純正品にしろ、社外品にしろ、新品のブレーキパッドやブレーキディスクローターに交換した際、「ブレーキのアタリ付け」というワードを聞いたことがある人が多いのでは無いでしょうか?
ブレーキに限らず、クルマの動く止まるに関するパーツというと「ナラシ」が必要とされており、ブレーキにはブレーキの「ナラシ」が必要です。
いわゆる「ブレーキのアタリ付け」であり、「ブレーキのアタリ付け」については様々な情報が飛び交っていますが、正しいアタリ付けの方法について、大阪にあるブレーキパーツの専門メーカーDIXCEL(ディクセル)に教えてもらいましたので、ご紹介します!
Contents
DIXCELとは
大阪府摂津市に本社を構え、一般車およびチューニングカー、レーシングカー用のブレーキパーツの製造/販売を行なっているブランド、DIXCEL(ディクセル)。
DIXCELブランドは「優れた(Excellent)」と「減速力(Deceleration)」をモチーフに名づけられ、ブレーキパーツ専門メーカーとして企画・開発から製造・販売まで担います。
モータースポーツではSUPER GTのGT300クラスやスーパー耐久などツーリングカーレースを中心にテクニカルサポートや、技術供与および製品支給を積極的に行った実績があり、国内レース業界でも知名度が高いブレーキブランドの一つです。
ディクセルでは特に、純正ブレーキパッドや純正ブレーキディスクローターの代替品としてやブレーキ性能向上させるパッドやディスクローターのラインナップを豊富に取り揃えており、日々最新車種と旧車向けのラインナップを拡充しています。
ブレーキを知り尽くしたディクセルに、ブレーキパッドやブレーキローターの「アタリ付け」の方法について聞いてみました!
ブレーキパッド/ディスクローターの正しいアタリ付け方法
ストリート(一般道)でのアタリ付け方法
ストリート(一般道)でのブレーキパッドやブレーキディスクローターにアタリが付くまでには、一般道で大体300~1,000kmほど必要になります。(組合わせるパッドや走行道路によっても異なります)
新品のブレーキパッドやディスクローターに交換後から上記の走行距離を満たすまで、急制動、急ハンドルなど急の付く運転は避けて下さい。
また無理矢理、温度を上げるような走行もブレーキディスクローターを歪める原因となりますので、お控え下さい、とのこと。
つまり、ごく普通の『安全運転』で走行頂ければ、ストリートでのアタリ付けは完了するのです。
サーキットでのアタリ付け方法
新品のブレーキパッドやブレーキディスクローターで、いきなりサーキットで全開使用すると急激な温度変化でディスクローターにひずみやクラックが発生しやすくなります。
そして、歪みがジャダーの原因となってしまいます。
新品のブレーキディスクローターを初めてサーキットで使用する場合、最初の5分間は全開時の50%ぐらいの踏力でブレーキングを行ないながら走行し、一旦ピットイン。
最低5分間くらいの冷却時間を空けて、その後10分間は70~80%の踏力でブレーキングを行なうよう心がけて走行し、再度ピットイン。
もう一度10分間の冷却時間を空けて、次は80%から徐々に100%に近づけるブレーキングを行なうようにして頂ければ、サーキットでのアタリ付けは完了します。
最後に1番注意したい点としてアドバイスを頂いたことはアタリが付いたとて、スポーツ走行後には十分なクーリングを行うことです!
クーリングを怠るとヒートスポットが出来る原因となるそうなので、注意です。
2ピースブレーキディスクローターのアタリ付け
2ピースローターにおいては最初のアタリ付け作業が大変重要です。
特にサーキット走行を予定している場合、アタリ付けの状態によって本来の制動力を発揮できないばかりか、ジャダーや歪みなどのトラブルを招く可能性があります。
以下のディクセル推奨のアタリ付け方法をご参考の上、取り扱うことが重要です。
1:場所はサーキットなど後続車に迷惑をかけない場所にて行うこと。
2:車速120km/h→80km/hのやや強めのブレーキングを40回程度連続して行う。
3:途中ジャダーが出ることがありますが、アタリが付くにつれて減少します。
4:最後にクーリング走行を行い、ローターの温度を100℃以下にまで下げる。
5:パッド摩擦材の表面が厚み1mm幅程度に白く焼けていることを確認します。
6:ローター表面を観察し、全面にパッドが当たっていること、ヒートスポットなど斑点模様がないこと、パッド摩擦材の異常な付着がないことを確認して下さい。
2:車速120km/h→80km/hのやや強めのブレーキングを40回程度連続して行う。
3:途中ジャダーが出ることがありますが、アタリが付くにつれて減少します。
4:最後にクーリング走行を行い、ローターの温度を100℃以下にまで下げる。
5:パッド摩擦材の表面が厚み1mm幅程度に白く焼けていることを確認します。
6:ローター表面を観察し、全面にパッドが当たっていること、ヒートスポットなど斑点模様がないこと、パッド摩擦材の異常な付着がないことを確認して下さい。
"車速120km/h→80km/hのやや強めのブレーキングを40回"などかなり具体的なワードが飛び出してきましたね。
さすがにこのレベルになってくると一般道で行うことが難しくなってくるので、2ピースのディスクローターを購入の際には、皆さんも必ず安全に行えるフィールドでアタリ付けを行なってくださいね!
アタリ付けでの注意点!
ブレーキは決してディスクだけでなくパッドとの組み合わせでその性能が発揮されるものです。
DIXCELさんから教えて頂いたアタリ付けのコツとしては
「ブレーキパッドの成分をブレーキディスクローターに徐々に乗せる感じで、ローターを育ててあげるように走行を重ねるイメージ」で、走行を重ねることだそうです。
また、中古のブレーキディスクローターに新品ブレーキパッドを装着した場合、直前に使用していたパッドの成分がローター表面に付着しています。
特にブレーキパッドの磨材が異なる場合、古いパッドの成分を一度落とす必要があるので、要注意!
ブレーキディスクローターの研磨を行わない場合は、ブレーキパッドのアタリが付くまでに時間がかかることがあります。
また、組み合わせるブレーキパッドとブレーキディスクローターによっては、アタリが付くまでジャダーが出る場合があるので気をつけてくださいね。
まとめ
今回は、ブレーキパッドとブレーキディスクローターの正しいアタリ付け方法をご紹介しました。
新品のブレーキパッドやブレーキディスクローターに交換後、性能を試したくていきなり強い踏力でブレーキを踏んでしまうと歪みの原因になります。
正しく慣らしてブレーキのアタリ付けをすることで、性能を発揮するので焦ることなくじっくりとアタリ付けを行うことが重要です。
クルマを運転する上で、ブレーキは重要なパーツになりますので、正しいアタリ付けをしてブレーキの性能を発揮するようにしましょう!