパーツを購入する上での理由は様々ですが、商品を購入する際気になるのが在庫や納期ではないでしょうか?

商品によっては受注生産品、なんてこともあります。

車に関わるパーツは、そのパーツの生産元、種類、特性などによって、在庫されやすい商品や、そもそも受注生産品といったパーツが存在します。

今回は車のパーツに関わる、在庫、納期、受注生産について解説していきます。

在庫されている商品の特徴

流通量(消費)が多い商品

©️モタガレ

洗車用品やエンジンオイルなどをはじめとした車種に依存しない消耗品
洗車用品やエンジンオイル、ミッションオイル、ライトバルブ、エアコンフィルター、ワイパー、タイヤと言った「車種専用のものではなく、特定の規格や種類によって適合する消耗品」に関しては、量販店などでも見かける機会が多い商品です。

理由としては商品そのものの形状やサイズとしても在庫を持ちやすく、管理がしやすく、定期的にメンテナンスや交換が必要になる商品であるためです。

自動車ディーラーでも取り扱いはあるものの、洗車用品については量販店の方が在庫が豊富で、タイヤについては売り場面積の関係上量販店では在庫を置け、いつでも購入できるのが魅力的です。

現行車種の純正部品



自動車ディーラーには消耗品関係であれば在庫されているものの、外装や内装、機関系の純正部品については各ディーラーの部品販売会社(通称:部版)に在庫されています。

現行車種の場合であれば最短で翌営業日にはディーラーに届けることが可能です。

型落ち(旧型)となってしまった車両の場合、在庫があれば早く届きますが、メーカー発注となることが多くなるため、1週間程度の納期がかかるようになります。

現行車種でディーラーで購入可能なパーツブランドの製品

©️モタガレ

トヨタ車であればモデリスタ/TRD、日産車であればNISMO、ホンダ車であればホンダアクセス/無限といったように、ディーラーで販売可能な自動車メーカー直系のパーツブランドの場合、新車発表に合わせてパーツ開発・製造を行なっていることで、在庫しているケースが多いです。

新車購入時のオプションパーツとして選べることから、納車時にはカスタムパーツを装着された状態で納車できるようにするため、一定数の在庫を用意しています。

しかしながら人気車種で人気のパーツとなった場合、在庫品がすぐになくなってしまうことから、新車販売開始直後に納期未定といったケースも発生するため注意が必要です。

在庫されにくい商品の特徴

流通量が少ないor在庫しない方が効率の良い商品

エアロパーツをはじめとした大型商品

前述のディーラーで取り扱い可能なパーツブランドの場合、在庫されているエアロパーツも多いですが、社外エアロパーツのほとんどが在庫されることがなく、納期が発生することになります。

製造元のメーカーの規模や設備に左右される部分もありますが、エアロパーツを製造すると、製品が大きいことから物理的に場所の置き場に困ることになります。

大手メーカーなどであれば倉庫保管なども可能としていますが、エアロパーツは車種や装着場所ごとに複雑な形状をしており、見た目以上に大きなスペースを確保しなければ、良い状態で保管することができません。

そのためエアロパーツメーカーであっても在庫品をあまり持たず、基本的には受注生産での対応、というのが主流となっています。
 

フィルムやカーボンシート



貼るだけで誰でも簡単にドレスアップが楽しめるフィルムやカーボンシートは、切り出した状態で在庫をするのではなく、切り出す前のロール状態で在庫されており、商品受注後に特定のサイズや形状に切り出して発送、という流れが主流です。

切り出した状態で在庫すると、売れなければ不良在庫となってしまうため、ロールの状態で注文を受けてから車種専用にカットすることで販売の効率化を図っています。

切り出すためにはプロッターと呼ばれる専用の機械が必要になるものの、注文後の切り出しでも1週間程度で発送可能なことから、ユーザーにストレス無く商品を届けられる製品の1つに挙げられます。
 

エンジン内部のパーツ

©️モタガレ

外装パーツや内装パーツ、消耗品と言ったパーツであれば、カスタム以外にも事故や修理、メンテナンスで交換する機会が発生するため在庫されることは多いものの、エンジン内部のパーツはそれほど多くの在庫はありません。

もちろんゼロでは無いものの、エンジン内部の一部のパーツだけを交換することは稀な上、純正部品の場合はユニット化されており部品ごとでの購入不可、と言った場合があります。

アフターパーツでもエンジン内部を取り扱うメーカーは非常に少なく、受注生産またはロット生産(幾つか注文が集まってから生産する方式)となることが多いです。

ディーラーや量販店に在庫が無ければ納期はかかる認識

商品や流通網によって納期は異なる



上記までに記載した中で、基本的に量販店などでの店頭販売や、自動車ディーラーに在庫品があればすぐに購入することは可能ですが、大型の商品や在庫しにくい製品の場合は少なからず納期が掛かる、ということが分かりました。

納期と一概に言っても製造メーカーや商品の特性により異なり、同じような商品でも1〜2週間程度で製造可能なものから1〜2ヶ月程度といったギャップは存在します。

ネット通販などで購入する場合は、商品の輸送時間も含まれるため、手元に届くまでの時間を考慮する必要があります。
 

受注生産品の特徴

在庫を持ちにくく、大型な商品

エアロパーツ


エアロパーツの中でもメーカーの製造都合によるものもありますが、素材によっても受注生産品になりやすいものがあります。

特にFRPやカーボン(CFRP)など、金型を使用する樹脂素材とは異なり、マスターの型に対してFRPを張り込む場合、1つの製品に対しての工数がかかるため、在庫を作りにくく基本的には受注生産となります。
 
塗装が必要なパーツ

前述のエアロパーツと紐づく部分で塗装が必要なパーツは基本的には受注生産品となるケースが多いです。

自動車メーカー直系のメーカーの場合、純正色ごとに在庫をしているケースもありますが、塗装済み品となる場合、製品ができてから塗装されるため、受注生産品となることがほとんどです。

メーカーによっては指定のカラーコードのみしか塗装しないパターンから、ユーザー側がカラーコードとカラーネームを指定して塗装するパターンがあります。

後者の場合は「注文を受けてから塗装をする」になるため、受注生産となります。
シートカバー
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内装パーツの中で馴染みの深いシートカバーも受注生産品のケースが多いです。

車種によっては、純正でシートパターンが少なく、注文されやすいシートパターンが想定できる場合は、在庫することもありますが、1つの車種に対して複数のシートパターンが発生する場合がほとんどのため、受注生産となります。

フィルムやカーボンシートと同様に、一枚ものの素材から注文を受けて車種ごとに切り出し縫い付けて製品を形成します。

そうすることでメーカー側も在庫を抱えるリスクを減らし、できるだけ早く注文されたユーザー専用のシートカバーを製造しているのです。
 

一部ヘリテージパーツ

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近年、人気を集めたいわゆる「旧車」に対して、自動車メーカーがヘリテージパーツとして、当時の純正部品を復刻して販売を行なっています。

復刻はしているものの、エンジンパーツやある程度の数が集まらないと採算が取れないパーツについてはロット生産を行なっており、在庫品と受注生産品(ロット生産含む)に分かれます。

復刻された純正部品であっても、「そもそものニーズは少ない」ためメーカー側も在庫を抱えるリスクを回避すべく受注生産としています。
 

まとめ

今回は自動車のパーツに関わる、在庫、納期、受注生産について解説いたしました。

車のパーツに関わる商流には複数の会社が絡む中、「需要と供給」のバランスを考慮した上でユーザーニーズを満たすために企業努力が行われています。

その中でも在庫品があれば受注生産品があり、インターネットでの自動車パーツの購入ができ便利になった世の中でも、「場合によって不便が発生する」ことが起きてしまうのです。

もし車のパーツを購入したい、必要としている場合は、商品の種類や特性によって「在庫」や「納期」「受注生産」があるものを考慮し、商品を購入するようにしましょう。

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