大別すれば4世代、10ものバージョンが作られた4WDラリーマシン「ランエボ」の中で最強モデルを選べと言われれば、歴代ランエボが搭載してきた珠玉のエンジン4G63にMIVECを組み込んだ最終熟成版を搭載する「エボIX」、特に”ランサーエボリューションIX MR”を推す人は多いでしょう。
中古車市場でもタマ数はだいぶ減りましたが、まだ買えます!
Contents
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- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)とは
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)はどのような場面で活躍するクルマ?
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその1:ついにMIVECを組み込んだ4G63
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその2:最適化を極めたタービン
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその3:通が好みそうな「GT」
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその4:進化の極致「IX MR」
- 三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその5:もうこれ以上はない!
- まとめ
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)とは
3世代にわたり進化を続けてきた三菱”ランサーエボリューション”は、第3世代の「エボVIII MR」でもはや手を付けるところがないのではというレベルまで進化しつくしますが、三菱がその歩みを止めることはありませんでした。
2005年3月に発売した「エボIX」は既に熟成しきっていたと思われた珠玉の2リッターターボエンジン4G63やターボチャージャーへさらに磨きをかけ、エボVIIIでデザイン優先に走りすぎ不評だったフロントグリルを改め空力的にもリファインしてきたのです。
さらに新しい挑戦として駆動系はRS相当、快適装備はGSR相当とした中間グレードGTも加えた3本立てで登場したエボIXは、エボリューション(進化)に終わりなどない事をユーザーに知らしめました。
しかし第3世代ランサーエボリューションにおける進化の頂点はすぐそこまで迫っており、それが2006年8月に発売され、エボIXの数少ないネガを潰した”ランサーエボリューションIX MR”です。
次世代のエボXがギャランフォルティスベースで一回り大きくなり、高級スポーツセダン的な役割を担わされた事から、純粋にモータースポーツでの勝利やスポーツ走行での切れ味の鋭さを重視された最後の、そして究極のランエボとなったエボIXとエボIX MRは、2020年現在もなお「最強のランエボ」として選ぶドライバーが少なくありません。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)はどのような場面で活躍するクルマ?
各部が競技参戦時のカスタマイズを前提に簡略化されたモータースポーツのRSを除き、ノーマル状態で安定した走行性能と日常仕様に過不足ない快適装備を施されたGSRやGTにおいても、もっともその特性を活かせるのはサーキット走行をはじめとするスポーツ走行です。
とはいえ、オートエアコンや公道での多少荒い程度の走りなら破綻せずそれなりの乗り心地も保証するビルシュタインダンパーを持つGSRやGTは、ちょっとした買い物から高速長距離巡航までこなすマルチプレーヤー的なスポーツセダンでもあります。
4ドアセダンとしての実用性から家庭の事情で2ドアクーペなどスポーツカーを持てないユーザーには重宝される車であり、「牙を磨きつつファミリーカーとして微笑ましく使われる」姿も、ランエボらしい活躍の場面として間違いではありません。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその1:ついにMIVECを組み込んだ4G63
1979年に登場したG63Bターボ以来、歴代ランサーターボやランサーエボリューションへ搭載されていた名機4G63は細かい改良を受けつつ第3世代ランエボにも搭載され続けてきましたが、エボIXではついに三菱独自の連続可変バルブタイミング機構「MIVEC」を組み込みました。
かつてホンダVTECや三菱MIVECといった可変バルブタイミング機構を搭載した高回転高性能の自然吸気エンジンが全盛を極めた頃、今から考えれば不思議な事に「ターボエンジンへVTECやMIVECを組み込むのは邪道」という風潮があったものです。
かつてのDOHCターボ同様、良いものはうまくかけ合わせれば効果倍増するのは当然で、MIVECターボ版の4G63も低回転からの大トルクと高回転まで気持ちよく吹け上がる特性を両立した、まさに最後の4G63にふさわしいエンジンでした。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその2:最適化を極めたタービン
エンジンが進化する以上はそれを支える補機類、ことにターボチャージャーも進化していかなければいけないもので、エボIXの段階で競技ベースのRSはコンプレッサーホイールへ軽量なマグネシウム合金を採用し、レスポンスアップを図っていました。
ただしブースト圧を上げた時の耐久性に難があって破損しやすく、GSR用のアルミニウム合金製へ交換を余儀なくされるケースが相次いだため、エボIXの数少ないウィークポイントでもあります。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその3:通が好みそうな「GT」
エボIXで特異なグレードがRSとGSRの中間的な「GT」で、グレード名だけ見るとスポーツ走行より高速長距離ツアラー狙いの亜種かと思ってしまいますが、実際はその逆。
GSRがリアデフに採用している、電子制御デフAYCより機械式LSDを好むものの、簡素すぎるRSよりGSRの快適性を望むユーザー向けに1.5WAY機械式LSDを装備し、タービンやミッションもRSと同じものを装備した、いわば「快適ながら乗り手を選ぶGSR」です。
このいかにも通好みしそうなGTグレードはエボIX MRにまで継承されなかったので一般受けはしなかったようですが、何でも電子制御される事を好まないユーザーなら興味を持ちそうです。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその4:進化の極致「IX MR」
エボIXの数少ないネガであるマグネシウム製コンプレッサーホイールの耐久性を向上し、かつMIVECターボエンジンのセッティングを詰めきってレスポンスを鋭くし、サスペンション見直しによる低重心化やAYC、ACD(アクティブセンターデフ)も見直したのがエボIX MRです。
最終進化だと思っていたエボIX MRへまだこれほど改善の余地があったかと驚かされるモデルですが、パーツ交換でIX MR相当にリファインしたエボIXもあると思われるため、あえてIX MRにこだわる必要性は薄いものの、どうせ購入するなら最初からMRの方が間違いありません。
三菱・ランサーエボリューションIX(CT9A)のオススメポイントその5:もうこれ以上はない!
エボIX MRが登場した時には既に次世代エボXがギャランフォルティスをベースとすることがわかっており、初代以来のコンセプトを貫きモータースポーツでの勝利に徹したエボIX MRこそが、正統派ランエボの最終進化系であることは周知の事実でした。
実際、高級スポーツセダンとしての実力は高いエボXですが、モータースポーツではX登場後もIXやIX MRが同ジャンルでトップクラスの実力を誇っていることを考えれば、戦闘力だけで考えた場合、「もうIXやIX MR以上のランエボはない!」と考えるのが必然です。
まとめ
過去の名車で歴代最強モデル、それも限定生産で中古車のタマ数がこれから減りこそすれ増えることもないとなれば、プレミア価格を覚悟するか、安価でもリスクを覚悟するかの選択を迫られるのは致し方ありません。
むしろ、これだけ高性能で熟成されきって枯れた技術を土台に組み上げられて信頼性も高い車が、高価とはいえ現実的な価格で販売できる今こそ「買って乗り回す最後のチャンス」と考えるべきです。
もう数年もすれば歴代ランエボ初期型のように書いたくても買えない、売っていても手が届かず維持も困難という事になりかねませんから、まだいくらかでも選択肢のある今こそが、決断すべき時だと思います。
無難に憧れのまま終わらせるか、後々まで語り草にできる高性能を実際に味わってみるかは、皆さんの情熱次第です!