フロントを黒、リアを赤に塗られたツートンカラーと言えば、ADVAN(アドバン)カラーを思い浮かべる方は多いと思います。ADVANは、1978年に誕生した「ヨコハマタイヤのスポーツブランド」で、これまで最高峰レースやラリーはもちろん、エントリーカテゴリーまで、数多くのADVANカラーのレーシングカーが活躍しており、車好きなら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。今回は、そんな日本のレースと非常に関わりの深いADVANカラーを纏った「カローラスポーツ」を、ご紹介しましょう。
Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA
Contents
“ADVAN”とカローラの組み合わせは胸アツ!?
「ADVANと言えば、カローラ!」というのは、今や若い人たちには伝わらないキーワードかもしれません。
しかし、40代前半である筆者にとってのADVANカラーと言えば、高橋国光さんがドライブするグループCカー「アドバン アルファ ポルシェ962C」あたりから始まり、全日本ツーリングカー選手権(JTC)グループAの「R32スカイラインGT-R」や、JTCC(全日本ツーリングカー選手権)に参戦していたアドバンチェイサーが、若かりし頃の記憶として色濃く残っています。
そうなると、やはりカローラにADVANカラーが復活した!と聞くと熱いものが込み上げてくるもので、同じく胸アツになった諸先輩方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する「TOYOTA COROLLA SPORT-TCR改ver. ADVAN」は、東京オートサロン2019に出展されて話題となった1台。
前方に大きく伸びたチンスポイラー(死語?)や、地面と平行に張り出したリアフェンダーが、いかにもレーシンガーらしい雰囲気を醸し出しています。
マッチョなレーサー仕様のカローラスポーツ
完全オリジナルの1点物として制作された「TCR改オリジナルエアロ」は、もともと丸みを帯びたカローラスポーツのスタイリングに、“角”を持たせることで、よりワイド&ローなフォルムを強調するためにデザインされたもの。
装着されるタイヤには、ADVAN A005という本物のレーシングスリックと鍛造1ピースホイールの「ADVAN Racing GT」がチョイスされ、シンプルで細身な5本スポークが、いかにもレーシングカーらしい足元を演出しています。
「HKS HAPERMAX IV GT」によってローダウンされ、タイヤサイズも大きくなったことで、ホイールアーチとの隙間は狭く“パツパツ”。
それにより、車全体の塊感が強くなったことで、ハッチバックであるカローラスポーツのマッチョ感が強調されました。
リアウインドウを貫通するGTウイング
もう一つ、レーシーな雰囲気をさらに盛り上げているのは巨大なGTウイングで、サイズ感もさることながら、驚くのはその装着方法。
一見するとリアウインドウに装着されているように見えますが、良く見るとステーはウインドウを貫通。
ウインドウもガラスからアクリルに変更されており、軽量化にも寄与しています。
TCRジャパンてどんなレース?
ここまで魅力的な雰囲気に仕上がってる「TOYOTA COROLLA SPORT-TCR改ver. ADVAN」は、「もしもTCRジャパンに出たらどうなるか?」をテーマに開発されたとのこと。
TCRジャパンは、2.0リッター以下のターボエンジンを搭載したFWD(前輪駆動車)ベースの、4ドアや5ドアの車を使用したレースで、日本国内では2019年よりスーパーGTのサポートレースとしてスタートしました。
プロドライバーとアマチュアドライバーのクラスに分けられ、限界ギリギリの拮抗したレース展開が人気のレースです。
車を心から楽しむことを知っているタイヤメーカー
今回取材させて頂いた「TOYOTA COROLLA SPORT-TCR改ver. ADVAN」は、あくまでもカローラスポーツがTCRジャパンで走るとしたら?という妄想で制作されたデモカーです。
とは言え、完全オリジナルのエアロパーツや、ウイングステーが貫通するリアウインドウなど、その造り込みはなかなかのこだわりようとなっています。
実際に走るわけではないにもかかわらず、なぜそこまでこだわったのでしょうか。
それが、ADVANブランドを旗印にモータースポーツ活動を行ってきた、ヨコハマタイヤならではの魅力なのです。
そんなヨコハマタイヤは、スポーツモデル用のハイグリップタイヤのほか、クラシックモデル用のタイヤや、オフロード向けのタイヤなど、実用性を重視したタイヤだけではなく、車を心から楽しむための“ホビータイヤ”を数多くリリースしています。
東京オートサロン2021の出展車両の製作は継続中!
2021年の東京オートサロンは、コロナウイルス感染症の影響により、残念ながら中止となってしまいました。
しかし、ヨコハマタイヤでは、出展予定だった車両の製作は継続中とのこと。今後の状況によっては実際にどこかでお披露目されるなんて事もあるかもしれません。
私たち車好きをワクワクさせてくれる、ヨコハマタイヤのデモカーに期待せずには居られません!
.
.
.
.