ラリー最強国産車といえば、間違いなくランエボかインプレッサのどちらかを候補に挙げるでしょう。特にランエボは発売からの進化スピードが凄まじく、そのなかでもⅤは革新的技術が注ぎ込まれたモデルで、登場後にレースで連戦連勝を飾ったクルマです。今となっては古くなったものの、人気が衰えることはありません。そんなランエボⅤの魅力に迫ってみました。
三菱・ランサーエボリューションVとは
ランサーエボリューション(以下:エボ)は、2リッター4WDカテゴリーの最速を目指して作られてきたことは皆さん既知でしょう。
毎年のように大きな改良がなされ、WRCで優勝することを目標にした、いわばホモロゲーション。また、強力なライバルのスバル・インプレッサWRXと競い合い、双方でレベルアップして、国産2リッター4WDのレベルを世界トップにまで押し上げました。
そんなエボは、エボⅠからⅩまで進化していくなかで、大きく4つの世代に分けることができます。
エボⅤ(GF-CP9A)は、第二世代の2番目に登場したモデルです。
特徴は、エボⅣよりトレッドをフロント+40mm、リア+35mm拡大したことで初の3ナンバー化されたところ。
ワイドトレッド化したことでタイヤサイズをエボⅣで205/50R16だったのを225/45R17へ拡大しより安定性とグリップ力が増し、さらにブレーキディスクが大径化されたことでブレーキ制動力も向上しました。
ランサーRSエボシューションV / ©Mitsubishi Motors Corporation.
販売においては、公道走行で装備を充実させたランサーGSRエボリューションVとモータースポーツ競技ベース車両のランサーRSエボシューションVが設定され、新車価格はGSRで324万8千円、RSで259万8千円でした。
三菱・ランサーエボリューションVのおすすめポイント1:スパルタンなコクピット
©Mitsubishi Motors Corporation.
エボⅤの内装は、レーシングカーに乗っているかのようにブランド品のパーツが多用されています。
MOMO製本革巻ステアリング、本革巻シフトノブ、そしてレカロ社製バケットシートを採用。
車内はブラックを基調としてスポーティーな雰囲気を演出しています。
三菱・ランサーエボリューションVのおすすめポイント2:抑角調整式リアスポイラー
リアスポイラーは水平翼の迎角を4段階で調整できる迎角調整式リアスポイラーおよびデルタ型ウィッカーが装着されており、これによりサーキットに応じてセッティングができます。
純正リアスポイラーが調整可能なら、スポーツ走行のためリアスポーラーを購入する必要もありません。
三菱・ランサーエボリューションVのおすすめポイント3:エボⅣよりもトルクフル
ランエボの出力はエボⅣの段階で自主規制値の280馬力に達していていました。
これ以上の馬力アップは事実上望めなかったものの、タービンのノイズ面積を拡大し、従来よりも大容量インタークーラーを採用。さらにピストンの軽量化も図られ、エボⅣより最大トルク+2kgmの38.0kgmまで向上しています。
低回転からのトルクアップにより、どんなシチュエーションでも乗りやすいエンジン特性を実現しました。
三菱・ランサーエボリューションVのおすすめポイント4:ゼロカウンターで曲がれる魔法のAYC
エボⅤ登場後、月刊カー・ビデオマガジン・ベストモータリング(株式会社2&4モータリング社)でエボⅤのテスト走行を筑波サーキットで行われ、そのときプロドライバーでエボⅤの開発ドライバーを務めた中谷明彦氏がエボⅤが運転し、最終コーナーを4輪ドリフト状態で駆け抜け、そのとき、ハンドルでカウンターステアを当てずに"ゼロカウンター走行"で曲がり切ったことが話題になりました。
これをきっかけにゼロカウンターという言葉を世に広まり、エボVのすぐれた4WDシステムが示されました。
素人でも安易にできるドライビングテクニックでもありませんが、これを実現させたきっかけがエボⅤに搭載されたAYC(アクティブヨーコントロールシステム)とフロントヘリカルLSDの組み合わせです。
AYCは左右のタイヤの駆動力差でクルマの旋回力(ヨーモーメント)を発生させ、後輪がパワースライド状況でもフロントヘリカルLSDが前輪に駆動力を発揮させ、4輪スライドのようにグイグイ前へ進んでいくのです。
エボⅤは、アクセル開度によりクルマを曲げれ、高等ドライビングテクニックに挑戦できるのです。
三菱・ランサーエボリューションVの維持費
車検代
東日本三菱自動車販売株式会のディーラーに依頼する場合、整備プランを『エコノミープラン』で車検を行うとします。
エコノミープランはブレーキ 分解・調整等 スロットルバルブ 清掃等などの整備内容がある最もベーシックなプランになります。
重量税はエボⅤが新車登録から18年超に達するため、増税対象となり37,800円です。
そして諸費用やエコノミープランなどを加えると119,560円です。
1998年式ランエボⅤ | |
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自動車重量税(円) | 37,800 |
自賠責保険(円) | 21,550 |
印紙代(円) | 1,200 |
代行手数料(円) | 11,000 |
法定24カ月点検(円) | 27,220 |
完成検査料(円) | 9,900 |
エコノミープラン(円) | 10,890 |
合計(円) | 119,560 |
ここで示した車検費用は故障個所の修理や部品代、消耗品交換がない最低ラインの金額のため、実際はこれにメンテナンス費や部品代や技術料が加わります。
また、この金額は基準として見ていただき、実際の価格に多少差が生じることに注意していただきたいです。
ガソリン代
1998年式ランエボⅤ | |
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リッターあたりガソリン価格(円)【使用燃料】 | 129【ハイオク】 |
実燃費(km/L) | 8.4 |
年間ガソリン代(円) | 153,571 |
ガソリン価格:2020年5月30日時点の全国平均価格
なお、紹介する実燃費はモタガレが示した値のため、実際には乗り方や使用場面によって実燃費が異なり、リッターあたりのガソリン価格も変化するため、年間ガソリン価格が多少異なってきます。
自動車保険料
年齢:30歳以上
等級:12等級
年間走行距離:11,000km
免許の色:ゴールド
運転者限定:家族限定
運転者の年齢制限:30歳以上
保証:対物対人無制限
車両保険:つける
なお、大まかな見積もりなので、実際には保険加入すると多少の違いが出てきます。
合計
1998年式ランエボⅤ | |
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自動車税(円) | 45,400 |
車検費用(円)※2年車検を1年分に換算 | 59,780 |
ガソリン代(円) | 153,571 |
自動車保険代(円) | 112,400 |
合計(円) | 371,151 |
おおまかな見積もりになるため、実際はこの金額から前後すると思われますが、年間維持費は35~40万円ぐらいを見とくべきでしょう。
三菱・ランサーエボリューションVの中古車価格相場
エボⅤの中古車相場は、88~198万円です。
エボⅤ生産終了から21年経つため、当然に中古車市場のタマ数が少なく、売られている車両の走行距離は10万キロ以上があたりまえ。
購入後に修理やメンテナンス費用がそれなりにかかることは念頭におくべきです。
また、ランエボ全体のタマ数が顕著に少なくなっているため、エボⅤにこだわらず外観が似ているエボⅥも一緒に探してみることをおすすめします。
三菱・ランサーエボリューションVのスペック
©Mitsubishi Motors Corporation.
1998年式ランエボⅤ RS | 1998年式ランエボⅤ GSR | |||
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型式 | GF-CP9A | |||
駆動方式 | 4WD | |||
ミッション | 5速MT | |||
全長×全幅×全高(mm) | 4,350×1,770×1,415 | |||
ホイールベース(mm) | 2,510 | |||
車重(kg) | 1,260 | 1,360 | ||
車定員(名) | 5 | |||
原動機型式 | 4G63ターボ | |||
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブターボ | |||
総排気量(cc) | 1,997 | |||
ボア×ストローク(mm) | 85.0×88.0 | |||
圧縮比 | 8.8 | |||
最高出力(kW[PS]/rpm) | 206[280]/6,500 | |||
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 372.6[38.0]/3,000 | |||
タイヤサイズ | 前 | 205/60R15 91H | 225/45ZR17 | |
後 | 205/60R15 91H | 225/45ZR17 |
まとめ
エボⅤは1998年WRCにおいてマニュファクチャラーズタイトル、トミ・マキネン氏によるドライバーズタイトル、そしてグループNタイトルの3冠を獲得する輝かしい成績を残しました。
ランエボが残した功績は大きく、特にエボⅤの活躍は目覚ましかったものがあります。
しかし、中古車のタマ数をみると、このレジェンド級のラリーマシンを乗れるのも、それほど長くないかもしれません。
そのため、購入したいと思ったら極力早く探してみることが賢明です。