歴代の三菱・ランサーエボリューションの中で一二を争う人気を集めているのがエボⅥ、そして通称エボ6.5とされるトミー・マキネン エディション。
熟成されたエボⅦ以降がより高い完成度に達していますが、エボⅥおよび6.5はランエボシリーズのなかで最もトガッた存在です。
あえてⅥと6.5を選ぶ理由とは何か!?
ここではエボⅥとトミー・マキネン エディションの魅力に迫ってみました。
三菱・ランサーエボリューションⅥとは
ランエボ第二世代を締めくくるエボⅥ。正しく言えば、本当の意味で第二世代最終モデルは特別仕様車のトミ・マキネンエディションですが、それは後ほど紹介するとしましょう。
エボⅥは1999年1月22日に発売され、ランエボシリーズの6代目モデルに相当する2リッター4WDセダンです。
当時のランエボといえば、WRCのレギュレーションに準ずるために製作されたホモロゲーションモデルだったので、ランエボユーザーとしては1年ごとのバージョンアップが毎年楽しみなイベントごとでした。
高価なパーツが多く採用されたことや相当な開発コストをかけつつも、新車価格が324万円だったので採算の合わない売れば売るほど赤字になるようなモデルだったでしょう。
しかし、三菱はランエボが売れるどうこうよりもWRCに勝つためにホモロゲーションとして開発しており、当時の三菱ワークスドライバーだったトミー・マキネン氏が1996年から1999年まで4年連続でドライバーズタイトルを獲得してしまったことで"世界最速のラリーカーはランエボ"というイメージが定着し、三菱の高い技術力を世界中へ知らしめる結果となりました。
しかし、2001年半ばに三菱のラリーカーがランエボベースからランサーセディアベースのWRカーへ移行したので、ランエボがWRCで活躍できた、WRC参戦目的のホモロゲーションのランエボはエボⅥが最後となりました。
そのため、WRCワークスカー直系の市販車ラストがエボⅥということもあり、ランエボユーザーの中でエボⅥだけは特別な存在です。
三菱・ランサーエボリューションⅥのおすすめポイント1:2リッター4ドアセダンのスーパーカー
エボⅥの外観は、かなり厳つい顔つきだと思いませんか?
エボⅤとほぼ共通の外観ですが、スポイラー一体型大型バンパーなどによる迫力あるスタイリングを特徴です。
フォグランプの小型化や冷却効果を高めるためナンバーを右側へオフセット、ほかにもオイルクーラーベンチレーターやエアブローダクトなどが設けられ、フロントマスクの至るところにボコボコと穴が開いています。
その奥にはラジエーターやインタークーラーやら多くの冷却パーツが見えて、まさにレーシングカー!
©Mitsubishi Motors Corporation.
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さらにOZ製のアルミホイールや1999年WRCレギュレーションに対応するために採用されたウォッカ型迎角可変ツインリアスポイラーなど、どこから見てもWRCカーそのもので、まさに2リッター4ドアセダンのスーパーカーといった様相です。
三菱・ランサーエボリューションⅥのおすすめポイント2:ブルーがアクセントになっている内装
©Mitsubishi Motors Corporation.
内装のデザインはエボⅤから大きく変わっておらず、momo社製本革巻ステアリングや本革シフトノブ、そしてレカロシートなどもエボⅤと同様です。
違いはステッチやメーターのデザイン。
エボⅤではシフトノブやハンドルなどは赤のステッチでしたが、エボⅥでは青に変更。
またシートも黒を基調にブルーも取り入れ、メーターの文字盤のブルー化など、アクセントとなる色を赤から青へ変えています。
黒を基調とし青をアクセントにしているあたりはエボⅥの特徴で、内装がレーシーかつ大人の雰囲気が演出されています。
三菱・ランサーエボリューションⅥのおすすめポイント3:エンジンのレスポンスアップ
エボⅥのエンジンはエボⅤ時代から馬力やトルクの変更はありませんが、それでもいくつか改良されたところがあります。
水温制御方式の変更、ピストンへのクーリングチャネルの追加、大型化されたエンジンオイルクーラーが装着され、ターボは吸気入り口の径を拡大することで高回転域での効率をアップ。
これによりエンジンのレスポンス向上を果たし、低回転域から一気に吹け上がる感覚はまさにレーシングエンジンです。
三菱・ランサーエボリューションⅥのおすすめポイント4:映画の劇中で大活躍
脚本・製作は日本好きで知られるリュック・ベッソンで、プジョー406に乗る暴走タクシードライバー・ダニエル(サミー・ナセル)が、客を乗せては目的地まで無茶苦茶な運転をしてしまうフランス・マルセイユが舞台の映画です。
映画のなかでは日本人テロリストがエボⅥに乗って、ダニエルのプジョー406を追いかけるカーチェイスシーンがあり、フランスの美しい街並みを黒のエボⅥが駆け抜けるシーンは、ランエボファン必見!
これを見ると、これまで興味が無かった人もエボⅥがカッコよく思えてきます。
三菱・ランサーエボリューションⅥのおすすめポイント5:トミー・マキネンエディションがカッコよすぎ
エボⅥ発売から約1年後の2000年1月8日に、特別仕様車『ランサーエボリューションⅥ トミー・マキネン エディション』が発売されます。
通称「エボ6.5」と呼ばれ、エボⅥとエボⅦの中間にあるモデルとされます。
©Mitsubishi Motors Corporation.
トミー・マキネン氏がWRCドライバーズチャンピオンを4年連続で獲得した偉業を記念したモデルで、インテリアには"Tommi Makinen"と刺しゅうされたレカロ社製バケットシートが装備されます。
©Mitsubishi Motors Corporation.
外装は空力特性の向上を狙った新意匠のエアロパーツと三菱ワークスラリーカーと同デザインの17インチアルミホイールが装備。
また、足回りのセッティングをターマック仕様にするためエボⅥより車高を10mmダウンし、フロントストラットタワーバーも装備。
©Mitsubishi Motors Corporation.
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エンジンはコンプレッサーホイール径および翼形状を変更したチタンアルミ合金ターボチャージャーをさいようしたり、排圧低減にるよ出力向上と排気音の低減を狙った新構造スポーツマフラーを取り付けるなど、特別仕様車とはいえ、エボⅥから正統進化した新型ランエボになっていたのです。
また、トミー・マキネン エディション発売と同時に、三菱から純正カスタムパーツが多くランナップされ、より特別なエボⅥもしくはエボ6.5を作り出すことも可能にしました。
エボ6.5の存在とアフターパーツが豊富だったところはエボⅥがより特別だったモデルだったことの証でもあります。
まとめ
エボⅥの生産終了によりランエボの第二世代が終焉し、第3セダンのCT9Aへ突入します。
エボⅦ以降も素晴らしいクルマですが、ランエボシリーズで最もトガッていたエボⅥとエボ6.5は今のスポーツセダンにない雰囲気を出しています。
ここまでガチガチのラリーカーを公道仕様にしたクルマは、今後新車でなかなか出てこないでしょう。
今エボⅥを買えば、きっと一生モノです。