初代ランエボから進化を続けてきた三菱”ランサーエボリューション”は、2003年8月に登場したエボVIIIで6速MTはスーパーAYCの採用(GSRへ標準)などにより、大幅な進化は限界を迎えたように思えます。
しかしそこからアルミルーフ採用など細部まで極限化したエボVIII MRが2004年2月に登場。
進化の限界への挑戦を始めたエボVIIIが今、ねらい目です!
Contents
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- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)とは
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)はどのような場面で活躍するクルマ?
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその1:ランエボ初の6速MT
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその2:スーパーAYC
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその3:鋭角的なデザイン
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその4:進化をツメたMR
- 三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその5:エボIXより中古車が安い
- まとめ
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)とは
そもそもギャランVR-4のメカニズムを小型のランサーへ組み込むことで小型軽量ハイパワー4WDマシンを生み出し、WRC(世界ラリー選手権)へ挑むため生まれた三菱”ランサーエボリューション”。
エボVII(2001年2月発売)からはWRCでもそれまでのグループAマシンに代わって、同じ市販車ベースでも大幅に変更の許されたWRカーでの参戦に移り、市販車とあまり似すぎていてもいけないランサーWRカーとランサーエボリューションは、似ていても少々異なる車となりました。
さらには2005年をもってWRカーでのWRC参戦は終了、市販車に近いグループNや国内ラリーでの参戦は続いたものの、世界最高峰の舞台から降りた三菱が最後に作ったWRC直系のランエボが、”ランサーエボリューションVIII”(2003年1月発売)と、同”VIII MR”(2004年2月発売)です。
大舞台での苦境と裏腹に、ランエボ初の6速MTや、進化したスーパーAYC(いずれもGSRへ標準装備)によってエボVIIを大きく上回る高い戦闘力を誇り、モータースポーツ第一線での主力4WDターボマシンとしてはライバルのスバル”インプレッサWRX”へ大差をつけ、この頃から同ジャンルでの国内参戦車種はほぼランエボ一色となりました。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)はどのような場面で活躍するクルマ?
先代エボVIIでは4速ATでAT限定免許でも運転可能、エアアウトレットなどの穴がないボンネットやリアウイングレスで「あえて地味な高性能ファミリーセダン路線」も狙えるGT-Aを設定するなど試行錯誤していたランエボですが、エボVIIIではピュアスポーツセダン路線へ回帰しました。
競技ベース車の「RS」と一般向け「GSR」の2本立てグレードのみへ回帰し、量産セダン世界初のカーボン製リアウイングを装備するなど、むしろエボIIIまでを思わせる「ランエボらしさ」を前面へ打ち出しています。
ショッピングやファミリーカー的にも使える4ドアセダンでありながら、やはりもっとも活躍するのは悪天候など厳しい環境でも安定して走り切る能力を活かせる場面やサーキットでのスポーツ走行、加えてRSなら各種モータースポーツのステージであり、平穏な日常より戦う場面で活躍するのが似合う車です。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその1:ランエボ初の6速MT
エボVIII / VIII MRでまずオススメしたいのはVII以前までの5速MTから6速MT化されたことで、RSは5速か6速の選択、GSRが6速MTとなっています。
5速MTがVIIより3~5速がクロス気味で高速域での加速力向上へ貢献している一方、高速長距離巡航時のエンジン回転数が高めになるなど公道より競技一点張りの正確なのに対し、6速MTでは1速と5速をローギアード化して、ハイギアードな6速を追加。
これによりモータースポーツならゼロ発進など1速を使う、あるいは5速での高速域加速に貢献しつつ、公道でも渋滞路で1速での低速走行や、6速による高速長距離巡航のストレス低減など、より幅広いステージへの対応が可能になっています。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその2:スーパーAYC
GSRに標準、RSにオプション設定(標準は1.5WAY機械式LSD)されるリアの電子制御デフAYCは、エボIV以来ランエボの旋回性能向上へ大きく貢献してきたメカニズムでエボVII以降は電子制御センターデフACDとの統合制御で舗装路での運動性能を向上させてきました。
エボVIII / III MRへ搭載されたのは進化版のスーパーAYCで左右独立制御されるトルク移動量を2倍へ増やし、より積極的なコーナリングへの介入によって、その旋回性能はついにライバルのインプレッサWRCを超えたと言われています。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその3:鋭角的なデザイン
その富士山グリルの真ん中へ三菱マークを貼り付けたことから、開口部減少による冷却性能などへの悪影響を指摘されたものの、純粋にデザインとして見た場合は特に側面から眺めた場合に鮫のごとく鋭角的な印象が強い、エボVIII / VIII MRのフロントマスク。
塊感のあるエボVIIや、冷却性能/空力性能といった機能美を持つエボIXとはまた違った魅力があり、そのシャープなイメージはエボVIII特有のものです。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその4:進化をツメたMR
登場時点で最終進化系のように思われていたエボVIIIですが、ルーフやサイドインパクトバーをアルミ合金化、リアウイングもカーボン製とすることで運動性能に悪影響を与える部分の重量を軽減し、ルーフ上へ空気抵抗低減効果のあるボルテックス・ジェネレーターを追加。
見た目で大きく変わる部分ではありませんが、それだけに「細部のツメで究極のランエボをさらに鍛え上げる!」ことによって、ランエボの進化は新たなステージへ突入しました。
カタログスペック上も大容量タービン搭載で最大トルク40.8kg・mを発揮し、第3世代最軽量を誇るRS(5速MT仕様)の戦闘力はエボIXにも匹敵する第3世代ランエボ(CT9A)最強クラスです。
三菱・ランサーエボリューションVIII(CT9A)のオススメポイントその5:エボIXより中古車が安い
VIII MRに続くIXやIX MRが「歴代最強ランエボ」としてプレミア価格がついているのに対し、VIIIやVIII MRは意外とノーマークなようで中古車価格は案外安く、戦闘力向上へ特化したRSも流通しています。
連続可変バルブタイミング機構MIVECこそもたないものの、従来版としては最終進化系の4G63エンジンを搭載するなどIXとの実力差はホンのわずかで、コンマ差のタイムを削りあうモータースポーツの最高峰ステージ参戦でも考えない限り、手頃な価格でコストパフォーマンスが高いランエボと言えるかもしれません。
まとめ
あくまで歴代最強ランエボを追求するならエボIX / IX MRを求めるのが筋ですが、エボVIII / VIII MRにも機能美より純粋なデザインのカッコ良さがありますし、6速MTやスーパーAYCといった、IXまでいかずとも既に完成された部分があります。
タービンなどIXからの移植で戦闘力はIXに迫るものもありますし、あくまで公道メインで時々趣味程度にジムカーナやサーキット走行を楽しむといった目的なら、程度の割に中古車価格の安価なVIIIがむしろオススメです。
鋭角的なフロントマスクなど、走らせる前に気分を高めるランサーエボリューションVIII / VIII MRで、あなたも情熱をかきたててみませんか?