自動車の灯火類、それも外装に関するものは昔ならヘッドライト、ポジションライト(車幅灯/補助灯)、ウインカー、ブレーキランプ、テールランプ、バックランプ、それに追加でフォグランプとリアフォグ…昔から意外と多かったものですが、今は他にもあります。
DRL(デイライトランニングランプ)、通称「デイライト」が代表的ですし、解釈次第で補助灯ともその他灯火類ともみなされるグレーゾーンな「イカリング」もありますね。
今回はそれら灯火類の、場所や用途によってもどう認められているかが変わってくる、「色」についてご紹介します。
クルマの年式によって変わってくる場合もありますよ!
原則「白」のヘッドライトも古い車は「黄色」もOK
分かれ目は「平成17年(2005年)12月31日までに生産されたか否か」
現在の保安基準では、ハイビーム(走行用前照灯)/ロービーム(すれ違い用前照灯)ともに「白」と定められています。
一方で、平成17年(2005年)12月31日以前に生産された自動車については、「白または黄色」と、黄色も認められているからです。“道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2023.1.4】第42条(前照灯等)
第2項ハ 走行用前照灯の灯光の色は、白色であること。
第6項ハ すれ違い用前照灯の灯光の色は、白色であること。”
このため、黄色いヘッドライトが合法なクルマ向けに、今でも「イエローバルブ」と通称されるヘッドライトが販売されています。“道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示【2023.1.4】第29条(前照灯等)
平成17年12月31日以前に製作された自動車については、保安基準第32条の規定並びに細目告示第42条、第120条及び第198条の規定にかかわらず、次の基準に適合するものであればよい。
第1項ハ 走行用前照灯の灯光の色は、白色又は淡黄色であり、同時に点灯するすれ違い用前照灯を含むすべてが同一であること。”
なお、なぜヘッドライトが白オンリーになったかといえば、表向きは「橙色と定められたウィンカーと黄色は同系色なので紛らわしいから」という事になっていますが、実際には国際基準に合わせた、というのが真相のようです。
微妙な年式の愛車にイエローバルブを装着するなら、「証明書類」の準備を!
幸い、その友人は陸運局で車検ラインの担当者という、いわば「警察以上に保安基準のプロ」だったので、法令に基づいた根拠を説明して対応をしたとのこと。
規制前後の微妙な年式のクルマに乗っているユーザーは、いざという時のため、愛車のイエローバルブが合法であることをすぐ証明できる準備(保安基準のコピーなど)を、車検証などと一緒にダッシュボードへしのばせておくとよいでしょう。
フロントのフォグランプは「白」または「黄色」
最近の純正のフロントフォグランプ(前部霧灯)は白が多いものの、保安基準では黄色もOKです。
カー用品店ではこの2色以外でもさまざまな色が販売されており、中にはストロボのように点滅するカッコイイ製品すらありますが、それらは全て行動ではNGですから、取り付けるとして夜間のイベント用など、公道以外にしておきましょう。“道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2020.9.25】第121条(前部霧灯)
第1項2 前部霧灯は、白色又は淡黄色であり、その全てが同一であること。”
ポジションライトはウインカーなどと兼用に限り橙色もOK
基本的には「白」とされるポジションライト(車幅灯)ですが、ウィンカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅表示灯)──大抵は兼用──と構造上一体、または兼用になっているものに限っては、「橙色」も認められています。
もちろんその前提として、ウインカーの色は橙色と決まっています。“道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2020.9.25】第123条(車幅灯)
第1項ニ 車幅灯の灯光の色は、白色であること。ただし、方向指示器、非常点滅表示灯又は側方灯と構造上一体となっているもの又は兼用のもの及び(中略)橙色であってもよい。”
バックランプとウィンカー、ナンバー灯以外の尾灯は原則「赤」だが例外もある
バックギアに入れた時のバックランプ(後退灯)は視界確保というより、後方でそのクルマがバックすることを確実に知らせるために「白」とされており、同様に視認性が求められるナンバー灯(番号灯)、ブレーキランプなどと紛らわしくてはいけないウインカーを除き、全て赤です。
テールランプ(尾灯)、ブレーキランプ(制動灯)、リアフォグ(後部霧灯)が該当しますが、リアフォグは昔の社外品で赤以外があった時代もあり、使用する場合はフィルムなどで赤く点灯させる必要があります。
ただし、1970年前後あたりまえでの日産 スカイラインなど、テールランプをウインカー兼用、さらにいわゆる「流れるテール」式のウインカーを採用した車種のあった時代には、赤灯でウインカーとすることが認められていた時代もありました。
(今はたとえ「流れるテール」…シーケンシャル式のウインカーでも、橙色でなくてはダメです)
また、15km/h以下の低速で巻き込み事故などを防止するための「低速時側方照射灯」という灯火もありますが、最近はトラックなどで高速走行時にもかなりまぶしく感じるほど白く明るく点灯させたまなのが社会問題となっており、いずれ規制が入るかもしれません。
他はたいてい「白」で、規制が厳しいのはもちろん赤色灯
他にはここ数年で日本でも認可されたデイライトなど、その他の灯火類もありますが、大抵は白です。
もっとも、灯火類の色合いというのはその色温度(ケルビン)によって、青白かったり赤みがかったりするものですが、明確に一般車両での使用が禁止されている代表格が、テール周りを除く「赤色灯」。
理由は言うまでもなく、パトカーや消防車、救急車、その他緊急車両と混同してしまうような灯火は避けよというもので、たまにカー用品店やホームセンターで売っている旋回式の赤色灯で「覆面パトカーごっこ」をしたい人もいそうですが、公道での使用は避けましょう。
最後は車検場や検査員のサジ加減
以上、灯火類の中でも代表的なものの「色」について解説しましたが、もっとも肝心なのは最終的に検査を受ける車検場や検査員の認識で決まる、ということで、これは他のカスタムと事情は全く変わりません。
民間の車検場、特に各メーカー系の正規ディーラーならば、「万が一の処分」を恐れて、整備不良になるのか微妙な判断を求められるカスタムは、そもそも車検を受け付けないことが多いですし、ならばと公的な車検場である陸運局に持ち込んでも、検査員次第です。
いくら灯火の色が白だと言い張っても、色温度(ケルビン)によっては青白くも赤みがかって見えることもありますし、橙色や赤色についても、これは微妙なのでは…という状態なら、車検に通るかは運次第。
もちろん純正ならそんなグレーゾーンで作られているわけはないものの、カスタマイズの一環として灯火類を交換した場合、絶対に車検に通るとは限らない、ましてやここで紹介した以外の色ならば…というわけで、よほどの事情でもなければ無難な色を選ぶのがよいでしょうね。