ランサーエボリューションシリーズの中で、ⅢからⅣへのモデルチェンジは大きな転換期となりました。
同時に第一世代が終焉し、第二世代への門出となったエボⅣは、レースでの輝かしい成績と販売台数を大幅に伸ばしたモデルです。
そんなランエボの革命児エボⅣも生産終了から20年以上が経過したため、これから中古車を購入する場合はいくつかの注意点を把握しておくことが重要です。
三菱・ランサーエボリューションⅣとは
三菱 ランサーエボリューションⅣはランサーが5代目へモデルチェンジするに伴い、1996年8月23日に発売されました。
ベースはランサーですが、エボⅢの後継モデルという立ち位置と考えると、全くの別物です。
ランエボは1992年に初代が発売されてから2007年に発売されるエボⅩまで、大きく四世代に分けられます。
ランサーがベースのエボは、エボⅩを除く三世代となり、一世代3モデルごとにモデルチェンジされます。
そしてエボⅣへのフルモデルチェンジに伴って、第一世代から第二世代へ変わったタイミングとなるエボⅣは、それまでのモデルチェンジより大規模な改良が行われ、同時にレースでも飛躍的に好成績を残すことに成功。
当時は、約1年ごとにアップデートが行われたランエボですが、そのなかでもエボⅣの誕生はひとつの転換期でもありました。
三菱・ランサーエボリューションⅣのおすすめポイント1:エボⅢから大幅改良
エボⅣはランエボシリーズで初めて、自主規制値いっぱいの280馬力に達したモデルです。
これを可能としたのは、ツインスクロールターボチャージャーや高速カムプロフィール、インタークーラーの大型化や吸排気の圧損低減を採用し、名機4G63エンジンを大幅に改良したことでした。
また、エンジンをパワーアップしただけでなく、エンジンを搭載する方向を左右反転。
エボⅢまでは、エンジンを助手席側の左に搭載、トランスミッションを右側という構造だったのを、エボⅣではエンジンが運転席側の右側、トランスミッションが左側に変更されています。
エンジンを右側にすることで、トランスミッションの第三軸と称したインターミディエイトギアが不用になり、駆動ロスを低減させて軽量化にもつながっているのです。
これは、ボディを一新したことで実現できたのですが、のちにエンジンが右、トランスミッションが左の構造をエボⅩまで継続したことを考えれば、ランエボシリーズの転換期となったこともうなずける変更です。
三菱・ランサーエボリューションⅣのおすすめポイント2:旋回性能を向上させたAYC
ランエボシリーズに採用されてきたAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)は、エボⅣで初採用されました。
AYCはハンドル角、速度、ブレーキ、旋回Gなどのセンサーを基に、後輪左右の駆動移動をコントロールするものです。
コーナーリング中に左右の駆動力を変化させ、ハンドル操作だけでなくアクセル開度でも旋回性能を向上させるシステムで、三菱がWRCに参戦させたランエボからフィードバックした技術でした。
ハイパワー4WDがいとも簡単に速く運転できる秘密は、AYCの技術が大きく貢献していたのです。
三菱・ランサーエボリューションⅣのおすすめポイント3:コンパクトな車体
©Mitsubishi Motors Corporation.
エボⅣはランエボシリーズで最後の5ナンバー規格に収まっていたモデルで、エボⅤ以降は3ナンバー化されました。
全長4,330mm/全幅1,690mmで、これは現行トヨタ ヤリスの全幅(1695mm)より5mm短く、全幅ではカローラの4,495mmより165mm短いサイズです。
現代モデルになるにつれ、クルマはワイドボディ化されていきますが、エボⅣが現行のコンパクトカーより幅が狭いことには驚かされます。しかも、小型セダンの定番であるカローラよりもワンサイズコンパクト。
そうなると車内が狭くなってしまうことが否めませんが、それでも狭い道を走行したり取り回しが楽だったりと、運転のしやすさに貢献しています。
まとめ
エボⅣはGSRで12,193台、RSで941台が生産され、歴代モデルの中では最も多く生産されたモデルです。(※エボⅦの場合、GSRとRSだけでなくGT-Aを加えるとエボⅣを若干上回る)
エボⅢから一新されたデザインが高評価だったことや、新しい試みがいくつも施されていたこと、また1997年のWRCにおいてトミ・マキネンがドライバーズチャンピオンを獲得したことで、多くのユーザーからの支持を受けました。
当時は峠の走り屋の間でも、「峠最速はランエボじゃないか!?」などと噂され、多くのドライバーがランエボにあこがれを抱いていました。
憧れのエボⅣを買うなら、今しかないでしょう。